図書館で借りだした表題本だが、総ページ500程、現著が外国人で翻訳本だけあって、特に技術分野のこともあるのだろうし、翻訳者の力量不足も大きいのか、かなり嫌になりつつ、かなり飛ばし読みしたが、やっと読み終えたという感を持った。
このVWのディーゼルエンジンにおける、コンピューターアルゴリズム(手順)に排ガス検査かどうかの検知プログラムを組み込んだものは、ディフィートデバイス(無効化機能)という言葉が一躍有名になったという感を持つ。この発見の切っ掛けは、大学の研究チームが、車載型の排ガス検出装置(堀場製作所OBS-2200PEMS)とホンダ製発電機をトランクルーム内に積み込み、実際の路上での排気ガス測定を試みた。その結果、台上(シャシダイナモ)排気ガス値と比べ、30倍とか40倍の主にNox値が出ている実態を発見するに至り、米EPA(米国環境保護局)が問題視した結果、先のディフィートデバイスプログラムが組み込まれていることも、別の第三者が発見するに至り、詐欺事件としてVWを追い詰めるに至ったという事件だった。
読本の内容によれば、VW社内では流石にデフィートデバイスとは呼べぬからだろう、「アコースティックファンクション」(音響機能の意)と呼んでいたそうだ。そして、この詐欺行為を行うに至ったのは、圧倒的なトヨタのハイブリッドに追い付けない燃費性能(CO2)を、ディーゼルならではの熱効率で追求したいということが根本要因だったと解説している。
ディーゼルエンジンの場合、CO、HCは元々超希薄燃焼だからそれ程問題にならないし、出たとしても酸化触媒で簡易に処理できる。また、PMもDPFでトラップすることができる。但し、詰まりと再生動作がもたらす弊害はあるのであるが・・・。ディーゼルで最もやっかいなのは、NOxの処理となる。ガソリンの場合は、理論空燃比で運転すること(O2センサーフィードバック制御)で、CO、HCの酸化とNOxの還元を三元触媒で同時にクリーンにできるのだが、ディーゼルは燃料噴射量で出力を制御しているから、理論空燃比運転そのものができないのだ。従い、Noxは、尿素SCR触媒、急増還元型NOx触媒、EGR(排気ガス再循環)の3つくらいしかない。EGRは効果があるが、掛け過ぎるとパワーダウンと燃費が極端に悪化してしまう。次に効果が高い尿素SCR触媒だが、尿素水(アドブルーなんてイメージ向上名で呼ばれる)のタンク容量がそれなりに必要となり、その補充も必要となる。これをVWは嫌ったというかユーザーイメージから避けたのだと云う。つまり、必要な尿素水の噴霧を極端に抑えたのだ。
この様な不正は通常リコールによって修正される。つまり、米国などより何倍も多く販売したEU圏内では、ディフィートプログラムの削除と、インテーク系に小さなパイプを装着することだけの極簡単なリコールで処理されたという。ところが、米国ではそれでは許されないという事態に至ったのだ。その明確な理由が今一つ、読本からは読み取れなかったのだが、米EPAとしてはディフィートデバイスなしでの排気ガス改善か、販売済み車の回収かどちらかを選び改修せよと命じられたが、VWとしては販売車の回収しかないと決断するしかなかったと云うことだろう。その結果が、回収買い取り額や、課徴金などを含めた総額150億ドル(1兆5千億円)という巨大賠償金なのだ。しかし、先にも記した様に、もっと多くを売ったEU圏内では、簡易なリコールで済ましており、その結果としてユーザーは、確実に燃費の悪化も受け入れざるを得なかったということだろう。この米国とEUの対応の差は何なのだと思えるし、事実その様な論議も提起されているというが、どうやらそうはなりそうもない。
それと、もう一つは、この詐欺的行為の刑事責任の追及だが、当時の社長は入れ替わったが、現在まで経営幹部に責任追及がなされたという話しは聞こえてこない。VWの経営者も現場の極一部の者がしでかしたと述べていると云うが、そんなバカな話しはある訳ないだろうと思う訳だ。と、ここまで記して、我が日本も同じことで、巨大企業が大きな詐欺を犯しても経営者には責任が及ばない。結果として、もし罪を咎められたとしても、現場長程度のことか、企業規模が中小零細の場合は、企業が潰れようが、とことん建前の法律論だけで追求を受ける訳だ。
このVWのディーゼルエンジンにおける、コンピューターアルゴリズム(手順)に排ガス検査かどうかの検知プログラムを組み込んだものは、ディフィートデバイス(無効化機能)という言葉が一躍有名になったという感を持つ。この発見の切っ掛けは、大学の研究チームが、車載型の排ガス検出装置(堀場製作所OBS-2200PEMS)とホンダ製発電機をトランクルーム内に積み込み、実際の路上での排気ガス測定を試みた。その結果、台上(シャシダイナモ)排気ガス値と比べ、30倍とか40倍の主にNox値が出ている実態を発見するに至り、米EPA(米国環境保護局)が問題視した結果、先のディフィートデバイスプログラムが組み込まれていることも、別の第三者が発見するに至り、詐欺事件としてVWを追い詰めるに至ったという事件だった。
読本の内容によれば、VW社内では流石にデフィートデバイスとは呼べぬからだろう、「アコースティックファンクション」(音響機能の意)と呼んでいたそうだ。そして、この詐欺行為を行うに至ったのは、圧倒的なトヨタのハイブリッドに追い付けない燃費性能(CO2)を、ディーゼルならではの熱効率で追求したいということが根本要因だったと解説している。
ディーゼルエンジンの場合、CO、HCは元々超希薄燃焼だからそれ程問題にならないし、出たとしても酸化触媒で簡易に処理できる。また、PMもDPFでトラップすることができる。但し、詰まりと再生動作がもたらす弊害はあるのであるが・・・。ディーゼルで最もやっかいなのは、NOxの処理となる。ガソリンの場合は、理論空燃比で運転すること(O2センサーフィードバック制御)で、CO、HCの酸化とNOxの還元を三元触媒で同時にクリーンにできるのだが、ディーゼルは燃料噴射量で出力を制御しているから、理論空燃比運転そのものができないのだ。従い、Noxは、尿素SCR触媒、急増還元型NOx触媒、EGR(排気ガス再循環)の3つくらいしかない。EGRは効果があるが、掛け過ぎるとパワーダウンと燃費が極端に悪化してしまう。次に効果が高い尿素SCR触媒だが、尿素水(アドブルーなんてイメージ向上名で呼ばれる)のタンク容量がそれなりに必要となり、その補充も必要となる。これをVWは嫌ったというかユーザーイメージから避けたのだと云う。つまり、必要な尿素水の噴霧を極端に抑えたのだ。
この様な不正は通常リコールによって修正される。つまり、米国などより何倍も多く販売したEU圏内では、ディフィートプログラムの削除と、インテーク系に小さなパイプを装着することだけの極簡単なリコールで処理されたという。ところが、米国ではそれでは許されないという事態に至ったのだ。その明確な理由が今一つ、読本からは読み取れなかったのだが、米EPAとしてはディフィートデバイスなしでの排気ガス改善か、販売済み車の回収かどちらかを選び改修せよと命じられたが、VWとしては販売車の回収しかないと決断するしかなかったと云うことだろう。その結果が、回収買い取り額や、課徴金などを含めた総額150億ドル(1兆5千億円)という巨大賠償金なのだ。しかし、先にも記した様に、もっと多くを売ったEU圏内では、簡易なリコールで済ましており、その結果としてユーザーは、確実に燃費の悪化も受け入れざるを得なかったということだろう。この米国とEUの対応の差は何なのだと思えるし、事実その様な論議も提起されているというが、どうやらそうはなりそうもない。
それと、もう一つは、この詐欺的行為の刑事責任の追及だが、当時の社長は入れ替わったが、現在まで経営幹部に責任追及がなされたという話しは聞こえてこない。VWの経営者も現場の極一部の者がしでかしたと述べていると云うが、そんなバカな話しはある訳ないだろうと思う訳だ。と、ここまで記して、我が日本も同じことで、巨大企業が大きな詐欺を犯しても経営者には責任が及ばない。結果として、もし罪を咎められたとしても、現場長程度のことか、企業規模が中小零細の場合は、企業が潰れようが、とことん建前の法律論だけで追求を受ける訳だ。