信号無視で死亡事故・求刑を上回る判決
下記の報を見て感じるところを書き留めておきたい。
名古屋地裁の交通事犯の判決だが、事件は脇見運転による信号無視により、小学2年生が死亡したものだ。記事より判ることは、事故で、検察は8.8秒間の脇見をしたと断じ、また過去にも運転中の携帯電話の使用など7回の交通違反検挙があり、脇見運転の理由が悪質で強い非難に値するなどと論じ4年6月を求刑したという。これに対し、名古屋地裁判決では5年の禁錮を言い渡したという。
裁判官の判断としては、罪科に対する法定刑(本件は自動車運転過失致死罪で7ん詠歌の懲役または禁錮)以内であれば合法な訳だが・・・。つまり法定刑の範囲で検察求刑以上の刑を下すことはあり得るのだろう。
ただ、この判決を見て、被害者遺族の嘆きとか怒りは理解できるし、加害者の行為もあまりに浅はかで、なるべく厳罰にしたいということも理解されるところだが・・・。しかし、この判決内で述べたという裁判長の理由にある、8.8秒の脇見とはどういう根拠と正当性を持って認定したのだろうかと疑問を思う。
当然、車内を写すラメラでも設置されていない限り、客観的にコンマ1秒までの時間を正しく計測することなどできるはずもなく、警察もしくは検察の捜査において、被疑者に対し、事故前の走行中に被告車両の位置を示して、例えば「ここで下見てツメ切って」とか、ここで「ツメを捨てた」とか積み重ねて、それぞれ「速度は何キロだった?」と質し、それら積算で8.8秒という想定時間を積み上げたに過ぎないだけと思える。それを、あたかも科学的な計測時であるかの如く、8.8秒と認定しているとは、ちょっと信じがたい思いを持ってしまうのだ。
こういう場合は、「少なくとも5秒以上の脇見をし」とかの理由であれば理解されるところだが、8.8秒などと云う数値があたかも真実確定みたいに判決理由に述べられることの非科学的さを感じてしまうところだ。
まあ、これも確かな弁護人でもいれば、求釈明など求め、その8.8秒が何処まで公正妥当な値なのかを論じれば、破綻するところだとは思う。
それと、この裁判官は、あたかも正義の味方的な視点で、検察の求刑を6月上回る判決を下し、満足している様にしか見えないのだが、そもそも8.8秒が何処まで確かかと考えもしなかったのではないだろうか。
追記
ちなみに、8.8秒脇見が確かと仮定すると、被告運転者が速度30km/hだとすれば73m、40km/hだとすれば98m空走したと計算できる。これだけの走行距離を連続して脇見する様な運転であれば、この様な事故がもっと前に生じていたとも思えてしまう。
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“求刑上回る判決”の理由は…信号無視の車にはねられ小学生2人死傷の事故 判決を受け遺族「娘に会わせて」
東海テレビ 11/22(火) 17:28配信
今年3月、名古屋市瑞穂区で小学生2人が信号無視の車にはねられ死傷した事故の裁判で、22日、名古屋地裁は車を運転していた男に、求刑を上回る「禁錮5年」の実刑判決を言い渡しました。
22日朝、小学校へ登校する子供たち。横断歩道を渡る子供たちが少しでも目立つようにと、この場所に「旗」が設置されたきっかけは、幼い命が失われた痛ましい事故でした。
今年3月、名古屋市瑞穂区田辺通で、赤信号を無視した車が交差点に進入。下校途中に横断歩道を歩いて渡っていた小学生2人をはね、小学3年の女の子(当時9)が死亡、4年生だった女の子(当時10)が大ケガをしました。
車を運転していた千種区の無職・藤川幹人被告(52)が現行犯逮捕され、過失運転致死傷の罪で起訴されました。
裁判で起訴内容を認めた藤川被告は、赤信号を無視した理由について…。
<藤川被告>
「ゴミ箱に爪切りの中の爪を捨ててしまおうとした」
検察側は、車内で爪を切り、その爪を捨てようとした際に8.8秒間にもわたってわき見運転をしたと指摘。さらに携帯電話の画面を見るなど、過去に7回も交通違反で検挙されていた事実を挙げ、「わき見運転の理由が悪質で強い非難に値する」として禁錮4年6カ月を求刑。
亡くなった女の子の父親は裁判の中で、悲痛な思いを語っていました。
<亡くなった女の子の父親>
「娘は交通ルールをしっかり守っていました。なぜ娘がこの世を去らなければならなかったのか、理不尽さを感じずにはいられません」
そして22日、名古屋地裁で言い渡された判決は…。
<山田裁判長>
「主文、被告人を禁錮5年に処する」
求刑を上回る、禁錮5年の実刑判決。その理由について名古屋地裁の山田耕司裁判長は…。
「運転態度を改めることなく、再び8.8秒間のわき見運転という極めて危険な行為を行い事故を引き起こした。尊い生命が奪われた結果は重く、未来を閉ざされた無念を察するにはあまりある。検察官の求刑は、遺族や被害者の苦痛や処罰感情を十分に反映していない」
判決を受け、遺族は弁護士を通じ次のようにコメントしました。
<亡くなった女の子の遺族>
「私たちの望みはただ1つ、娘に会わせて欲しい。話したい、抱きしめたい。私たちが笑うことは二度とありません。被告人が本日の判決を受け入れ、真摯に向き合うことを切に願います」
下記の報を見て感じるところを書き留めておきたい。
名古屋地裁の交通事犯の判決だが、事件は脇見運転による信号無視により、小学2年生が死亡したものだ。記事より判ることは、事故で、検察は8.8秒間の脇見をしたと断じ、また過去にも運転中の携帯電話の使用など7回の交通違反検挙があり、脇見運転の理由が悪質で強い非難に値するなどと論じ4年6月を求刑したという。これに対し、名古屋地裁判決では5年の禁錮を言い渡したという。
裁判官の判断としては、罪科に対する法定刑(本件は自動車運転過失致死罪で7ん詠歌の懲役または禁錮)以内であれば合法な訳だが・・・。つまり法定刑の範囲で検察求刑以上の刑を下すことはあり得るのだろう。
ただ、この判決を見て、被害者遺族の嘆きとか怒りは理解できるし、加害者の行為もあまりに浅はかで、なるべく厳罰にしたいということも理解されるところだが・・・。しかし、この判決内で述べたという裁判長の理由にある、8.8秒の脇見とはどういう根拠と正当性を持って認定したのだろうかと疑問を思う。
当然、車内を写すラメラでも設置されていない限り、客観的にコンマ1秒までの時間を正しく計測することなどできるはずもなく、警察もしくは検察の捜査において、被疑者に対し、事故前の走行中に被告車両の位置を示して、例えば「ここで下見てツメ切って」とか、ここで「ツメを捨てた」とか積み重ねて、それぞれ「速度は何キロだった?」と質し、それら積算で8.8秒という想定時間を積み上げたに過ぎないだけと思える。それを、あたかも科学的な計測時であるかの如く、8.8秒と認定しているとは、ちょっと信じがたい思いを持ってしまうのだ。
こういう場合は、「少なくとも5秒以上の脇見をし」とかの理由であれば理解されるところだが、8.8秒などと云う数値があたかも真実確定みたいに判決理由に述べられることの非科学的さを感じてしまうところだ。
まあ、これも確かな弁護人でもいれば、求釈明など求め、その8.8秒が何処まで公正妥当な値なのかを論じれば、破綻するところだとは思う。
それと、この裁判官は、あたかも正義の味方的な視点で、検察の求刑を6月上回る判決を下し、満足している様にしか見えないのだが、そもそも8.8秒が何処まで確かかと考えもしなかったのではないだろうか。
追記
ちなみに、8.8秒脇見が確かと仮定すると、被告運転者が速度30km/hだとすれば73m、40km/hだとすれば98m空走したと計算できる。これだけの走行距離を連続して脇見する様な運転であれば、この様な事故がもっと前に生じていたとも思えてしまう。
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“求刑上回る判決”の理由は…信号無視の車にはねられ小学生2人死傷の事故 判決を受け遺族「娘に会わせて」
東海テレビ 11/22(火) 17:28配信
今年3月、名古屋市瑞穂区で小学生2人が信号無視の車にはねられ死傷した事故の裁判で、22日、名古屋地裁は車を運転していた男に、求刑を上回る「禁錮5年」の実刑判決を言い渡しました。
22日朝、小学校へ登校する子供たち。横断歩道を渡る子供たちが少しでも目立つようにと、この場所に「旗」が設置されたきっかけは、幼い命が失われた痛ましい事故でした。
今年3月、名古屋市瑞穂区田辺通で、赤信号を無視した車が交差点に進入。下校途中に横断歩道を歩いて渡っていた小学生2人をはね、小学3年の女の子(当時9)が死亡、4年生だった女の子(当時10)が大ケガをしました。
車を運転していた千種区の無職・藤川幹人被告(52)が現行犯逮捕され、過失運転致死傷の罪で起訴されました。
裁判で起訴内容を認めた藤川被告は、赤信号を無視した理由について…。
<藤川被告>
「ゴミ箱に爪切りの中の爪を捨ててしまおうとした」
検察側は、車内で爪を切り、その爪を捨てようとした際に8.8秒間にもわたってわき見運転をしたと指摘。さらに携帯電話の画面を見るなど、過去に7回も交通違反で検挙されていた事実を挙げ、「わき見運転の理由が悪質で強い非難に値する」として禁錮4年6カ月を求刑。
亡くなった女の子の父親は裁判の中で、悲痛な思いを語っていました。
<亡くなった女の子の父親>
「娘は交通ルールをしっかり守っていました。なぜ娘がこの世を去らなければならなかったのか、理不尽さを感じずにはいられません」
そして22日、名古屋地裁で言い渡された判決は…。
<山田裁判長>
「主文、被告人を禁錮5年に処する」
求刑を上回る、禁錮5年の実刑判決。その理由について名古屋地裁の山田耕司裁判長は…。
「運転態度を改めることなく、再び8.8秒間のわき見運転という極めて危険な行為を行い事故を引き起こした。尊い生命が奪われた結果は重く、未来を閉ざされた無念を察するにはあまりある。検察官の求刑は、遺族や被害者の苦痛や処罰感情を十分に反映していない」
判決を受け、遺族は弁護士を通じ次のようにコメントしました。
<亡くなった女の子の遺族>
「私たちの望みはただ1つ、娘に会わせて欲しい。話したい、抱きしめたい。私たちが笑うことは二度とありません。被告人が本日の判決を受け入れ、真摯に向き合うことを切に願います」