ユーザー質問に答える(SNSの問いかける質問に答えた事例から)
これは私が直接質問を受けた訳でなく、Fasebook の特定グループにおいて、たぶんクルマの修理にさほど詳しくない方が、修理金額などを問いかける内容を見て、私が記した内容を紹介しるものだ。
おそらく、そこまで説明するのは過剰だと思う方が多いと思うが、これは私自身も自覚しつつも、私の回答に説得力を持たせる意味で、周辺状況も含め解説する文面としたのだ。
私は、現在は自営業を営んでいるが、過去の損害保険の調査員時代から、相手の質問によっては、場合によっては、この何倍も深く掘り下げた回答を行って来た。それは、接する板金業の方々だとか、事故の被害者の方を丸め込むという思想はなく、根源としての原理だとか何故そういう結論(見解)になるのかを知ってもらいたいとの信念からからだった。
現代の、損害調査員(アジャスターと呼ばれる)達にも、その様な意識で活動してもらいたいと思うところであるが、なかなか難しさがあると思って、正直嘆いている。
1.質問内容
相談:グループのご知見ある方にお伺いさせてください。。現在新車でMini CooperDに乗っております。車庫入れの際にリアバンパー部分を擦ってしまい、取り急ぎタッチアップペンでだいぶ目立たなくなったのですが、どこかのタイミングで塗装 or 部品交換をするか悩んでいます。ディーラーに相談すると交換20万円程度、塗装で10〜15万円と口頭でお話をいただいたのですが
①:街の板金工場等でお願いするとどのくらいの金額感になりますか?
②:①で対応した場合、将来的にディーラー下取りの際の見積価格に影響が出るでしょうか?
2点もしご知見ある方がいらっしゃれば教えていただけないでしょうか。。
あくまで保険外での修理を検討しています。
2.私の回答文
リヤバンパーと記していますが、フロントバンパーの左端部のいわゆるスリ傷ですね。また、損傷ですが、写真では判り難い程度の比較的小さい(浅く削れた)ものの様だと想像されます。ただし、もしかするとですが、ボデー際外側となる黒樹脂素地のいわゆるオーバーフェンダー部分にも、キズが生じているのかもしれません。
まず、ディーラーに聞かれたようですが、参考知識として記しますが、バンパーなどの樹脂部品は、特に輸入車の場合はメーカーからは未塗装品しか供給されません。(国産車の場合、売れ筋の色に限定して、塗装済み部品も用意されている場合があります。)ですので、新品に取替た場合でも、板金塗装工場などで、塗装を施工することになります。
なお、この塗装ですが、メーカー新車の出荷状態でも、ボンネットなどの金属製部分と、バンパーなどの樹脂部分では、例え同色であっても、別々に施工されますし、その使用される塗料も異なります。それは、金属部分は熱硬化型塗料と呼ばれるもので、高温(130℃程度)で乾燥硬化(専門用語ですが熱重合と呼ぶ)するもの、樹脂部分はウレタン塗料(ウレタン重合硬化型)と呼ばれるもので、加温(60℃程度)して化学反応を促進して乾燥硬化(専門用語ですが2液重合と呼ぶ)するものです。
おたずねになったディーラーがそうと決め付ける訳ではありませんが、一般論ですがディーラーはとかく、部品の取替を勧める場合が多くあります。それは、一般板金塗装工場と異なり、ディーラー権を持つ優位の一つとして、部品の粗利(正確には部品の高低によって異なります)が、国産車の場合50~40%、輸入車の場合40~30%と、世の一般的な商品と比べ高率の粗利が得られることがあろうかと思います。これは、市場競争が少ない(販路が限られるとか競合商品がない)という辺りにあるのでしょう。
しかし、提示された写真で見ても、即座に判らない程度のキズ(つまり比較的小さいキズ)で、部品を交換するメリットは、皆無であることは明確でしょう。
前置きが非常に長くなってしまいましたが、ご質問の①と②に沿って、長年このクルマの復元修理に携わった料金相場観とか、中古車査定における減価の原理を知る立場から、評価感を記してみましょう。
①街の板金塗装工場で幾らになるかですが、塗装料金を決める要素の一つに、色別の塗膜層だとか調色と呼びますがその難易度を決める、ソリッド、メタリック、3コートパールという大まかに3種類があります。この提示のクルマの白色は、ソリッドのホワイトなのか3コートのパールホワイトなのか、提示の写真では判じかねます。正式には、エンジンルーム内のカラーコードラベルを見て、別途表より参照することで判定出来るのですが、ここではもっとも高価となるパールホワイトであると仮定した上で、結論を記してみます。
最安クラスは1万円代から相当に高いことをいう施工工場であっても、5万円までを云うところは少ないと思えます。
その理由の一つとなる要素として、冒頭に記した黒素地のオーバーフェンダー部分や、下部の同じく黒素地のアンダーパネルング部を外すか、そのままでマスキングして塗装するかという違いも加味してのことです。なお、ここでの金額は、黒素地オーバーフェンダー部分の部品代は除外してのものです。
②修理した場合に下取り価格に差が出るかですが、余程ヘタな修理をした場合、もしくは現状のタッチアップペイントのままでさえ、差異で2万円下がるかどうかというのが見解です。また、それなりの技術力を有した施工工場であれば、玄人でさえ修理されていることを見分けるのは困難な程度に復元は十分可能です。
なお、ついでに、事故車だから大幅に減価されるとか云う場合がありますが、バンパーとかドアなど、ネジやクリップでボデー本体に装着されている部品を替えても、事故減価は出ないことになっているのが、一般財団法人日本自動車査定協会の取り扱いとして知られています。つまり、事故減価が生じるのは、いわゆるボデー本体の骨格部が取替られたり修理の痕跡がある場合に限定されているのです。
最後に、クルマの整備も板金塗装もそうですが、これらサービス業は、必ずしもその施工費用と品質が相関するものではないということも知っておくべきでしょう。つまり、施工工場選びは、消費者にとって、なかなか見極めるのが難しい買い物の一つだと云えましょう。このことは、医師(医療機関)や弁護士選びにも云えることです。
これは私が直接質問を受けた訳でなく、Fasebook の特定グループにおいて、たぶんクルマの修理にさほど詳しくない方が、修理金額などを問いかける内容を見て、私が記した内容を紹介しるものだ。
おそらく、そこまで説明するのは過剰だと思う方が多いと思うが、これは私自身も自覚しつつも、私の回答に説得力を持たせる意味で、周辺状況も含め解説する文面としたのだ。
私は、現在は自営業を営んでいるが、過去の損害保険の調査員時代から、相手の質問によっては、場合によっては、この何倍も深く掘り下げた回答を行って来た。それは、接する板金業の方々だとか、事故の被害者の方を丸め込むという思想はなく、根源としての原理だとか何故そういう結論(見解)になるのかを知ってもらいたいとの信念からからだった。
現代の、損害調査員(アジャスターと呼ばれる)達にも、その様な意識で活動してもらいたいと思うところであるが、なかなか難しさがあると思って、正直嘆いている。
1.質問内容
相談:グループのご知見ある方にお伺いさせてください。。現在新車でMini CooperDに乗っております。車庫入れの際にリアバンパー部分を擦ってしまい、取り急ぎタッチアップペンでだいぶ目立たなくなったのですが、どこかのタイミングで塗装 or 部品交換をするか悩んでいます。ディーラーに相談すると交換20万円程度、塗装で10〜15万円と口頭でお話をいただいたのですが
①:街の板金工場等でお願いするとどのくらいの金額感になりますか?
②:①で対応した場合、将来的にディーラー下取りの際の見積価格に影響が出るでしょうか?
2点もしご知見ある方がいらっしゃれば教えていただけないでしょうか。。
あくまで保険外での修理を検討しています。
2.私の回答文
リヤバンパーと記していますが、フロントバンパーの左端部のいわゆるスリ傷ですね。また、損傷ですが、写真では判り難い程度の比較的小さい(浅く削れた)ものの様だと想像されます。ただし、もしかするとですが、ボデー際外側となる黒樹脂素地のいわゆるオーバーフェンダー部分にも、キズが生じているのかもしれません。
まず、ディーラーに聞かれたようですが、参考知識として記しますが、バンパーなどの樹脂部品は、特に輸入車の場合はメーカーからは未塗装品しか供給されません。(国産車の場合、売れ筋の色に限定して、塗装済み部品も用意されている場合があります。)ですので、新品に取替た場合でも、板金塗装工場などで、塗装を施工することになります。
なお、この塗装ですが、メーカー新車の出荷状態でも、ボンネットなどの金属製部分と、バンパーなどの樹脂部分では、例え同色であっても、別々に施工されますし、その使用される塗料も異なります。それは、金属部分は熱硬化型塗料と呼ばれるもので、高温(130℃程度)で乾燥硬化(専門用語ですが熱重合と呼ぶ)するもの、樹脂部分はウレタン塗料(ウレタン重合硬化型)と呼ばれるもので、加温(60℃程度)して化学反応を促進して乾燥硬化(専門用語ですが2液重合と呼ぶ)するものです。
おたずねになったディーラーがそうと決め付ける訳ではありませんが、一般論ですがディーラーはとかく、部品の取替を勧める場合が多くあります。それは、一般板金塗装工場と異なり、ディーラー権を持つ優位の一つとして、部品の粗利(正確には部品の高低によって異なります)が、国産車の場合50~40%、輸入車の場合40~30%と、世の一般的な商品と比べ高率の粗利が得られることがあろうかと思います。これは、市場競争が少ない(販路が限られるとか競合商品がない)という辺りにあるのでしょう。
しかし、提示された写真で見ても、即座に判らない程度のキズ(つまり比較的小さいキズ)で、部品を交換するメリットは、皆無であることは明確でしょう。
前置きが非常に長くなってしまいましたが、ご質問の①と②に沿って、長年このクルマの復元修理に携わった料金相場観とか、中古車査定における減価の原理を知る立場から、評価感を記してみましょう。
①街の板金塗装工場で幾らになるかですが、塗装料金を決める要素の一つに、色別の塗膜層だとか調色と呼びますがその難易度を決める、ソリッド、メタリック、3コートパールという大まかに3種類があります。この提示のクルマの白色は、ソリッドのホワイトなのか3コートのパールホワイトなのか、提示の写真では判じかねます。正式には、エンジンルーム内のカラーコードラベルを見て、別途表より参照することで判定出来るのですが、ここではもっとも高価となるパールホワイトであると仮定した上で、結論を記してみます。
最安クラスは1万円代から相当に高いことをいう施工工場であっても、5万円までを云うところは少ないと思えます。
その理由の一つとなる要素として、冒頭に記した黒素地のオーバーフェンダー部分や、下部の同じく黒素地のアンダーパネルング部を外すか、そのままでマスキングして塗装するかという違いも加味してのことです。なお、ここでの金額は、黒素地オーバーフェンダー部分の部品代は除外してのものです。
②修理した場合に下取り価格に差が出るかですが、余程ヘタな修理をした場合、もしくは現状のタッチアップペイントのままでさえ、差異で2万円下がるかどうかというのが見解です。また、それなりの技術力を有した施工工場であれば、玄人でさえ修理されていることを見分けるのは困難な程度に復元は十分可能です。
なお、ついでに、事故車だから大幅に減価されるとか云う場合がありますが、バンパーとかドアなど、ネジやクリップでボデー本体に装着されている部品を替えても、事故減価は出ないことになっているのが、一般財団法人日本自動車査定協会の取り扱いとして知られています。つまり、事故減価が生じるのは、いわゆるボデー本体の骨格部が取替られたり修理の痕跡がある場合に限定されているのです。
最後に、クルマの整備も板金塗装もそうですが、これらサービス業は、必ずしもその施工費用と品質が相関するものではないということも知っておくべきでしょう。つまり、施工工場選びは、消費者にとって、なかなか見極めるのが難しい買い物の一つだと云えましょう。このことは、医師(医療機関)や弁護士選びにも云えることです。