私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

2008年度の景気動向を案じる

2008-02-20 | コラム

 昨今、巷のニュースとなっているサブプライムローンとは、米国での優良顧客(プライム層)向けでないローンをいいます。報道機関がこの問題を扱う際に、しばしば低所得者向けローンであるとの説明が加えられ、収入が乏しい借り手に多額の貸し付けを行ったというニュアンスで取り上げられますが、厳密には信用度の低い人向けのローンです。従って、一般的に他のローンと比べて信頼度が低いとされています。その代わりとして、金利が高く設定されている訳です。2007年夏頃から、主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)返済の延滞率が向上し、これを組み入れた金融商品の劣化をきっかけとした金融不安に関わる問題が起きています。

 このサブプライムローン向け融資で、日本への直接的な被害は比較的少ないと伝わっていました。しかし、国内銀行での貸し出し総額(簿価)は、1兆5190億円にもなると伝わります。そして、現状での損失は昨年12月末時点で4420億円にも達しており、今後さらに増加する様子が伺われるのです。もしかすると、最終的に簿価額の総てが不良債権化しかねないのかもしれません。それと、過日のニュースでは、あいおい損害保険社で800億円の損失を計上する等と発表され、銀行以外での被害が表出し始めています。
 米国の景気も、ビックスリー(GM、フォード、クライスラー)は、その販売不振から抜本的な経営戦略の見直しを迫られると伝わっています。この様な米国景気の悪化は、輸出において好景気を創出していた企業の業績低下を生み出します。クルマやAV機器等、米国市場へのウェイトの高い業種では、本年の売り上げは低下が予想されます。従前より、国内市場は低迷状態を続けておりますから、日本へ与える悪影響が心配されるのです。

 国内での心配事もあります。10年前に売り出された住宅金融公庫の低所得者向けローンの当初金利は2%と低金利でありましたが、10年を経て4%に切り替えられる時期が今年から始まると云います。また、当時の「ゆとり返済」という仕組みの問題もあります。5年目までは50年ローンでの返済額を支払い、6年目から残りの期間での返済額での支払いを行うというものです。10年前は、将来の給与アップを期待してこの様なローンを組んだ方達も多いのだと想像します。しかし、給与は上がるどころか低下している実態にある国内景気の低迷が続いています。この様な中、ローン支払額が相当な増加になることにより、日本版のサブプライムローン問題が生じる可能性すらあると伝えられているのです。

 どうも暗い話ばかりを記しましたが、本当に今年の国内景気について憂慮すべき問題が続くと感じられます。政府予測等での、景気は穏やかに回復する等は楽観的過ぎると思います。石油や原材料・素材価格も高騰化を示すニュースも続いており、本当に心配な2008年度の先行きとして案じられるのです。


最新の画像もっと見る