ニデックの現状は?
ニデックはモーターを中心とするだが、今「イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった」という。イーアクスルとは、モーターを使うが、トランスアルスルをギヤとゲースおよびAIブロピラムとの問題だろう。
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ニデックの現状は…カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた
4/11(木) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL
永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。
1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。
EV向けの電動駆動部品「イーアクスル」事業が振るわず、450億円の構造改革費用を計上することが利益を下方修正した原因だ。中国のEV市場の価格競争が激化し、同社が主力とする高性能品では採算を取ることが難しく、同事業は赤字が続いている。
第3四半期での下方修正は2年連続だ。ちょうど1年前に23年3月期の業績見通しを営業利益で1000億円、当期利益で1050億円下方修正した。
昨年、創業50周年を迎え、4月には社名を日本電産からニデックに変更した。大きな節目を前に、経営が岐路に立っていることを数字が物語っていた。
創業者の永守重信会長の怒りは凄まじかった。
「外部からみえた方々(前経営陣を指す)が非常に好き放題の経営をやられて、大きな負の遺産を作って去っていった。それにより生じたゴミを今期中に全てきれいにする」
決算の大幅な下方修正に踏み切った原因を前社長の関潤など外部から登用した幹部に押し付けた格好だ。
永守はEV向け電動駆動装置「イーアクスル」事業の戦略を従来のシェア重視から収益重視に転換した。営業利益1000億円の下方修正は「一過性の出来事だと思ってよい。来期(24年3月期)は成長していく。特に大きく転換するのが車載事業だ。500億円の構造改革費を計上したイーアクスルは来期は確実に利益が出るようになる」と自信満々に語っていた。
ところが、永守の読みは大きく外れた。全てのイーアクスル製品が営業赤字。それだけでは済まず、同事業で再び構造改革(450億円を再計上)を余儀なくされた。
今回の下方修正により、通期の売上高営業利益率の予想は修正前の10%から7.8%まで低下する。永守はかねて「営業利益率が10%を下回る事業は赤字だ」と語ってきた。イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった。
車載事業を統括し、EV向けイーアクスル事業を担当する岸田を、「社歴2年にすぎない。大丈夫なのか」と不安視する声があることを承知の上で社長に起用した。
これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。
30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある。
「ソニー出身の岸田を後継社長に指名したのは、ソニーとホンダが共同開発しているEVとの連携を考えているからかもしれない。ソニー・ホンダが、はたしてニデックの技術を高く評価しているのかどうかだ。越えなければならないハードルは高くて遠い」(証券アナリスト)
創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。
会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。 =敬称略
(有森隆/経済ジャーナリスト)
ニデックはモーターを中心とするだが、今「イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった」という。イーアクスルとは、モーターを使うが、トランスアルスルをギヤとゲースおよびAIブロピラムとの問題だろう。
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ニデックの現状は…カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた
4/11(木) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL
永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。
1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。
EV向けの電動駆動部品「イーアクスル」事業が振るわず、450億円の構造改革費用を計上することが利益を下方修正した原因だ。中国のEV市場の価格競争が激化し、同社が主力とする高性能品では採算を取ることが難しく、同事業は赤字が続いている。
第3四半期での下方修正は2年連続だ。ちょうど1年前に23年3月期の業績見通しを営業利益で1000億円、当期利益で1050億円下方修正した。
昨年、創業50周年を迎え、4月には社名を日本電産からニデックに変更した。大きな節目を前に、経営が岐路に立っていることを数字が物語っていた。
創業者の永守重信会長の怒りは凄まじかった。
「外部からみえた方々(前経営陣を指す)が非常に好き放題の経営をやられて、大きな負の遺産を作って去っていった。それにより生じたゴミを今期中に全てきれいにする」
決算の大幅な下方修正に踏み切った原因を前社長の関潤など外部から登用した幹部に押し付けた格好だ。
永守はEV向け電動駆動装置「イーアクスル」事業の戦略を従来のシェア重視から収益重視に転換した。営業利益1000億円の下方修正は「一過性の出来事だと思ってよい。来期(24年3月期)は成長していく。特に大きく転換するのが車載事業だ。500億円の構造改革費を計上したイーアクスルは来期は確実に利益が出るようになる」と自信満々に語っていた。
ところが、永守の読みは大きく外れた。全てのイーアクスル製品が営業赤字。それだけでは済まず、同事業で再び構造改革(450億円を再計上)を余儀なくされた。
今回の下方修正により、通期の売上高営業利益率の予想は修正前の10%から7.8%まで低下する。永守はかねて「営業利益率が10%を下回る事業は赤字だ」と語ってきた。イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった。
車載事業を統括し、EV向けイーアクスル事業を担当する岸田を、「社歴2年にすぎない。大丈夫なのか」と不安視する声があることを承知の上で社長に起用した。
これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。
30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある。
「ソニー出身の岸田を後継社長に指名したのは、ソニーとホンダが共同開発しているEVとの連携を考えているからかもしれない。ソニー・ホンダが、はたしてニデックの技術を高く評価しているのかどうかだ。越えなければならないハードルは高くて遠い」(証券アナリスト)
創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。
会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。 =敬称略
(有森隆/経済ジャーナリスト)