みなさん、こんにちは。
日常診療での診断のうち7割は病歴で可能である。
しかし、それは病歴聴取をうまく行うことが前提である。
本項では、病歴聴取で最も重要な「症状分析」について学習していく。
この観点から症例をみてみよう。
症例
65歳、女性。
主訴:3時間 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
メタ認知機能の活動条件は、感情的興奮や疲労困憊のない状態であり、約100年前にオスラー先生が医師の最高資質として述べた「平静の心」(aequanimitas)である。
これはスポーツ心理学で言うところの「ゾーン」、禅における「不動智」だ。
「メタ」とは「上位の」「上級の」という意味。
すなわち、メタ認知 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
実際、臨床現場でエキスパートはどのように診断推論を行っているのであろうか。
直観的推論を主体として、必要に応じて分析的推論を行っているという二重推論が作動していると考えられている。
しかし、最新の脳科学では、脳内に管制官的なコントロール室があり、推論方法の使いわけを指令していることが示されている。
これ . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
分析的思考のやり方として代表的なものに、「解剖×生理マトリクス(行列)法」と「条件付き確率法」などがある。
前者は、症状がある部位の臓器リスト(行)と病態生理リスト(列)による行列を作成することで網羅的な鑑別診断を挙げることができる。
この方法に慣れてくると、脳内思考プロセスでこの行列を想 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
直観的思考はシステム1とも呼ばれ、迅速で芸術的であるが、時にバイアスがかかる危険性がある。
バイアスとそれによる推論の早期閉鎖(premature closure)は診断エラーの主要な原因である。
そのため、バイアスを避けるために勧められている思考として、分析的思考(システム2)がある。
これは病態生理 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
直観的思考は熟練者が頻用する思考法で、スピードが速く、多くの場合は正しい。
将棋のプロ棋士は直観的思考で次の一手を決定していることが多く、詰将棋でのプロ棋士の脳内プロセスにおける最近の脳科学的研究の結果、尾状核を中心とした大脳辺縁系がその活動の中心であることが判明した。
直観的思考の理由づけとなるロジックをヒューリスティ . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
前回の症例情報を読んだ読者は、数秒以内に「くも膜下出血」を鑑別診断に挙げたと思う。
逆に言えば、一瞬の推論で「くも膜下出血」を鑑別診断に挙げていなければならない。
これを「直観的思考」と呼ぶ。
ここでは、「直感」ではなく、「直観」という字を用いることが重要。
なぜなら、「直感」と「直観 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
本新シリーズでは、主に病歴聴取(問診)による診断推論の方法について学習していく。
日常診療での診断のうち7割は病歴で可能である。
診断推論について熟達していくためには病歴をうまく取ることが重要と言える。
それぞれの項では、診断推論の基本、病歴聴取のポイント、そして重要な症状について病 . . . 本文を読む
みなさん、こんにちは。
無症状の人々にCEA値測定のようなスクリーニング検査介入を行うときには、無作為化比較対照試験によって、介入によってアウトカムが改善する(このケースではがん死亡の有意な低下)ことを証明しなければならない。
長年外来診療をやってきて、私にもやっと冒頭のオスラー先生の言葉が理解できる時期にきたかもしれない。
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