仕事場のあるビルの管理組合でシンボル的な存在だった
Kさんが80歳を前に亡くなった
関西ではイメージの高い企業グループの中にある某社で
社長まで勤めあげた実力者なのにそんな素振りはみせず
穏やかで一歩退いて人の意見に耳を傾ける人だった
もう 8年も前になるが理事長を推されて固辞した時も
"推されているのだから思い通りやってください"
と言われて引き受ける決意をした
一旦は組合から外れていたのに再び引きづりだされたものの
対立を繰り返す理事会に嫌気がさして辞める気持ちを固めた
その心を読まれたのかそっと耳元で
"辞めないでください"
と言われて思いとどまったのは去年の秋だった
あれが最後の会話だった
持病の悪化で入院し再び会うことはなかった
自分にとっては兄のような存在で接してきたが
あの気品の漂う雰囲気には心からあこがれていた
また惜しい先輩を失ってしまった。