真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「力の支配」、阿諛追従(アユツイショウ)の国際社会

2025年01月05日 | 国際・政治

 下記は、「報道されない中東の真実」国枝昌樹(朝日新聞出版) の「あとがき」の一部ですが、シリアを知る人の「本音」が書かれていると思います。注目すべきことは、10年以上前に書かれた文章なのに、ガザに関することも、シリアに関することも、現在の状況を伝えているかような内容であることです。ガザの人たちが、”イスラエル軍のなすがままに殺され続けている”とか、”平和だったシリアがなぜ今これほどの破壊と絶望に襲われなければならないのか、無数の「なぜ」が心の底から噴出してくる? ”とか、そこここに、心に刺さる文章や言葉があります。

 

 それは、国際社会が、アメリカやイスラエル、また、西側諸国の「権力」の戦略で動いきたことを示していると思います。多くの国や国際組織が、「阿諛追従」しているような状態にあり、「力の支配」が続いてきたことを物語っているように思います。

 西側諸国の権力は、ロシアや中国を批判するとき、しばしば「法の支配」という言葉を使いますが、自らの「力の支配」をまず改めるべきだと思います。

 

 イラク戦争に反対して設立されたというアメリカの非営利団体「Win Without War(戦争なしに勝つ)」から、次のようなメールが届きました。

Win Without War

You know the story, Syunrei: For well over a year now, Israeli PM Netanyahu has used U.S. weapons to hold on to power, drive incomprehensible levels of human suffering, and push an entire region toward all-out war — all while failing to bring the remaining hostages home safely.

 But undeniable momentum is building against that blank-check approach. Late last year, 19 senators sent a clear message to President Biden and the incoming Trump administration: It’s time to use U.S. leverage to end the horrific war in Gaza, protect innocent people across the Middle East, and get the hostages back to their families.”

1年以上もの間、イスラエルのネタニヤフ首相は、権力にしがみつき、理解しがたいレベルの人間の苦しみを引き起こし、地域全体を全面戦争に追いやるために、アメリカの兵器を使用してきました。

 しかし、その白紙委任のアプローチ(無制限の資金提供や条件なしの支援)に反対する勢いが高まっていることは否定できません。昨年末、19人の上院議員がバイデン大統領と次期トランプ政権に明確なメッセージを送りました。ガザでの恐ろしい戦争を終わらせ、中東全域の無辜の人々を保護し、人質を家族に戻すために米国の影響力を行使する時が来ました。(一部機械翻訳)”


 日本のメディアも こうした声を伝え、国際社会の「法の支配」を実現するべく、努めるべきだと思います。ウクライナの人たちばかりでなく、ガザやシリアの民間人にも寄り添ってほしいと思います。

 また、私は、アメリカ主導の密室の「停戦協議」ではなく、多くの国が関わる国際組織主導の「開かれた停戦協議」を進めるべきだと思っています。

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                           あとがき

 

 イスラエルはふたたびガザに対して空爆を行った上で地上軍を送り、激しい戦闘を行っている。200812月から翌年1月にかけて行った軍事行動を繰り返している。

 ガザ170万人余りの人々は東と北をイスラエルにアリが出入るする穴さえ閉ざされて、南はエジプトに抑えられ、西を地中海に閉ざされ、東京都23区の6割の地域に閉じ込められて窒息しそうになりながら必死に生きてきていたら、ふたたびイスラエルから逃げ場のない場所でいいがかりをつけられ、イスラエル軍のなすがままに殺され続けている。ただ、イスラエル側の死者は前回に比しかなり増えている。

 国際社会は黙り、手をこまねいている。ハマスの狭隘(キョウアイ)な考えとその行動が友人を失い孤立化を招いたとはいえ、国際社会の反応の鈍さは尋常でない。

 現在アラブ連盟が毒気を抜かれている。カタールのハマド・ビン・ジャセム首相兼外相(当時)が手続きも何も無視してかき回した後遺症が出ているのか。イスラエルが軍を送ってガザの人々を虐殺しているとき、そしてアルカーイダ流の過激な保守イスラムの動きと対決なければならないときに、アラブ連盟は毅然と元気に活躍する必要があるのに、これでは非常に困る。

 シリアの国外避難民は4家族のうち1家族の割合で生活費を稼ぐ男手はなく、女性一人で家族を養っているのが現状だと国連難民高等弁務官事務所関係者が叫ぶ。異郷の地で仕事とてない彼女たちは家族を養うために、自らの命を絶つに等しい決断をして恥辱を堪え忍ぶ。生きるため、生き残るために涙を枯らして彼女たちはSuvival Sex(生きるために行う性行為)に向かう。誰が彼女たちを咎められよう。ヨルダンに避難した家族の主婦が得たのは1人を相手にして7ドル。トルコではトルコ人男性たちから襲われ、娘たちは家族の窮状を救うためだけに言葉もわからない相手と結婚する。サウジアラビアにはシリア人女性に対する憧れで、わざわざ男が女性を求めにくる。

 シリア情勢を含めて、アラブ世界の情勢は軍事政治面だけではなく社会のあり方も含めて、これからも神経を研ぎ澄まして注視していかなければならない。

 このほどシリアに17年間定期的に通いシリア砂漠のあるベドウィン家族を撮りつづけた写真家吉竹めぐみさんが「ARAB」という写真集を出版した。216枚の写真を見ていると、平和だったシリアがなぜ今これほどの破壊と絶望に襲われなければならないのか、無数の「なぜ」が心の底から噴出してくる?

コメント
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