<尾道水道と尾道大橋>
故郷広島へ行って参りました。
親族のみで厳粛かつ和やかに義兄の四十九日法要を執り行い、納骨も無事終え、広島に一泊。
翌日姪っ子、孫たちに見送られ姉妹水入らずの旅に出ました。と言っても二日のみですが
姉と2人だけで旅をするのは何年振りでしょうか。
まだ心の癒えていない姉の心身のリフレッシュを兼ねて、私が全てを企画計画しました。
いろいろハプニングもありましたが、姉も喜んでくれて、楽しい思い出に残る姉妹プチ旅行ができました。
観光名所の詳細な説明は省き、その折々に感じたことを綴りながら、旅の報告をしたいと思います。
尾道は故郷広島から近く、私たちにとっては身近な町のはず。しかし私も姉もはじめての訪問です。
瀬戸内海に面した尾道は「坂のある町」として知られています。
対岸の向島との間には、鏡のような静かな水面の尾道水道が悠然と横たわり、まるで大河のようです。
さらにその向こうにはキラキラと輝く瀬戸内海と島々。旅人の心を穏やかにしてくれる優しい風景です。
市街地の背後には標高144mの千光寺山。中腹には尾道を見守るように赤い本堂の千光寺があります。
姉はろうそくとお線香をたて、静かにいつまでも手を合わせていました。いろいろな思いがあったのでしょう。
ロープウェイ山頂付近は千光寺公園となっていて、「尾道市立美術館」「尾道市文学記念堂」「文学のこみち」などなど。
尾道市立美術館は建築家・安藤忠雄の設計によるもの。美術、建築に関心のある姉の希望で寄ってみました。
彼の特徴であるむき出しのコンクリートとガラス張りの建物は斬新的で興味深いものです。
2階のガラス張りのロビーからは尾道水道が一望でき、絶景でした。
尾道市立美術館のお隣にある欧風料理レストラン プティ・アノン。窓からの景色が素晴らしい!
千光寺公園の頂上から青松をくぐりながら「文学のこみち」が続きます。
尾道ゆかりの文人、正岡子規、志賀直哉、林芙美子などなどの作品の一部を岩に刻んだ数多くの文学碑があります。
坂の途中には志賀直哉の旧居があり、少し分かり難いながら、細い道を通り抜け訪ねてみました。
恐らく今のお若い方は「志賀直哉」という作家など興味ないのかもしれませんね。
人っ子ひとり訪ねる様子なく、皆さん通り過ぎていかれます。
志賀直哉といえば「暗夜行路」。学生の頃読んだはずですが、全く内容を覚えていません。
その「暗夜行路」の構想を練ったのがこの尾道の家であったそうです。しか彼がここに居たのはわずか半年とのこと。
入り組んだ細い坂と階段、そして穏やかな尾道水道、造船所と素朴な町、これらを目にした今、
再び「暗夜行路」を再読したくなったわたしたち姉妹です。きっとこの光景が目に浮かんでくるでしょう。
<一番奥が志賀直哉の部屋です>
そして忘れてはいけないもう1人の文人が、「林芙美子」ですね。
「おのみち文学の館」には「林芙美子」の記念室があります。残念ながら私も姉も彼女の代表作「放浪記」は読んでいません。
それゆえか今ひとつ親近感の持てない林芙美子ですが・・・・。
こちらも観光客は素通りでした。
尾道を訪れる観光客は殆どが風光明媚場瀬戸内海や坂階段の多い素朴な町の風景を楽しみにやって来るのでしょうね。
読書家で文学や映画を愛した義兄を偲びながらの旅としては、最適の場所であったと思います。
姉も「Yさんも私がここを歩いていることをきっと喜んでくれるわ」と感無量の様子でした。
旅なれない姉、坂と階段の多い尾道、心配しましたが思ったよりずっとしっかり歩けました。
山頂のレストランで突然雪が舞って来たときにはビビッていましたけど(笑)。すぐにやみ、再び晴れ渡りホッと。
是非また訪れてみたくなるのどかで温かく心癒される町、尾道!姉が楽しんでくれたのが何よりです。
この後、倉敷に向かいました。その様子はまた次回に。