プロローグに続いて「Chapter 1 Cherry」。
分析じゃなく紹介になってますが。
2001年4月です。
赤岩駅の桜が満開になったのを確認して撮影開始。
この作品の骨格となる映像はモノクロに決めました。
それはラストの回想でカラー映像を見せるための作戦ですが、自分なりに成功したと考えています。
サブルーチンについてはカラーです。
昭和48年にコンテスト応募のために作った8ミリも活用しました。
ここでもうひとつの旅を伏線で。作品を”主観”にするためです。
木島線廃止まで一年。今までと変わらない情景を捉えることができました。
今と違って20年前はまだ社会がおおらかで人物を撮ってもトラブルは無し。
O.Lで廃止から数年、同じ季節、同じ場所、同じアングルで撮影した赤岩駅跡です。
この後でこれをインサート。
左がRyan 中がBruno 右がJuliette。
Bruno と Juriette がフランス語の掛け合いで語り、Ruan は英語(米語)で突っ込みます。
同じ季節の四ヶ郷駅です。
土曜日で電車通学の中学生たちが電車を待っています。ここで一年後ラストランを撮影。
メインキャスターの登場。
赤岩駅前の酒屋さんの看板おばあちゃん。
彼女は木島線開業の大正14年生まれという奇遇!
撮影で昼食代わりにお店でパンを買ったのが最初の出会いで、想い出話を聞き出すことにしました。
木島線に関しては録音したこのおばあちゃんと近所のおばあちゃんの語りが骨格。
一般論じゃなく一人称の貴重な話を聞き出すことができました。
残念なことに後にお店は閉じてしまいました。
四ヶ郷(地元ではシカゴと発音)駅のホーム。中学生たちが電車に乗り込みます。
これも同じ時期ですが花冷えの寒い夕方。田上駅です。
最高のタイミングでバイクが踏み切りを渡っていきます。
何人かが電車を降りて家路を帰っていきます。
モノクロなので夕方の雰囲気が出ています。
待合室の壁に時計が掛けてありました。
この時計は今何処に。田上駅は後に取り壊されて全く痕跡がありません。
Chapter 1 のラストカットです。田上駅のホームから。
偶然知り合ったおばあちゃん抜きではこの作品は成立しませんでした。
彼女たちの話は中野地域独特の方言丸出しでそれがまた実にいい味です。
ライターが色々調べて知った風な原稿を書いて、プロが語るのとは深みが違います。
ここまでは電車に乗っての撮影はありませんが Chapter 2 では車内撮影が始まります。
重い業務用カメラ(特別装備のIkegami ITC-870)と外部バッテリー、木製三脚を持ち込みましたが運転士さんからも乗客からもクレームは無し。
今世紀初頭は今より遥かに緩い時代でした。
なお、この作品のベースになった「信州中野発木島行」をDVD化して販売する時点で長野電鉄には了解を得ています。
「監修 長野電鉄」という表現はしないでくれという条件はありましたが。