放課後物語10の続きです。
---------------------------
「お待ちしてましたよ皆さん」
白衣を着込み、光を受けて紫色に見える黒髪オカッパをたなびかせ、ゼロスはにこやかに言った。
「ゼロス」
「ゼロス先生ですよ、ゼルガディスさん」
「ゼロス..先生...どうして俺たちに協力しようなんて言い出したんだ?」
ゼルガディスは喧嘩腰とさえ言える調子で話を切り出した。
「まぁ、簡単な事ですよ。上からの命令です」
「上からの..?」
「正直僕はガウリイさんとゼルガディスさんについての噂が本当であろうがそうでなかろうがどちらでも構わないんですがね」
ゼロスはその無意味な笑顔を男二人に向けた。
「今ガウリイさんとゼルガディスさんに剣道部から抜けてもらっては困るんですよ」
「!」
「お二人とも人気選手ですし、この大学が剣道に強いのもお二人のお陰ですから、特に...」
ゼロスはガウリイをじっと見つめた。
「ガウリイさんは主将ですし、しかもスポーツ推薦で入った方ですから...理事会の耳にこの噂が入って、お二人が剣道部を退部させられる前に、噂の元を揉み消せというのが上からの命令です」
淡々とした調子で語るゼロスに、四人は絶句したのだった。
「...つまり、噂が本当なら被害者を脅すかお金を出すかして黙らせて、嘘なら噂の元を潰す..という事ですか?」
「簡単に言うとそうですかね」
アメリアの質問を笑顔で受けるゼロス。
リナは苦々しい気持になった。これこそ大学の闇だ。
ふと横を見ると、アメリアのショックを受けたような表情があった。
「皆さんの話ですと、噂は嘘なんですよね?だから、僕は皆さんに微力ながらご協力いたしましょう」
丁寧な言葉遣いにも、有無を言わせない響きがあった。
「..分かったわ、ゼロス」
「ゼロス先生ですよリナさん」
「ゼロス先生に協力されるのはなんかしゃくだけど、ガウリイもゼルガディスも悪くはないんだから、協力してもらおうじゃないの!」
ゼロスは笑みを深くした。
続く
-----------------------
ちなみに、理事長はL様という設定です(笑)