ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

放課後物語11

2010-05-15 20:14:27 | 放課後物語(ガウリナ/完)

放課後物語10の続きです。

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「お待ちしてましたよ皆さん」
白衣を着込み、光を受けて紫色に見える黒髪オカッパをたなびかせ、ゼロスはにこやかに言った。

「ゼロス」
「ゼロス先生ですよ、ゼルガディスさん」
「ゼロス..先生...どうして俺たちに協力しようなんて言い出したんだ?」
ゼルガディスは喧嘩腰とさえ言える調子で話を切り出した。
「まぁ、簡単な事ですよ。上からの命令です」
「上からの..?」
「正直僕はガウリイさんとゼルガディスさんについての噂が本当であろうがそうでなかろうがどちらでも構わないんですがね」
ゼロスはその無意味な笑顔を男二人に向けた。
「今ガウリイさんとゼルガディスさんに剣道部から抜けてもらっては困るんですよ」
「!」
「お二人とも人気選手ですし、この大学が剣道に強いのもお二人のお陰ですから、特に...」
ゼロスはガウリイをじっと見つめた。
「ガウリイさんは主将ですし、しかもスポーツ推薦で入った方ですから...理事会の耳にこの噂が入って、お二人が剣道部を退部させられる前に、噂の元を揉み消せというのが上からの命令です」
淡々とした調子で語るゼロスに、四人は絶句したのだった。
「...つまり、噂が本当なら被害者を脅すかお金を出すかして黙らせて、嘘なら噂の元を潰す..という事ですか?」
「簡単に言うとそうですかね」
アメリアの質問を笑顔で受けるゼロス。

リナは苦々しい気持になった。これこそ大学の闇だ。
ふと横を見ると、アメリアのショックを受けたような表情があった。

「皆さんの話ですと、噂は嘘なんですよね?だから、僕は皆さんに微力ながらご協力いたしましょう」
丁寧な言葉遣いにも、有無を言わせない響きがあった。

「..分かったわ、ゼロス」
「ゼロス先生ですよリナさん」
「ゼロス先生に協力されるのはなんかしゃくだけど、ガウリイもゼルガディスも悪くはないんだから、協力してもらおうじゃないの!」

ゼロスは笑みを深くした。


続く

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ちなみに、理事長はL様という設定です(笑)



放課後物語10

2010-05-15 20:12:03 | 放課後物語(ガウリナ/完)

放課後物語9の続きです。

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放課後。
リナは保健室に向かっていた。ゼロスが何故自分たちに協力してくれるかは分からないが、味方は多いに越した事はない。

「リナ!」
廊下の向こうから金髪の男が走って来るのが目に入った。
「ガウリイ!今授業終わり?」
「おう。リナもか?」
「そうよ」
二人は並んで歩き出した。

「...ねぇガウリイ」
リナはこの機会にと、かねてからの疑問を口にした。
「アンタ彼女いないの?」
ガウリイはちょっと戸惑った表情をする。
「いないが...何故?」
「だって、ガウリイってとぼけてるけど見た目は良いじゃない。彼女なんて作ろうと思えばすぐ出来るでしょ~。..ってゆうか、特定の彼女作らないから色々噂されるんじゃないの?」
「...」
ガウリイは黙り込んでしまった。何か言っては行けない事を言ってしまったのだろうか。
「前から...好きな奴がいるんだよ。ずっと片想いだけどな」
「...!!」
ガウリイがあまりにも真剣な顔をしたので、リナは何も言えなくなってしまった。
..何故か自分の胸から『ズキリ』という音が聞こえた気がする。

「へ..へぇ。良いんじゃない?応援するわよ」
「おう...ありがとな」
ガウリイはちょっと切ない顔をして微笑んだ。その笑顔にリナは何とも言えない気持になる。ガウリイに好きな人がいると分かっただけで、自分がこんなにも動揺しているという事にリナは動揺した。

――昨日初めて会ったばっかりなのに..。しかも、見た目は良いけどこんなとっぽい兄ちゃんに..

「...リナ?」
「どわひゃっ!!..何よっ」
気が付けばガウリイの顔が目の前にあって、リナは変な声を上げてしまった。
「いや、なんかぼーっとしてるから..それに、着いたぞ保健室」
「あ、ホントだ」
見れば数メートル先にゼルガディスとアメリアが立っているのが見えた。
「おーいっ!アメリア、ゼルガディス!」
ガウリイが声を張り上げた。
「ちょっと!保健室前で大声出しちゃ駄目でしょ」
リナは慌てて注意する。静かに寝ている人もいるはずである。
「おお、そうだったな。すまんすまん..」
照れ笑いで返すガウリイ。
こうやって、生意気な後輩に素直に謝れるのはガウリイの尊敬出来る点であるとリナは思った。
しかし、ガウリイの良い所を見つける度に、複雑な気分になるリナであった。


続く

幕間。(ゼルアメ)

2010-05-15 20:10:11 | 放課後物語(ガウリナ/完)

放課後物語のサイドストーリー(ゼル視点)を書いてみました。初ゼルアメです(*´ω`)

続きは追記から♪
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ゼルガディスは生まれつき髪の色素が薄く、肌が弱かった。両親は彼を愛してくれたが、親戚や周りの人間たちはそうはいかなかった。生来彼は無口で無愛想であったし、彼を気味悪がり、誰もあまり彼に近付こうとはしなかった。
しかし、ガウリイは違った。高校入学して初めて出来た友人は、彼の見た目など全く気にした風もなく普通に接してくれたのである。そして彼はイイヤツだった。勉強の出来は悪かったが運動神経は抜群であった。だからこそ成績トップのゼルガディスと同じ私立大学に、剣道のスポーツ推薦で入れたのであろう。

「くく..」
「どうしたんですか?ゼルガディスさん」
「いや...なんでもない」
思索に耽っていたゼルガディスは無意識に笑っていたらしい。

今ゼルガディスはアメリアと二人きりで保健室前にいた。ゼロスに呼び出されたのだ。リナとガウリイはまだ来ていない。

..そういえば、リナは己が怖いかと質問すると『怖くない』と宣った。挑発的とも言える強い視線で『あたしは人を見る目はあるのよ』と来た。平均より小さい体に栗色の長い髪と大きな赤茶色の目。物凄く印象的な少女であった。ガウリイも彼女を相当気に入ってるらしい。

ふとゼルガディスは視線を目の前の黒髪の少女に向ける。この少女は己の質問にどう答えるだろうか。

「アメリア」
「なんですか?」
「...お前は俺が怖くはないか?」
「..なんでですか?」
アメリアは少し驚いた顔をした。
「オレの見た目は少し、いやかなり普通と違うからな」
ゼルガディスは少し緊張してアメリアの発言を待った。

「...全然怖くなんてないですよ」
アメリアは微笑んだ。
「だって、銀髪なんて外人さんみたいでカッコイイじゃないですか!夏なのに長袖なのも、なんかミステリアスで良いです!!」
アメリアはいたって無邪気に言う。
ゼルガディスは目を見張った。
「...」
「素敵だと思いますよ」
そんなふうに手放しで褒められるとは全く思っていなかったゼルガディスは、思わず少し赤くなった。
突然、目の前の彼女が眩しく見えた。

「..ありがとう」
ゼルガディスは、滅多に見せない微笑みを見せた。
「...えへへ」
アメリアはびっくりしたように目を見開いたが、少ししてから照れたように笑った。


「おーい!アメリア、ゼル!」
遠くから、二人の男女が走って来る。そろそろゼロスもやって来るかもしれない。

アメリアはゼルガディスに向かって力強く頷いて見せた。
「ゼルガディスさん!絶対悪を懲らしめましょうね!」
彼女の正義への執着は凄まじい。
「...そうだな」
ゼルガディスは、つまらないと思っていた大学生活も、悪くはないなと思ったのであった。


続く。

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初ゼルアメがこんなんで良いのか..?
一応放課後物語9と10の間の話です(´・ω・`)


放課後物語9

2010-05-15 20:08:29 | 放課後物語(ガウリナ/完)
放課後物語8の続きです。

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「なるほどなるほど、面白そうな話ですね」

どうやって真の悪を懲らしめようか、とアメリアが燃える中、どこからともなく聞こえて来た声に4人は飛び上がった。

『ゼロス!!』
「『ゼロス先生』でしょう皆さん」
全く気にした風もなく皆をたしなめるこの男は、この大学の保健室に常駐しているゼロス=メタリオム教授である。黒髪のオカッパ頭がトレードマークだ。
いつも無意味ににこやかだが、信用ならない人物であるとリナは思っていた。

「ゼロス先生」
アメリアが声を上げる。
「はい?」
「いつから話を聴いていたんですか?」
「ついさっきからですよ」
「全然気付かなかった..」
「俺もだ..」
リナとゼルガディスがぼそりと呟く。この男は気配を消せるのだろうか、と思うことがよくある。

「オレは気付いてたけどな~」
ガウリイがのほほんと凄い事を言う。
「...ってアンタ、それなら何でそれを言わないのよ!」
「....何でだろう?」
「知らないわよっ!アンタの事でしょうがっ」
「アハハ..そうだよなぁ」
「アンタねぇ...」
全くもって脳天気な発言をするガウリイに、リナは思いっきり呆れたのだった。

「ところで皆さん」
ガウリイとリナのやり取りで逸れた話を戻すように、ゼロスが声を少し大きくした。
「皆さんがガウリイさんとゼルガディスさんの汚名を晴らして、噂の元を懲らしめようと言うのなら、僕が微力ながら協力しましょう」
「アンタが..?」
リナが目を見開いた。
「何が目的だ。アンタは自分の利益にならない事などしない主義だろう」
ゼルガディスが冷たく言う。どうやらこの男もゼロスを信用していないらしい。何かされた事でもあるのだろうか。

「それは...秘密です♪」
ゼロスが意味ありげに笑って、口元に人差し指を置いた。
「それではみなさん、ごきげんよう。明日の放課後保健室に来てください」
そう言って、謎の保健医は笑顔で立ち去った。


続く

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最初は出す気無かったんですが、ゼロス出しちゃいました。
ホント、行き当たりばったりですいません(´・ω・`;)



放課後物語8

2010-05-15 20:06:52 | 放課後物語(ガウリナ/完)

放課後物語7の続きです。

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「じゃあ、なんでアンタは今ボロボロで、さっきの女の子は泣きながら走り去って行ったの?」
リナは視線をゼルガディスからガウリイに向けて言った。

「さっき、またその子に呼び出されたんだよ。どうしても付き合ってくれないかって聞かれたんだ」
「...で?」
「もちろん断った。そしたら彼女突然倉庫にあったもん手当たり次第にオレに投げつけて来て...この有り様だよ」
「アンタ喧嘩弱いの?」
「いや、コイツは剣道部のエースだったし、喧嘩は強いぞ」
ゼルガディスが口を挟んだ。
「じゃあなんで...」
「女子供に手を上げるのはいかんだろう」
ガウリイはきっぱりそう言った。
「..コイツはこういう頑固な所がある奴でな。どんなにやられても自分から手だししないんだよ。さっきはオレが無理矢理間に入って止めたんだ」
「...」
さすがのリナももう何も言えなかった。どうやら二人の話に嘘は無いようだし、ガウリイの目にもゼルガディスの目にも、真っ直ぐな光がリナには見えたのである。

がたん。

突然、アメリアが大きな音を立てて椅子から立ち上がった。

「許せない...許せないわ!!」

「な...何が?」
ガウリイがぽかんとしてアメリアを見上げている。

「無実の罪を他人に着せて、あまつさえ暴力を振るうなんて!!同じ女としても許せない!!」
アメリアは怒りのあまりにふるふる震えていたりする。

「ガウリイさん、ゼルガディスさん!!正義の名において、私たちが二人の汚名を晴らして、必ずや本当の悪を懲らしめてやるわ!!」

し~ん...

静まり返った食堂に、アメリアの叫び声が鳴り響いたのだった。

ぷっ...

急に吹き出したのはゼルガディスで、ガウリイはいまだ呆気にとられている。

「くくく...この世にこんなに面白い女がいるとはな」

リナが見た限り、ゼルガディスはアメリアを気に入ったようだった。


続く