ゆるい感じで。

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アトラスでひと騒ぎ【12】(子世代)

2017-04-23 23:07:30 | 子世代妄想
お久しぶりに前回からの続きです!
ほんとに久しぶり過ぎてすみません…汗

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目論見通り、盗賊団のアジトは街外れの森にすぐに見つかった。
いや、アジトなんて大層な代物でもない。森の中に勝手にロープや布を張ってそこに住み着いているだけだろう。

早朝に出発したオレたちがそれを見付けた時には、賊たちは皆その場にだらしなく眠りこけていた。
人の事は襲うくせに、自分達が襲われる可能性は考えていないのだろうか。無用心にも程がある。

「はっは、オレの鋭い読みはどうやら当たったようだな!」
「凄いですラウディさん……!」
尊敬の眼差しでオレを見つめるルシウスにいい気になりつつ、オレはきょろきょろと辺りを見回した。
──どうやら、見張りなんかはいないようだな……。
同じように辺りを見回していたレオナも、小さく声をあげる。
「でも兄さん、それらしい女魔道士の姿は見当たらないわ」
──確かに。
「ふむ。偽インバースは別の所で寝泊まりしてるのか……?」
顎を撫でつつ、ランツが呟く。その可能性は確かに否定できない。
──とはいえ。
「まあ、それはこいつら叩きのめしたところで分かるんじゃないか?」
にやり、と不敵な笑みを浮かべて見せたら、レオナが嫌な顔をした。
「兄さん……やばんじん」
「だまらっしゃい」

こほん。
オレは小さく咳払いした。皆より数歩ぶん前に出る。そして、口の中で小さく呪文を呟き始めた。
精神を集中させる。力ある言葉、カオスワーズによって空気中にある魔力エネルギーを手繰り寄せ、かき集めていく感覚。
──そしてそれを解き放つ。
「『振動弾(ダム・ブラス)』!!!」

どごぉぉぉん

派手な音を立てて木々が折れ、そして砂塵が舞った。
「な、なんだ………!? 奇襲か!?」
「何事だぁッ」
衝撃によって、盗賊たちがわらわらと目を覚まし、起き上がる。
そんな中、オレは追撃を放った。
「『氷の槍(アイシクル・ランス)』!!」
びきびきびきびきっ
「『雷撃破(ディグ・ヴォルト)』!」
ばちばちばちばちっ

ほんの数分で、辺りはパニックから沈黙へ。

「ふはは、ひとたまりもない!」
累々と横たわる賊たちを眺めながら、オレはえへん、と胸を張る。
「よ、容赦ねえなあ兄ちゃん……」
「兄さん……」
君たち、なんだその目は。

「……く、そ……なんだテメェらは……」
根性ある事に、まだ元気な奴がいたらしい。這いつくばりながら、そいつがオレ達から逃げ出そうともがいている。
そんな賊の前に、オレは颯爽と立ちふさがった。
「おい」
「ひっ……、」
わざとらしく手にライティングの光を持って声を掛ければ、相手は完全に腰を抜かして怯えた顔をする。
「あんたらのお仲間の、女魔道士はどこにいる?」
「女……リナの事か?」

――やはり、か。
賊の言葉に、その場にいる全員が顔をしかめた。
母さんの名前を、騙る女。それは一体。

「――あら、謎の襲撃者の目当てはあたしってわけ?」

その時。
オレの疑問に答えるように、その場に女の声が響いたのだった。



続く