ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

アトラスでひと騒ぎ【15/終】(子世代)

2022-07-18 23:46:21 | 子世代妄想
どもです。あきらです。
「アトラスでひと騒ぎ」シリーズ、これにて最終回です!
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました~。

子世代妄想シリーズ、彼らの物語はまだ続いておりますが、私がそれを書くかは未定でございます。もし書く事になったら、その時はどうぞよろしくお願い致します。

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「ごめんなさい……あたしが強盗騒ぎの犯人です……リン=インバースの名前を勝手に使いました……本名はソフィア=グレイシーです……うぅっ、ごめんなさい……」
 半泣きで謝罪しながらボロボロの姿で突き出された女に、流石の憲兵も少々驚いたらしい。が、彼女が売らずに所持していた奪われた宝飾品やら、森の中で見つかった盗賊のねぐらとオレ達の証言で、オレ達の仕事の達成は正式に認められた。
 ――偽リナ=インバースの討伐、これにて完了である。

「はぁ~いい仕事した後の飯、最高だよな……あ、おばちゃん、このオムレツお代わりお願い」
「ほんとね、兄さん。あっ、私もこのポタージュスープを二人前追加で」
 街の食堂。四人で分けたとは言え、報酬はなかなかの金額だった。これなら暫く路銀には困らないだろう。――アトラス・シティも相当困ってたんだろうな、偽リナ=インバースに。
 仕事後の食事にありつけたのは、昼も過ぎて夕方に近い時間だった。
「はは、ほんとによく食うなあお前さん達。ルシウスも食ってるか?」
「ええ、凄く美味しいですね。このパン、絶品です」
 ライ麦パンを齧りながら嬉しそうにほほ笑むルシウスは、口元にサラダの玉子がくっついている。
「で、お前さん達これからどうするんだ?」
 まだしばらくこの街に居るのか? そう問われて、オレとレオナは顔を見合わせた。
「ん? ああ、この前話してた通りルシウスと一緒にサイラーグに行くよ。な」
 オレの言葉に、ルシウスはおしぼりで口元を拭いながらこくこく頷く。
「はい。ランツさんは?」
「俺は今回の仕事でそれなりに報酬貰ったからな。一回自分の街に帰るさ。お前さん達見てたら、久しぶりに自分の息子の顔も見たくなったし」
「そっか」
 これで即席チームも解散か。短い付き合いだったが、なかなか楽しい時間だった……かもしれない。


     *


「それじゃ、お前さん達、元気でな」
 街の玄関口。森へと続く街道の前で。
「おう。おっさんもな」
「ランツさん、ありがとう。さよなら」
「ランツさんお元気で」
 それぞれに別れの挨拶を交わして、手を振って歩き出す。
 ――と。
「あ、そうだ。おい、兄ちゃん」
 ちょいちょい、とランツは何故かオレにだけ手招きをした。
「?」
 レオナとルシウスをその場に残し、訝し気に彼の前まで戻ると、おっさんがオレの耳元で何やら囁く。――なんだなんだ?
「あんたの父ちゃん母ちゃん……リナ嬢とガウリイの兄キにも、よろしく伝えておいてくれ、な」
「……!? あんた、気付いて……?」
 ばっと顔を上げれば、ランツはくすくすと笑って。
「まあ、初めて見た時からちょっと疑ってたんだが……確信したのは夜にあんたと軽く試合した時だな。……そっくりだったよ、太刀筋が」
 それに性格も母さんの方にそっくりだ。ランツはそう付け加えてにやっと笑って見せる。
「オレ……母さんにはよく似てるって言われるけど、父さんに似てるって言われたのは初めてだ」
 見た目も、のほほんとした性格も。どちらかと言えば父さんの性質を受け継いでいるのは妹の方で。
「そうか? 俺から言わせりゃ、あんたもレオナも、父さんにも母さんにもそっくりだよ」
「……、」
 ――なら。なら、オレは。父さんに負けないくらいの、剣の腕を得る事が出来るだろうか。大切な妹を守れる、強い兄貴に……。
「あんたは強くなる。……大事な妹、守ってやんなよ」
「……おう」


「兄さん。ランツさんと何話してたの?」
「ん、ちょっとな」
「ええ~? 怪しい」
「怪しくない怪しくない。……ほら、行くぞ」
「はーい」
「ええ、行きましょう」
 目指すはサイラーグ。過去の災厄により滅び、しかし徐々に復興し人々の活気が戻りつつある街。
「新しい街。楽しみだなあ~。ご飯は美味しいかしら」
「そうだな。美味いと良いな。……ついでに伝説の剣も、なんか情報ねえかなぁー」
 父の持つ、伝説の剣ブラスト・ソードに代わる伝説の剣を探す事。旅の目的を胸に、オレとレオナは、ルシウスとともにアトラスの街を後にするのであった。


終わり

アトラスでひと騒ぎ【14】(子世代)

2022-07-18 14:55:44 | 子世代妄想
どもですあきらです。
子世代小説、続きです…!

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 オレが剣を抜いたのを見て、女は瞬間踵を返してその場から駆け出した。――逃げる気かっ!
 朝とはいえ薄暗い森の中、見失ったら終わりである。追いかけるオレ達に向かって、女は唱えていたのであろう、力あることばを解き放つ。
「『火炎球(ファイアー・ボール)』!」
「っ! こんな森の中で!?」
 慌てて避けたオレ達の後ろで、着弾した炎が森の木々を燃やしていく。
 ――おいおいおいっ、そこに倒れてるアンタの仲間たちは目に入らないのか!?
「アハハハッ、そんなのあたしが気にすると思う?」
 嘲笑う女の声をかき消すように、オレの後ろで声が響く。
「『氷結弾(フリーズ・ブリット)』!」
 レオナの呪文だ。冷気の球が、瞬間的に火のついた木々を凍らせていく。
 続けて、同じ呪文を唱えるルシウスの声も響く。どうやら彼にもある程度の精霊呪文の心得があったようだ。
「あら、やるじゃない」
 余裕たっぷりに、走り続けながらまた何か呪文を唱えようとする女に、オレはその足を止めるべく呪文を放った。
「『地精道(ベフィス・ブリング)』!」
「ぎゃっ」
 かかった! 地の精霊に干渉し、女の足元に簡易的に落とし穴を作ってやったのだ。足を取られた女が転びそうになった瞬間、オレは更に追撃の呪文をお見舞いした。
「『影縛り(シャドウ・スナップ)』」
 呪文と共に、片手でナイフを投げる。それは狙いを外すことなくバランスを崩して転んだ女の『影』に突き刺さった。
「うっ、……動けない……!?」
 慌てたように声を上げる女。だが、魔族でもない人間の女には、深々と地面に縫い留められた影をどうにかする事は出来ない。――とうとう捕まえた。

「ハァ……やった。レオナ、どうする?」
 振り返って尋ねれば、レオナは真顔でその場に動けない女を見下ろした。
「……死なない程度に痛めつける」
「ひっ」
「うむ、そうしようか」
 頷き合うオレとレオナに、ルシウスが慌てたように口を挟む。
「ちょっ、怖いですよお二人ともっ!?」
「だってなー。今のこいつ、憲兵に突き出してもリナ=インバースの名を騙ったってことは認めなさそうじゃないか? それじゃ本物の名誉の回復にはならないんだよな……」
「うんうん」
「それにほら、ルシウスもこの女には腹立ててただろ?」
「いや、あの、えーと……ランツさん?」
 困ったようにおっさんの名前を呼ぶルシウス。――真面目なやつ。
 ランツのおっさんはまじまじと女を見下ろした後、こちらを見て苦笑した。
「若い頃ならスケベ心で『助けてやろう』って言ったかもしれんなー……だが、ま、殺さないってんならいいんじゃないか? ちょっとは痛い目見ないとこいつも反省しないだろうし」
「ランツさんまでっ!?」


「……と、言うわけだ。観念しな」
「えーーと……?」
 自分の運命を悟ったらしい、女がだらだらと冷や汗を流すのにオレは思い切りにやりと笑って見せる。――きっと悪役面なんだろうなあ、オレ。
「自分はリナ=インバースの偽物だ、って認めるか、死ぬほど痛い目に遭うか。二つに一つ、ということで」
「えっと、あの、認める、認めるわっ!」
 慌てて言う女の声にはまったく誠意も反省も感じられない。絶対嘘だ。
 というわけで、オレは聞こえないふりをする。
「ウーン、聞こえないなあ……レオナ、どうだ?」
「ぜんぜん、聞こえないわ」
 こくこくと頷くレオナ。苦笑するランツに、おろおろするルシウス。
 そして絶望する女。
「なんでよっ!??! なんで、待って、…………イヤーーーーッ!!!」

 哀れ、女の悲鳴と罵倒が、必死の謝罪に切り替わるのにそう時間は掛からなかった。


続く

アトラスでひと騒ぎ【13】(子世代)

2022-07-18 13:20:10 | 子世代妄想
どもです。お久しぶりです。
めちゃくちゃ時間が経ってしまってるのですが、続きのまま放置していたガウリナ子世代が主人公の物語の続きでございます。
前回までの話が気になる方は「子世代妄想」カテゴリからどうぞ。これまで読んでくださっていた方は、遅くなって本当にすみません…!
この「アトラスでひと騒ぎ」のシリーズは最後まで書ききるつもりなので、どうぞよろしくお願い致します~。

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 ざく、ざく、と雑草を踏みしめる足音が近づいてくる。薄暗い森の中、近づいてくるシルエットは小柄で、さらに長いマントをなびかせている。
「お前は……!」
 息を呑むオレ達の前に、とうとうそいつは姿を現した。

 若い女。栗色の長い髪は軽くウェーブが掛かり、赤みがかった茶色い目はキツく吊り上がっている。……そして、大きな胸にくびれたウエスト。無闇に露出度の高いファッションを覆うように肩から掛けた黒いマントの縁には、いくつもの房飾りと派手な宝石がくっついていた。
 ――偽物。これでハッキリした。こいつは正真正銘の偽物だ。……母さんはこんな下品なファッションセンスはしていないし、何よりこんなに胸もでかくない。

「あたしに何か用?」
 ねぐらを襲われたというのに、やけに余裕ぶった態度の女だ。死屍累々、とその場に転がっている盗賊たちを見向きもしない。『仲間』とも思っていないのか。
「お前が、リナ=インバースの名を語る偽物か」
 オレの言葉に、相手はぴくりと片眉を吊り上げる。
「……失礼ね、あたしは正真正銘リナ=インバースよ」
「オレは本物を知っている。間違っても、アンタみたいな女じゃない」
 リナ=インバースは強盗を潰すことはあっても、その仲間になる程ワルじゃない。
「その証拠は?」
「は?」
「そっちの知り合いが本物って証拠はあるわけ? あたしが偽物って証拠も? 無いでしょ。そっちが嘘ついてる可能性を誰も否定できないわよね」
 にやにやと言う。ムッとしたオレを片手で制したのはランツだった。
「仮にあんたがリナ=インバースだとしよう。じゃ、なんであの盗賊殺しで有名なリナ=インバースがケチな盗賊とつるんで強盗なんて働いてんだい。それに、相棒のガウリイの兄キは?」
「あたしが何をしようと勝手でしょ。そういう気分だっただけ。……それに、ガウリイ、ね。ああ、懐かしい名前。確かに私はあいつと旅をしてたわよ。――けど彼、顔は良いけど女遊びが激しくて。……こっちから捨ててやったわ」
 ポイ、とゴミを投げ捨てるような仕草。
「………………テメェ」
 思わず声が低くなる。母の名を汚すばかりか、両親の関係すら馬鹿にされたのでは黙っていられるわけもない。剣を抜こうと腰に手を伸ばすオレだったが、剣の柄を掴む前に背後から聞こえる声に気が付いた。
「……黄昏よりも昏きもの、血の流れより紅きもの……」
 地を這うような恐ろしく低い声。怒りのオーラが満ち満ちている。って、その詠唱は。
「! 待て待て待て、待てレオナ! こんな所でソレは止めろっ!」
 慌てて手で口を塞げば、彼女はじたばたしながらオレを睨んだ。
「離して兄さんっ! あの女……っ! ぜぇぇったい許さないっ! ふん捕まえてっ、このっ、めちゃくちゃにしてやるっ」
 怒っている。それはもう怒っている。我が妹がこんなにキレているのは初めて見たかもしれない。隣でルシウスがちょっと引いている。――とはいえ、彼も、ランツもあの女には怒りを感じているようで。
「行きましょう。あの人を、なんとしても捕まえるんです!」
「おう。……姉ちゃん、よりによってリナ=インバースの名前なんぞ騙ったことを後悔するんだな」
「フンっ、捕まえられるもんなら捕まえてみなさいよ」
 偽リナ=インバース、捕獲作戦開始、である。

続く

アトラスでひと騒ぎ【12】(子世代)

2017-04-23 23:07:30 | 子世代妄想
お久しぶりに前回からの続きです!
ほんとに久しぶり過ぎてすみません…汗

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目論見通り、盗賊団のアジトは街外れの森にすぐに見つかった。
いや、アジトなんて大層な代物でもない。森の中に勝手にロープや布を張ってそこに住み着いているだけだろう。

早朝に出発したオレたちがそれを見付けた時には、賊たちは皆その場にだらしなく眠りこけていた。
人の事は襲うくせに、自分達が襲われる可能性は考えていないのだろうか。無用心にも程がある。

「はっは、オレの鋭い読みはどうやら当たったようだな!」
「凄いですラウディさん……!」
尊敬の眼差しでオレを見つめるルシウスにいい気になりつつ、オレはきょろきょろと辺りを見回した。
──どうやら、見張りなんかはいないようだな……。
同じように辺りを見回していたレオナも、小さく声をあげる。
「でも兄さん、それらしい女魔道士の姿は見当たらないわ」
──確かに。
「ふむ。偽インバースは別の所で寝泊まりしてるのか……?」
顎を撫でつつ、ランツが呟く。その可能性は確かに否定できない。
──とはいえ。
「まあ、それはこいつら叩きのめしたところで分かるんじゃないか?」
にやり、と不敵な笑みを浮かべて見せたら、レオナが嫌な顔をした。
「兄さん……やばんじん」
「だまらっしゃい」

こほん。
オレは小さく咳払いした。皆より数歩ぶん前に出る。そして、口の中で小さく呪文を呟き始めた。
精神を集中させる。力ある言葉、カオスワーズによって空気中にある魔力エネルギーを手繰り寄せ、かき集めていく感覚。
──そしてそれを解き放つ。
「『振動弾(ダム・ブラス)』!!!」

どごぉぉぉん

派手な音を立てて木々が折れ、そして砂塵が舞った。
「な、なんだ………!? 奇襲か!?」
「何事だぁッ」
衝撃によって、盗賊たちがわらわらと目を覚まし、起き上がる。
そんな中、オレは追撃を放った。
「『氷の槍(アイシクル・ランス)』!!」
びきびきびきびきっ
「『雷撃破(ディグ・ヴォルト)』!」
ばちばちばちばちっ

ほんの数分で、辺りはパニックから沈黙へ。

「ふはは、ひとたまりもない!」
累々と横たわる賊たちを眺めながら、オレはえへん、と胸を張る。
「よ、容赦ねえなあ兄ちゃん……」
「兄さん……」
君たち、なんだその目は。

「……く、そ……なんだテメェらは……」
根性ある事に、まだ元気な奴がいたらしい。這いつくばりながら、そいつがオレ達から逃げ出そうともがいている。
そんな賊の前に、オレは颯爽と立ちふさがった。
「おい」
「ひっ……、」
わざとらしく手にライティングの光を持って声を掛ければ、相手は完全に腰を抜かして怯えた顔をする。
「あんたらのお仲間の、女魔道士はどこにいる?」
「女……リナの事か?」

――やはり、か。
賊の言葉に、その場にいる全員が顔をしかめた。
母さんの名前を、騙る女。それは一体。

「――あら、謎の襲撃者の目当てはあたしってわけ?」

その時。
オレの疑問に答えるように、その場に女の声が響いたのだった。



続く

アトラスでひと騒ぎ【11】(ガウリナ子世代)

2016-04-08 01:08:49 | 子世代妄想
子世代妄想、以前の更新からめちゃくちゃ間が空いてしまいました...(*_*)ひえー

そんなわけで前回からの続きです。

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翌朝。
オレたちは、宿近くの食堂に集まっていた。いわゆる作戦会議、というやつである。
ついでに朝食もたっぷり摂る。腹が減ってはなんとやら。

「......で、どうするつもりなの? 兄さん」
首を傾げつつ尋ねるレオナは、三杯目のスープに口をつけた所だった。
そんな我が妹を、なぜだかうっとりとした眼差しで見つめているルシウス君。
......そんな君に一言言いたい。──分かりやすいぞっ!

「ああ、一応策は考えてあるさ」
自信たっぷりに宣言してやると、ルシウスが目を輝かせた。
「凄い...!一体どんな策なんです?」
そのきらきらとした目にちょっとだけ気をよくする。若者よ、それではこれから聞かせてしんぜよう。
「真正面から一気に潰しに行く。これだ」
「真正面から、ですか......?」
怪訝な顔をしたルシウスに、オレは改めてイスに座り直した。

「話を聞いて回った限り、賊が店を襲うのは少数でだが、潰された店は既に片手どころか両手でも足りなくなってる。大人数いる賊どもがグループに分かれて行動してるとしか思えない。......だったら、個別に捕まえるんじゃ効率が悪すぎる。集まってる所を一網打尽にする方が良い。出来れば、その賊どもの頭になってるだろう偽リナ=インバースも含めて、な」
「兄さん、そいつらが集まりそうな所、分かるの?」
口を挟んだレオナに、オレはちっちと指を降ってみせる。
「考えても見ろ。リナ=インバースの名を騙って街を襲ってる女と、それ以前に街を襲ってた盗賊団を潰したっていう女は十中八九同一人物だろ。『潰した』って言うより団を『乗っ取った』のがたぶん正解なんだよ」
「盗賊団を乗っ取り......ですか」
「結局は賊の頭が変わっただけだ。なら、多分賊のアジトの場所は変わっちゃいないはずだ。そのまま使う方が手っ取り早いだろうからな」

オレの鋭い推理はたぶん当たっているだろう。だとしたら、盗賊どものアジトと考えられるのは......。
「仮に兄ちゃんの説が当たりだとしたら、アジトの場所は街外れの森が怪しいな」
「おっさん......」
良いところで割り込んで来たのは、昨夜と変わらぬ出で立ちのランツその人だった。

「ランツさん。おはよう」
「おお、嬢ちゃんたちもおはよう」
からから笑いながら、おっさんはオレたちのテーブル席にちゃっかり座る。
ついでに勝手に皿の上のハムをつまんだ。......おっさんというものはどこであろうと図々しい。

「......んで、話は聞かせて貰ったが。奴らが集まる時間てーのは見当が付いてるのかい?」
「もちろん」
言って、オレはニヤリと笑ってみせた。

「......朝だよ、朝。今から作戦決行だ」


続く
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次回に続きます(`・ω・´)