どもです。あきらです。
「アトラスでひと騒ぎ」シリーズ、これにて最終回です!
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました~。
子世代妄想シリーズ、彼らの物語はまだ続いておりますが、私がそれを書くかは未定でございます。もし書く事になったら、その時はどうぞよろしくお願い致します。
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「ごめんなさい……あたしが強盗騒ぎの犯人です……リン=インバースの名前を勝手に使いました……本名はソフィア=グレイシーです……うぅっ、ごめんなさい……」
半泣きで謝罪しながらボロボロの姿で突き出された女に、流石の憲兵も少々驚いたらしい。が、彼女が売らずに所持していた奪われた宝飾品やら、森の中で見つかった盗賊のねぐらとオレ達の証言で、オレ達の仕事の達成は正式に認められた。
――偽リナ=インバースの討伐、これにて完了である。
「はぁ~いい仕事した後の飯、最高だよな……あ、おばちゃん、このオムレツお代わりお願い」
「ほんとね、兄さん。あっ、私もこのポタージュスープを二人前追加で」
街の食堂。四人で分けたとは言え、報酬はなかなかの金額だった。これなら暫く路銀には困らないだろう。――アトラス・シティも相当困ってたんだろうな、偽リナ=インバースに。
仕事後の食事にありつけたのは、昼も過ぎて夕方に近い時間だった。
「はは、ほんとによく食うなあお前さん達。ルシウスも食ってるか?」
「ええ、凄く美味しいですね。このパン、絶品です」
ライ麦パンを齧りながら嬉しそうにほほ笑むルシウスは、口元にサラダの玉子がくっついている。
「で、お前さん達これからどうするんだ?」
まだしばらくこの街に居るのか? そう問われて、オレとレオナは顔を見合わせた。
「ん? ああ、この前話してた通りルシウスと一緒にサイラーグに行くよ。な」
オレの言葉に、ルシウスはおしぼりで口元を拭いながらこくこく頷く。
「はい。ランツさんは?」
「俺は今回の仕事でそれなりに報酬貰ったからな。一回自分の街に帰るさ。お前さん達見てたら、久しぶりに自分の息子の顔も見たくなったし」
「そっか」
これで即席チームも解散か。短い付き合いだったが、なかなか楽しい時間だった……かもしれない。
*
「それじゃ、お前さん達、元気でな」
街の玄関口。森へと続く街道の前で。
「おう。おっさんもな」
「ランツさん、ありがとう。さよなら」
「ランツさんお元気で」
それぞれに別れの挨拶を交わして、手を振って歩き出す。
――と。
「あ、そうだ。おい、兄ちゃん」
ちょいちょい、とランツは何故かオレにだけ手招きをした。
「?」
レオナとルシウスをその場に残し、訝し気に彼の前まで戻ると、おっさんがオレの耳元で何やら囁く。――なんだなんだ?
「あんたの父ちゃん母ちゃん……リナ嬢とガウリイの兄キにも、よろしく伝えておいてくれ、な」
「……!? あんた、気付いて……?」
ばっと顔を上げれば、ランツはくすくすと笑って。
「まあ、初めて見た時からちょっと疑ってたんだが……確信したのは夜にあんたと軽く試合した時だな。……そっくりだったよ、太刀筋が」
それに性格も母さんの方にそっくりだ。ランツはそう付け加えてにやっと笑って見せる。
「オレ……母さんにはよく似てるって言われるけど、父さんに似てるって言われたのは初めてだ」
見た目も、のほほんとした性格も。どちらかと言えば父さんの性質を受け継いでいるのは妹の方で。
「そうか? 俺から言わせりゃ、あんたもレオナも、父さんにも母さんにもそっくりだよ」
「……、」
――なら。なら、オレは。父さんに負けないくらいの、剣の腕を得る事が出来るだろうか。大切な妹を守れる、強い兄貴に……。
「あんたは強くなる。……大事な妹、守ってやんなよ」
「……おう」
「兄さん。ランツさんと何話してたの?」
「ん、ちょっとな」
「ええ~? 怪しい」
「怪しくない怪しくない。……ほら、行くぞ」
「はーい」
「ええ、行きましょう」
目指すはサイラーグ。過去の災厄により滅び、しかし徐々に復興し人々の活気が戻りつつある街。
「新しい街。楽しみだなあ~。ご飯は美味しいかしら」
「そうだな。美味いと良いな。……ついでに伝説の剣も、なんか情報ねえかなぁー」
父の持つ、伝説の剣ブラスト・ソードに代わる伝説の剣を探す事。旅の目的を胸に、オレとレオナは、ルシウスとともにアトラスの街を後にするのであった。
終わり
半泣きで謝罪しながらボロボロの姿で突き出された女に、流石の憲兵も少々驚いたらしい。が、彼女が売らずに所持していた奪われた宝飾品やら、森の中で見つかった盗賊のねぐらとオレ達の証言で、オレ達の仕事の達成は正式に認められた。
――偽リナ=インバースの討伐、これにて完了である。
「はぁ~いい仕事した後の飯、最高だよな……あ、おばちゃん、このオムレツお代わりお願い」
「ほんとね、兄さん。あっ、私もこのポタージュスープを二人前追加で」
街の食堂。四人で分けたとは言え、報酬はなかなかの金額だった。これなら暫く路銀には困らないだろう。――アトラス・シティも相当困ってたんだろうな、偽リナ=インバースに。
仕事後の食事にありつけたのは、昼も過ぎて夕方に近い時間だった。
「はは、ほんとによく食うなあお前さん達。ルシウスも食ってるか?」
「ええ、凄く美味しいですね。このパン、絶品です」
ライ麦パンを齧りながら嬉しそうにほほ笑むルシウスは、口元にサラダの玉子がくっついている。
「で、お前さん達これからどうするんだ?」
まだしばらくこの街に居るのか? そう問われて、オレとレオナは顔を見合わせた。
「ん? ああ、この前話してた通りルシウスと一緒にサイラーグに行くよ。な」
オレの言葉に、ルシウスはおしぼりで口元を拭いながらこくこく頷く。
「はい。ランツさんは?」
「俺は今回の仕事でそれなりに報酬貰ったからな。一回自分の街に帰るさ。お前さん達見てたら、久しぶりに自分の息子の顔も見たくなったし」
「そっか」
これで即席チームも解散か。短い付き合いだったが、なかなか楽しい時間だった……かもしれない。
*
「それじゃ、お前さん達、元気でな」
街の玄関口。森へと続く街道の前で。
「おう。おっさんもな」
「ランツさん、ありがとう。さよなら」
「ランツさんお元気で」
それぞれに別れの挨拶を交わして、手を振って歩き出す。
――と。
「あ、そうだ。おい、兄ちゃん」
ちょいちょい、とランツは何故かオレにだけ手招きをした。
「?」
レオナとルシウスをその場に残し、訝し気に彼の前まで戻ると、おっさんがオレの耳元で何やら囁く。――なんだなんだ?
「あんたの父ちゃん母ちゃん……リナ嬢とガウリイの兄キにも、よろしく伝えておいてくれ、な」
「……!? あんた、気付いて……?」
ばっと顔を上げれば、ランツはくすくすと笑って。
「まあ、初めて見た時からちょっと疑ってたんだが……確信したのは夜にあんたと軽く試合した時だな。……そっくりだったよ、太刀筋が」
それに性格も母さんの方にそっくりだ。ランツはそう付け加えてにやっと笑って見せる。
「オレ……母さんにはよく似てるって言われるけど、父さんに似てるって言われたのは初めてだ」
見た目も、のほほんとした性格も。どちらかと言えば父さんの性質を受け継いでいるのは妹の方で。
「そうか? 俺から言わせりゃ、あんたもレオナも、父さんにも母さんにもそっくりだよ」
「……、」
――なら。なら、オレは。父さんに負けないくらいの、剣の腕を得る事が出来るだろうか。大切な妹を守れる、強い兄貴に……。
「あんたは強くなる。……大事な妹、守ってやんなよ」
「……おう」
「兄さん。ランツさんと何話してたの?」
「ん、ちょっとな」
「ええ~? 怪しい」
「怪しくない怪しくない。……ほら、行くぞ」
「はーい」
「ええ、行きましょう」
目指すはサイラーグ。過去の災厄により滅び、しかし徐々に復興し人々の活気が戻りつつある街。
「新しい街。楽しみだなあ~。ご飯は美味しいかしら」
「そうだな。美味いと良いな。……ついでに伝説の剣も、なんか情報ねえかなぁー」
父の持つ、伝説の剣ブラスト・ソードに代わる伝説の剣を探す事。旅の目的を胸に、オレとレオナは、ルシウスとともにアトラスの街を後にするのであった。
終わり