ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

いれぎゅらー。【おまけ】

2014-04-27 18:51:42 | スレイヤーズ二次創作
「いれぎゅらー。」の続き、というかおまけです。
ただのガウリナ(*´∀`)

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「なあリナ、そのドレス、もう脱がないか?」
黙ってあたしを見つめたあと、ポロリとそんな事を言ったガウリイに、あたしは赤面しつつスリッパを取り出した。
「......ななな、こんな街中でなーに言っちゃってんのよ!!」
「へ?」
「はれんち!すけべ!」
すぱーん。
振り回したスリッパがガウリイの頭にクリーンヒットする。
「い、てて。違う違う!そういう意味ではなくてだな」
ほんのり顔を赤らめつつ、ガウリイは頬を指でぽりぽり掻いた。
「......着替えないか?なんだったら新しい服買ってやるから」

あたしたちは、ユーリの誕生日会を抜け出して、夜の街を宿に向かって散歩している最中なのだった。
だから、珍しく二人ともドレスと礼服で着飾っている。
いつもと違う自分たちに、あたしは少しどきどきしていた。

「なによ、これそんなに似合わない?」
確かにあたしはいつも動きやすい格好ばかりで、こんな上品なドレスは似合わないかもしれないが......。ちょっと傷つくぞ。
「いや、似合ってるよ......!」
慌てて否定しながら、でもガウリイは珍しく拗ねたような顔をして口を尖らせた。
「それ、あのユーリって奴から貰ったんだろ?」
「え?まあ、そうだけど」
「......」
無言のガウリイに、ぴんときた。

「なに、もしかしてユーリに嫉妬しちゃってるわけ?」
にやにやしながら彼の顔を覗き込むと、ガウリイはちょっぴり赤くなりつつジト目であたしを睨んだ。
「嫉妬なんてするかっ」
「またまたあ~」
うりうり、とガウリイを肘でつつく。
「やめんかっ!......だああ、もう。そうだよ、嫉妬してるよ!悪いかっ」
言って、長い金髪をかきむしる。
「コイビトが、他の男からの贈り物なんか身に付けてて、いい気分なんかするわけないだろ」
「!」
ガウリイの口から出た『コイビト』という単語に、思わずどきりとする。
そうなのだ。あたしとガウリイは、ついさっき恋人同士になってしまったのだ。
「凄く良く似合ってるから、特に......な」
そう言って優しく見つめられて、あたしはさっきみたいに軽口を返せなくなった。
「......じゃあ、新しい服ちゃんと買ってよね」
目を逸らしてぼそりと呟くと、笑ってくしゃりと頭を撫でられた。

****************

ふわりと優しい色のワンピース。
ガウリイが買ってくれた服は、ドレスとは全然違うけど、軽くて着心地が良かった。
──たまにはこういう服を着るのも良いかも。これじゃ戦えないけど。

「......ねえ、ガウリイのその服はどうしたの?」
自分が着替えると、今度は相手が気になるものである。
いつものラフな服とは違う、きちんとした礼服。艶のある黒い生地にガウリイの長い金髪が映えている。
さっきから彼が何度も頭を掻くから、せっかく整っていた髪もいつの間にやらいつものボサボサ頭に戻っているのがもったいない。
だけど、それでも贔屓目なしに格好いいからちょっと悔しい。

「これな、宿のおばちゃんに紹介して貰った店で、店員さんに全身見繕って貰ったんだ」
ガウリイは笑ってくるりとその場で回ってみせた。
──ううみゅ、人目を引くなあ。
......それにしても。

「ふうーん。......その店員さんてさあ、女の人?」
「え?まあ、そうだけど」
当たり前のように答えて首を傾げるガウリイに、あたしはちょっとだけムッとした。
──自分に関しては無頓着なやつ!
「......あたしも」
「ん?」
「あたしもガウリイの服買ったげる!もっと普段から着られるやつ!」
「え?なんでだ?別にこれで十分.........」
「良いからっ!行くわよガウリイ!」
「まてまて、もうさすがにどこの店も閉まってるって」
外はもう真っ暗で、時間も深い。
慌てて引き止められて、あたしは憮然としてガウリイを見上げる。
「......じゃあ明日で良いわよ」
ぷい、とわざとらしく顔を背けてやる。
──ふーんだ。自分はあたしにユーリからの服を脱げだなんて言っておいて!

ぷりぷりしながら一人で歩き出すと、後ろからガウリイの笑い声が聞こえてきた。
「なーに笑ってんのよガウリイ!」
思わず振り返ると、彼は思いのほか近くまで来ていて、至近距離で視線がぶつかった。
「──リナ、嫉妬してくれるのは嬉しいが、店員は年のいったおばちゃんだったぞ?」
「......」
おかしそうに笑うガウリイに、あたしは思わず赤くなった。
「し、知らないわよそんなの!あたしはガウリイが服を買ってくれたお礼をしたいだけ!」
「そっか」
「そうよ!素直に喜びなさいっ」
慌てながら叫ぶと、ガウリイはにこにこしながら腰をかがめた。

「ありがとな」
ちゅっ。

額になにやら柔らかい感触。そして軽くて小さい音。
それがガウリイからのキスだということは、一瞬経ってから気付いたのだった。
「な、なななっ......」
「まあ、デコくらい許してくれよな。ほら、行くぞリナ」
そう言って差し出された手を、あたしはしばらくしてから取ったのだった。


終わり

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今度こそ終わりです!
ありがとうございました(*´∀`)

ちょっと長ったらしくなった気がしないでもないけど気にしない!


いれぎゅらー。【4】(ガウリナ)

2014-04-08 17:20:31 | スレイヤーズ二次創作
前回の続きです!
今回でようやく終わりです(´▽`)
ほんとにお待たせ致しました~。
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広々としたホールに、着飾った人々が溢れる。領主の息子、ユーリの誕生日会は、それなりにきちんとしたパーティーだった。派手すぎず上品に飾り付けられた会場に、凝った料理の数々。
中には、質素な身なりの若者たちも何人かいる。きっと魔道士としてのユーリの友人たちだろう。
初対面では愛想の悪い男だったが、彼の誕生を祝う友人もちゃんといるらしい。

その中で、あたしは慣れないドレスを着て壁の花になっていた。
今朝、ユーリから宿に届いたドレスはシンプルながら品があって、高価そうな代物だった。
着て行くか凄く迷ったが、せっかくだから着ることにした。......着ないのは勿体無いし。
銀細工のネックレスが、首もとできらきらと光る。これも今朝届いた物だ。
素敵な贈り物を貰って、素直に嬉しい気持ちと、申し訳無いような複雑な気持ちで、ネックレスを指で弄る。
これが、スケベな悪徳商人のおっちゃんからのプレゼントだったら、なんの躊躇いもなく貰うのに。そしてうっぱらう。
──でも、このドレスやネックレスには、ユーリの気持ちが籠もっているから。
「......無碍に出来ないじゃない」
ふう、とため息を付いて天井を見上げた。
宿を出る時、ガウリイとは会わなかった。どうやらまだ寝ていたらしい。
──どこまでも呑気なヤツ!

ガウリイは、昨日のあたしの態度を、なんとも思って無いのだろうか。急に怒り出して困った、くらいのものなのか。
......凄く、腹立たしい。

あたしは昨日、ガウリイに、何て言って欲しかったのだろう。今日は一日、そればかり考えている。

「リナ、来てくれたのかっ!」
呼ばれて振り向くと、今日の主役が立っていた。
昨日と打って変わってきちんとした身なり。撫でつけた髪。目つきだけはやっぱり良くないけど、ずっと上品に見える。ただ、少し幼い感じがする。
「ユーリ......」
「それも、着てくれたんだな」
あたしのドレスを見て満足そうに頷いた彼は、当たりを見回した。
「一人で来たのか?」
「......まあね」
肩をすくめてみせると、ユーリはちょっと黙ってから、微笑んだ。
「そうか」

「ユーリは、今年いくつになるの?」
「十九だ」
言って、後ろを振り返る。
彼の見つめる先には、父親らしき男性の姿があった。少し離れた場所で、周りの人々と談笑している。
「来年は二十歳になる。そろそろ親父の仕事を手伝わないとな。流れの魔道士を装って夜の食堂にたむろするのも、出来なくなるだろうな」
「そう......」
遠い目をした彼は、あたしに向き直った。ざわめきの中で、あたしたちの周りだけは静かだ。その空気に、少しだけ緊張する。

「なあ」
「......何?」
何気なく返事をしたあたしは、彼の目があまりに真剣なのを見て、思わず息を呑んだ。
「......リナ。俺はお前が気に入ってる。そのドレスを贈るくらいには」
「そう」
その続きを、あたしは聞くのが怖い。けど。
「俺と、婚約してくれないか」
「......っ!」

ひたり、と見つめられて、あたしは言葉に詰まった。
なにせ、今までそんな事を言われたことが無かったのだから仕方がない。
──婚約。
その言葉の意味くらい分かっている。彼の気持ちが、瞳から伝わって来る。
「これから、俺のパートナーになってくれ」
「パートナー......」

パートナー。相棒。それは、あたしにとって、ずっとただ一人のための言葉だった。
それはきっと、普通の意味でも、違う意味でも。
今、この場所で、それに気付いてしまった。

──それに、本当にこのドレス姿を見てほしかったのは、ユーリじゃなくて......

「......ユーリ、ほんとにごめんなさい」
言って、頭を下げた。
「そうか。......やっぱり、な」
「へ?」
ユーリが苦笑しながらあたしの後ろに目をやった。
つられて振り向くと、すぐ後ろに。
「ガウリイ!?」

肩で息をしながら、パーティー用の洒落た礼服を着たガウリイが立っていた。
「......悪い、連れてくな」
それだけユーリに言うと、呆気に取られるあたしの腕を引いて、さっさと歩き出す。
「ちょ、ちょ、ちょっと!今の話聞いてたの!?」
「え?何の話だ?」
「何のって......」
慌てるあたしに構わず、ガウリイは会場の外へあたしを連れ出した。

「捜したぞ、リナ」
人気の無い廊下まで出てから、ガウリイが笑う。
普段目にしない彼の礼服姿が、様になっていてどきりとする。
長い金髪がきちんとまとめられ、前髪を流しているから両目がちゃんと見えている。改めて、ガウリイの目の碧さに驚いた。
「何しに来たのよ......」
驚きと恥ずかしさでぶっきらぼうに言ったあたしに、ガウリイは苦笑した。
「お前さんを攫いに」
「は!?」
「なんつって、な」
照れたように頭を掻いて、目を細める。
「その格好、似合うな」
「......そりゃどーも」
「でも、嫌だったんだ」
「は?」
「リナが、あいつから貰った服であいつと一緒に居るのが、嫌だった。ほんとは一人で行かせたくなかった」
「だったら......っ」
──なんで昨日は、あんな事を。

「すまん、昨日のオレはあいつに嫉妬して、拗ねてた。まったく子供みたいだよな」
「......それって」
──つまり、つまり。そういうこと?
ガウリイは、あたしの肩に手を置いた。
「オレはお前さんが好きなんだ。ずっと一緒に居て欲しい。あいつとじゃなくて、オレと。これからも、ずーっと。死ぬまで」
「......っ」
「それだけ、言いたくて来たんだ」

間近で見るガウリイの瞳が、肩に置かれた手が、どっちも熱っぽくて、くらくらする。
「......ばか」
「え?」
「ばかばかばかっ!......あたしも好き」
それが精一杯だった。あたしの返事。
それだけ言って、あたしはその場から逃げ出した。
......けど、あっという間に捕まえられて、後ろから抱きしめられた。
「ぎゃっ」
「やった!嬉しいぞリナっ!」
後ろから、顔を見なくても満面の笑顔だと分かるくらい嬉しそうな声が響いて、胸がきゅう、と締め付けられる。
「うるさいっ!離しなさいよっ!」
あたしはじたばた暴れながら、だけど我ながら真っ赤だったと思う。
......あともう少しで、ドラスレ放っちゃう所だった。危ない危ない。

結局、それからすぐ会場に戻って二人してご馳走を頂いて帰った。
あたしたちは、そんなにすぐには変われないのだ。
......でも、それで良い。
それがあたしたちの普通なのだから。


終わり

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おしまいでっす!
颯爽とリナを攫うガウリイを書きたかったんだ!
なんか違うけどっ!!(笑) 

......ちなみにこの後ドレスとアクセサリーは返却しようとして断られた、かなー?

それではまた次回。


すれいやーず。

2014-04-08 01:01:03 | 趣味
スレイヤーズのアニメ無印の放送が始まったのが、19年前の昨日だったそうです。
なんだか驚きですね。

私がたぶん幼稚園の頃です。
それがもう、私はガウリイの年齢を越してしまいました。ふわああ。

ハマったのは6年前くらいからなんですけど、時間が経つのって凄く早いなあ。
二次創作始めたのはもうちょっと後ですが。最近すっかり更新が遅くなってしまって、申し訳ないです。
色々浮気しちゃってるしなー。(ちなみに今黒バスにハマってますw声優の細谷さんが凄い気になってるのです。)

思うのは、ほんとにリナもガウリイも、アメリアもゼルも「強い」ってこと。
物理的にもそうなんですけど、それよりも精神が強い。
もちろん、全員が物語の中で様々な境遇の中で育って、強くならざるを得なかったのは分かるのですが。
今の私は彼らより年上になってしまったのに、彼らよりずっと子供だな、と思うのです。
成人しても、ずっと幼いし、弱いなー、と。

私も強くなりたいものです。誰かを支えたり、守れる人になりたい。
ガウリナを見てると、本当にそう思うのです。改めてスレイヤーズは凄い作品だな、と思います。
ツイッターでも沢山のおめでとうコメントが溢れていて、私も嬉しくなりました。
改めて、スレイヤーズおめでとう!!これからも愛していきます。



いれぎゅらー。【3】(ガウリナ)

2014-04-08 00:44:36 | スレイヤーズ二次創作
前回の続きです!
ガウリイはリナを、リナはガウリイを「鈍い」とお互い思ってそうだよね(´・ω・`)...という話。

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出て行ったリナを呆然と見送ってから、オレは一人頭を抱えた。
「......なんでリナを怒らせてんだ、オレは」
自分の髪をぐしゃぐしゃとかき回してから、ため息をつく。
──だってなあ。
あの男、ユーリは明らかにリナを気に入った様子だったし、リナだって楽しそうに話していた。
そんな中、ユーリのパーティーにオレがのこのこついて行っても邪魔だろう。

リナはあいつの気持ちに気付いているのだろうか。
あいつはあれで鈍いから、きっと分かっていないのだ。それがなぜか凄く腹立たしいような、ほっとするような、複雑な気持ちで。
無性に苛々して、遠まわしにリナを責めるような事を言ってしまった。

──あいつはリナに来て欲しいんだろ。オレが行って構わんのか?

リナがどんな反応を返すのか、試したかったのかもしれない。
でもまさか。
──あんな泣きそうな顔をするなんて......。

なぜリナがあんな怒り方をしたのか、さっぱり分からない。
リナは今、何を考えてるのだろうか。
──明日、あいつの元へ、リナは一人で行くのか......?

「あー......考えるのは専門外だ」
一人で唸って、ベッドに勢いをつけて倒れ込む。
むしゃくしゃするのに、どうして良いか分からなくて困る。
リナの気持ちが分からない。オレ自身の気持ちも。

そもそも、どうしてこんな悩まなくちゃいけないんだ?
「............とりあえず、全部あの男のせいだ」
呟いた独り言は、ひどく子供じみて聞こえた。


翌日。
珍しく寝坊したオレは、部屋の掃除に来た宿のおばちゃんのノックの音に起こされた。
「兄ちゃん、もう昼だよ!それに連れの嬢ちゃんは起きて出掛けてったよ? 二部屋分の連泊料金も貰ったからね!」
「......そうか。すまん」
ぼんやり返事をしたオレに、おばちゃんの笑い声が返ってくる。
「おやおや、これはあの子に振られたクチかい?」
「はっ?」
予想外の発言に、オレは慌てて部屋のドアを開けた。
「どういうことだ?」
パジャマ姿で出てきたオレに、おばちゃんが呆れたように腰に手を当てる。
「......今朝、あの子宛てに贈り物があったのさ。ありゃ、ドレスだね」
「ドレス?」
「そうさ。そして、アクセサリーと小さなカード。......あの嬢ちゃんも隅に置けないねえ」
にやにやしながらオレを見上げるおばちゃんは、どうやらオレの反応を窺っている。
──全く趣味の悪い。

「あの子は旅の連れなんだろう? 大事なら、捕まえとかないと盗られちまうよ」
──そうか。あの男、どうやら本気らしいな。
「......ご忠告どうも」
なんとも言えない気分で言い返すと、おばちゃんはニカッと笑った。
「なんだい辛気くさい顔して。あんた顔はなかなかいい男なんだから、しゃんとしな」
「......」
どうやら、なかなかのお節介に捕まったらしい。

それにしても、あの男が送ったドレスとアクセサリーを身につけて、あの男の誕生会に参加するってのか?......あのリナが。
いや、もう誕生会は始まってるかもしれない。
──......凄く、面白くない。
憮然とした顔をしたオレに、おばちゃんはますますおかしそうに笑う。
「ほらほら、急がないと間に合わないよ。気持ちに正直になりな。」
「......」
──気持ちに正直に。
隠れていた、いや、隠していた想いが胸に溢れてきて、苦しくなる。
「リナの気持ちを尊重したい......リナがあいつを好きになるなら...」
「バカだね、何もしないのは相手の気持ちを尊重するのとは別だよ。勝手に嬢ちゃんの気持ちを決めつけるんじゃないの」
顔を上げたオレに、おばちゃんは器用にウィンクして見せる。

そして、昨夜のリナの泣きそうな顔が、頭に浮かんだ。
 
「......おばちゃん。この近くに、礼服売ってる店はあるか?」


続く

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次回に続きます!

またおばちゃんという第三者に頼ってしまった...(´・ω・`)