どもども!あきらです(´▽`)
またしても自慢記事です(笑)
先日書いたリクエストSS、『さぷらいず。(四人組)』をリクエストして下さったあいこさんから、そのイメージイラスト(?)を頂いちゃいました!!
わーい( ´艸`)
その素敵イラストがこちらです!
......可愛すぎるでしょー!!(ノД`)<ひゃーっ
ぷにっとした四人組が...!!マフラー編んでるアメリナと巻いてるガウゼルが!照れて赤くなってるゼルやんが......!!ぐはぁっ(吐血)
......そんなわけで、お宝がまた一つ増えてしまいました。実は昨日誕生日だったので嬉しさ10割増です(*´∀`)うふっ。
あいこさん本当にありがとうございました~っ!
お待たせいたしましたーっ!!
リクエスト消化第5弾です。前回からかなり時間がかかってしまいましたが、なんとか完成しましたー!(ほっ
今回は、こちらも普段twitterでお世話になっているあいこさんからのリクエストですー^^*
リク内容は「ガウリナ、ゼルアメ前提の仲良し四人組で、ガウリイ、ゼルにサプライズをしかけるリナとアメリア」でした。
素敵なリクエストありがとうございましたーヽ(*´∀`*)ノ.+゚
ではでは、続きからどうぞ!
-----------------------------------------------
「高級羊毛の産地?」
四人旅の途中。たまたま辿り着いたその村では、羊農が盛んだった。
何やら人間たちよりも良いご飯を食べ、可愛がられ、ブラッシングを毎日受けて育つその羊さんの毛は、とてもとても上質な物らしい。
「その毛で編んだセーターはあったかくてねえ、肌触りも全然違うのよ」
そう言ってにこにこと笑った村のおばちゃんのセーターも、またその羊毛で出来ているらしい。触ってみれば、それは確かにふわふわと柔らかく、そして優しい肌ざわりだった。
「へええ、良いわね」
「暖かいし、軽くて素敵……」
感心しながらおばちゃんのセーターを撫でまわすあたしとアメリアに、おばちゃんは機嫌を損ねる事もなく色々と教えてくれる。
「だんだん寒くなってきたからねえ。既製品も勿論良いけど、毛糸を買って自分で小物を作るのも人気だね。お嬢ちゃんたちも、誰かのプレゼントにどうだい?」
「――プレゼント、ねえ……」
顔を見合わせたあたしたちに、ちゃっかり自分の店の毛糸を紹介し始めるおばちゃんは、なかなかどうして商売人だった。
***
最近、リナとアメリアの様子がおかしい。
妙にこそこそして、二人してどこかへ出かけていく。しかも毎度手土産を持って。そして、帰ってくるとどこか嬉しそうなのだ。
凄く気になるのだが、何故か二人とも行き先を教えてはくれない。
「あんたたちには関係ないのっ!」
慌てたようにそう言うリナが何を隠しているのか。知りたいような、知るのが怖いような……。
「二人とも、どこへ行ってるんだろうなあ」
今日もまたどこかへと消えた二人をゼルガディスと宿で待ちながら、オレは溜め息をついた。男二人で長時間膝を突き合わせていても、あまり面白くは無い。話のネタもそのうちに尽きる。そうしたら話題にのぼるのは、やはりその場に居ない少女二人の事になるわけで。
「ここ一週間くらいずっとじゃないか。珍しくないか?」
確かに、今の所急ぎの予定も無いためしばらくはゆっくりする、と決めてはいたのだが。こんな風に二人とも毎日いなくなる、というのは今までになかった。
「……そうだな」
魔道書を読みながら視線も上げずに返事を返したゼルは、あまり興味が無い、といった顔をしてはいるが、でも確実に先週よりも不機嫌になっているのはオレにも分かる。
「男に会ってたらどうしよう」
がたん。
ぽろりとこぼした不安に、目の前の男は思った以上に反応を示した。
「な、ま、まさかそんな事は無いだろう……」
椅子からずり落ちそうになったゼルは、バタンと音を立てて本を閉じ、焦ったような顔をこちらに向ける。
「んー、そうとは思うんだけどなー」
リナに限って。そうは思うのだが。
――もし通う先に変な男が居たら。リナにその気が無くても向こうが勝手に勘違いをしていたら。
嫌な想像に苦い思いが広がる。
目の前のゼルもその思いは同じらしい。眉間に寄せた皺が深い。
「……アメリアの事だ。変な正義感を発揮して止むに止まれず通っているのかもしれん……」
ぼそりとそう呟いて、ゼルガディスは立ち上がった。
「ゼル?」
「……付けてみるか」
ゼルガディスの目には、熱い決意の色が浮かんでいた。
***
「――ここか」
今日もまた、妙にそわそわしながら宿を出たリナとアメリアの後を付け、辿り着いたのは小さな店だった。看板を読んで、オレとゼルは顔を見合わせる。
「手芸屋?」
この店の店主がいい男だったりするのだろうか。いやまさかそんな。
もやもやしつつ扉を開ける。そんなオレたちの目に飛び込んできたのは、色とりどりの布やら糸やら。そして店員らしき一人の若い兄ちゃん。――こいつか? 一瞬、ちり、と胸の奥で敵愾心がくすぶるが、それよりも。
予想外に、そこにリナやアメリアの姿は無かった。
きょろきょろと店内を見回すオレたちに気が付いて、兄ちゃんは無表情にぺこりと頭を軽く下げた。
「……らっしゃい」
無愛想なその店員の掛け声にオレはゼルガディスと顔を見合わせる。
「あー、その……」
「?」
「ここに、若い娘が二人来なかったか? 魔道士風の栗色の髪の女と、黒髪の――」
言いかけたゼルの言葉を、兄ちゃんが途中で遮った。
「なんだ。あんたらもばーちゃんの客?」
「「は?」」
そしてオレ達の疑問は、その後直ぐに解消された。
「がががガウリイっ!? どーしてここにっ!」
「ぜ、ゼルガディスさんまでっ!?」
めちゃくちゃに慌てた様子で手にした物を隠そうとするリナとアメリアに、思わず笑い出しそうになる。彼女達が持っていたのは、編みかけのマフラーだった。
「おやおや、お前さん達がこの子らの『いい人』かい?」
彼女達の横で同じように編み物をしていたのは、優しそうなおばあさんだった。どうやら先程の店員の祖母らしく、店の奥の小部屋を小さな編み物教室にしているらしい。
にこにこと笑う彼女に、リナが顔を真っ赤にして抗議する。
「ちょ、ちょっとおばあちゃんっ!」
抗議をしつつも、彼女の言葉を否定しないリナに思わずにやけそうになってしまう。
――イイヒト、ねえ。
「……はー、まだ完成してなかったのにー……」
リナと同じように顔を赤くして、がくりと肩を落とすアメリア。彼女の身体で隠しきれていない明るいグリーンのそれがちらちらと目に映る。
「完成してから渡して、お二人を驚かせたかったのに。サプライズ失敗ですー……」
そうか、だから黙っていたのか。納得して隣のゼルを見やると、彼は黙って顔を手で隠していた。
「……」
「ゼル、顔赤くなってる」
「言うな」
リナの後ろに回って、彼女の手からマフラーを取り上げた。
「――あ、ちょっと! それまだ編みかけなんだからねっ!」
薄いブルーのそれは、マフラーと分かるぐらいには長さがあって、柔らかい手触りが優しい。
「出来あがったらこれ、オレにくれるのか?」
「……あんた以外の誰にあげるってーのよ」
ぷい、と顔を背けたリナの頬が赤く染まっていて。オレは嬉しくなって彼女の頭をくしゃりと撫でた。
「ありがとな、リナ!」
「だからまだ早いってば!」
オレからマフラーを取り返そうと暴れるリナをよそに、オレは完成したそれにどんなお返しをして驚かせてやろうか、ゼルガディスと共謀しようかなどと、そんな楽しいサプライズを考え始めたのだった。
おしまい。
リクエスト消化第5弾です。前回からかなり時間がかかってしまいましたが、なんとか完成しましたー!(ほっ
今回は、こちらも普段twitterでお世話になっているあいこさんからのリクエストですー^^*
リク内容は「ガウリナ、ゼルアメ前提の仲良し四人組で、ガウリイ、ゼルにサプライズをしかけるリナとアメリア」でした。
素敵なリクエストありがとうございましたーヽ(*´∀`*)ノ.+゚
ではでは、続きからどうぞ!
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「高級羊毛の産地?」
四人旅の途中。たまたま辿り着いたその村では、羊農が盛んだった。
何やら人間たちよりも良いご飯を食べ、可愛がられ、ブラッシングを毎日受けて育つその羊さんの毛は、とてもとても上質な物らしい。
「その毛で編んだセーターはあったかくてねえ、肌触りも全然違うのよ」
そう言ってにこにこと笑った村のおばちゃんのセーターも、またその羊毛で出来ているらしい。触ってみれば、それは確かにふわふわと柔らかく、そして優しい肌ざわりだった。
「へええ、良いわね」
「暖かいし、軽くて素敵……」
感心しながらおばちゃんのセーターを撫でまわすあたしとアメリアに、おばちゃんは機嫌を損ねる事もなく色々と教えてくれる。
「だんだん寒くなってきたからねえ。既製品も勿論良いけど、毛糸を買って自分で小物を作るのも人気だね。お嬢ちゃんたちも、誰かのプレゼントにどうだい?」
「――プレゼント、ねえ……」
顔を見合わせたあたしたちに、ちゃっかり自分の店の毛糸を紹介し始めるおばちゃんは、なかなかどうして商売人だった。
***
最近、リナとアメリアの様子がおかしい。
妙にこそこそして、二人してどこかへ出かけていく。しかも毎度手土産を持って。そして、帰ってくるとどこか嬉しそうなのだ。
凄く気になるのだが、何故か二人とも行き先を教えてはくれない。
「あんたたちには関係ないのっ!」
慌てたようにそう言うリナが何を隠しているのか。知りたいような、知るのが怖いような……。
「二人とも、どこへ行ってるんだろうなあ」
今日もまたどこかへと消えた二人をゼルガディスと宿で待ちながら、オレは溜め息をついた。男二人で長時間膝を突き合わせていても、あまり面白くは無い。話のネタもそのうちに尽きる。そうしたら話題にのぼるのは、やはりその場に居ない少女二人の事になるわけで。
「ここ一週間くらいずっとじゃないか。珍しくないか?」
確かに、今の所急ぎの予定も無いためしばらくはゆっくりする、と決めてはいたのだが。こんな風に二人とも毎日いなくなる、というのは今までになかった。
「……そうだな」
魔道書を読みながら視線も上げずに返事を返したゼルは、あまり興味が無い、といった顔をしてはいるが、でも確実に先週よりも不機嫌になっているのはオレにも分かる。
「男に会ってたらどうしよう」
がたん。
ぽろりとこぼした不安に、目の前の男は思った以上に反応を示した。
「な、ま、まさかそんな事は無いだろう……」
椅子からずり落ちそうになったゼルは、バタンと音を立てて本を閉じ、焦ったような顔をこちらに向ける。
「んー、そうとは思うんだけどなー」
リナに限って。そうは思うのだが。
――もし通う先に変な男が居たら。リナにその気が無くても向こうが勝手に勘違いをしていたら。
嫌な想像に苦い思いが広がる。
目の前のゼルもその思いは同じらしい。眉間に寄せた皺が深い。
「……アメリアの事だ。変な正義感を発揮して止むに止まれず通っているのかもしれん……」
ぼそりとそう呟いて、ゼルガディスは立ち上がった。
「ゼル?」
「……付けてみるか」
ゼルガディスの目には、熱い決意の色が浮かんでいた。
***
「――ここか」
今日もまた、妙にそわそわしながら宿を出たリナとアメリアの後を付け、辿り着いたのは小さな店だった。看板を読んで、オレとゼルは顔を見合わせる。
「手芸屋?」
この店の店主がいい男だったりするのだろうか。いやまさかそんな。
もやもやしつつ扉を開ける。そんなオレたちの目に飛び込んできたのは、色とりどりの布やら糸やら。そして店員らしき一人の若い兄ちゃん。――こいつか? 一瞬、ちり、と胸の奥で敵愾心がくすぶるが、それよりも。
予想外に、そこにリナやアメリアの姿は無かった。
きょろきょろと店内を見回すオレたちに気が付いて、兄ちゃんは無表情にぺこりと頭を軽く下げた。
「……らっしゃい」
無愛想なその店員の掛け声にオレはゼルガディスと顔を見合わせる。
「あー、その……」
「?」
「ここに、若い娘が二人来なかったか? 魔道士風の栗色の髪の女と、黒髪の――」
言いかけたゼルの言葉を、兄ちゃんが途中で遮った。
「なんだ。あんたらもばーちゃんの客?」
「「は?」」
そしてオレ達の疑問は、その後直ぐに解消された。
「がががガウリイっ!? どーしてここにっ!」
「ぜ、ゼルガディスさんまでっ!?」
めちゃくちゃに慌てた様子で手にした物を隠そうとするリナとアメリアに、思わず笑い出しそうになる。彼女達が持っていたのは、編みかけのマフラーだった。
「おやおや、お前さん達がこの子らの『いい人』かい?」
彼女達の横で同じように編み物をしていたのは、優しそうなおばあさんだった。どうやら先程の店員の祖母らしく、店の奥の小部屋を小さな編み物教室にしているらしい。
にこにこと笑う彼女に、リナが顔を真っ赤にして抗議する。
「ちょ、ちょっとおばあちゃんっ!」
抗議をしつつも、彼女の言葉を否定しないリナに思わずにやけそうになってしまう。
――イイヒト、ねえ。
「……はー、まだ完成してなかったのにー……」
リナと同じように顔を赤くして、がくりと肩を落とすアメリア。彼女の身体で隠しきれていない明るいグリーンのそれがちらちらと目に映る。
「完成してから渡して、お二人を驚かせたかったのに。サプライズ失敗ですー……」
そうか、だから黙っていたのか。納得して隣のゼルを見やると、彼は黙って顔を手で隠していた。
「……」
「ゼル、顔赤くなってる」
「言うな」
リナの後ろに回って、彼女の手からマフラーを取り上げた。
「――あ、ちょっと! それまだ編みかけなんだからねっ!」
薄いブルーのそれは、マフラーと分かるぐらいには長さがあって、柔らかい手触りが優しい。
「出来あがったらこれ、オレにくれるのか?」
「……あんた以外の誰にあげるってーのよ」
ぷい、と顔を背けたリナの頬が赤く染まっていて。オレは嬉しくなって彼女の頭をくしゃりと撫でた。
「ありがとな、リナ!」
「だからまだ早いってば!」
オレからマフラーを取り返そうと暴れるリナをよそに、オレは完成したそれにどんなお返しをして驚かせてやろうか、ゼルガディスと共謀しようかなどと、そんな楽しいサプライズを考え始めたのだった。
おしまい。
どもです!SS更新であります。
最近twitterでスレイヤーズワンドロ(ワンライ)が開催されました。
超めでたいですよね!主催様ありがとうございます!!!
……そんなわけで、記念すべき第一回目に参加させて頂いたときに書いた60分クオリティのSSに、ちらっと加筆をしました。お題が「スレイヤーズの好きなキャラ」だったので、ガウリイについて語るキャラたち…!
※キャラは皆アニメに寄ってます。うっすらですが、ガウリナ要素ありです。
--------------------------------------------------
「――ガウリイさんですか?」
黒髪を肩のあたりで切りそろえた少女は、その大きな瞳で何度か瞬きしてから、腕組みをして首を傾げた。
「……そうですねえ。なんというか、天然ボケというか、でも妙に話の核心を突いて来たりとか。なんとも掴みどころが無い人ですよね~」
うんうん、と一人で何度も頷いてから、彼女はその同年代の少女よりは少し大きめの胸をぐっと張る。胸元の宝珠がきらりと光った。
「でも、正義の心を持っているのは間違いないと思いますよ! 何しろ、あの『光の剣の勇者』の末裔なわけですし! 仲間として、彼の心に正義の炎が燃えている事はわたしの目にははっきりと分かりますっ!!」
そして彼女は拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。
「……はっ、そうだ! リナさんの『保護者』! これが一番大事でした! だって、あのリナさんとずーっと一緒に旅するなんて、あの人くらいしか出来ないですもん」
ふふふ、と面白そうにそう笑った彼女は、そのまま手を振って仲間の元へと駆けて行った。
「……ガウリイの旦那?」
何故そんな事を聞く、と問いたげな瞳を向けられる。その硬質な輝きは他の人間とは違う何かを感じさせる。肌の色からしても、この青年は普通の人間とは違うのだろう。……興味深いが、今はその話題は置いておこう。
「――そうだな。剣の腕は凄いな。……俺も剣の腕には自信があったが、奴の腕には正直驚いた。俺のように魔道を使う事は無いが、だからこそ剣の道を極められたのかもしれん」
そう言って、彼はフードを深く被り直した。
「だが、正直に言ってあいつはお人よしが過ぎるな。騎士道精神は傭兵稼業では命取りだ。……まあ、それが良い所でもあるんだろうが」
ふっ、と皮肉な笑みを漏らした彼は、一体何を思い出したのだろうか。俺とは違う、とでも言いたげである。
「あとはまあ、リナの旅の連れなんて……よく出来るなと、俺は思うがね」
最後にそう付け加えて、彼は目を伏せて笑った。その笑みは、先ほどの皮肉な笑みとは違って、酷く柔らかかった。
「んー、ガウリイさんですかー……」
ふむ、と口元に手を当てて、その柔和な笑みの青年はしばらく黙り込む。
「……彼、よく分からないんですよねー。言動が読めないっていうかー。なんか、僕苦手かもしれないです」
あっけらかんとした顔で、彼はそう言った。まるで自然なその調子にこちらも少々戸惑ってしまう。手袋をはめたその指先で、彼は手に持ったカップを弄ぶ。中身のミルクが、ゆらゆらと揺れて零れそうで零れない。
「僕は、分かりやすい人の方が好きですね。例えば? そうですね、ゼルガディスさんとか。――だって掴みどころが無い人って……利用しづらいじゃないですか。ねえ?」
にっこりと、彼はそう言って笑う。その笑みにどこかうすら寒さを感じて、しかし返す言葉が見つからない。こちらが黙りこむと、彼は困ったように眉を下げて微笑んだ。
「やだなあ、冗談ですよ。本気にしないでください。……さっきは苦手と言いましたが、彼のあらゆるものに対する寛容な視点は、嫌いじゃないですよ?」
――それじゃあ。そう言って、彼はこちらに背を向けさっさと歩き出してしまう。その後ろ姿をしばらく眺めていたのだが、彼は、こちらが瞬きをした瞬間にどこかへと消えていた。
「ガウリイ様について、ですか」
その名を聞いて、彼女はそっと目を伏せる。淡く色づく頬に、緩む口元。その表情を見ただけで、彼女の『彼』に対する想いが透けて見えるというものだ。
「……彼はとても素敵な人ですわ」
言葉少なにそう言って、彼女はその長い黒髪を耳にかけてたおやかに微笑んだ。艶やかな黒髪がさらりと背中を流れる。男なら、くらりと来るであろうその仕草。
「なにより、ガウリイ様は私にとって『恩人』なんです。今は亡き、私の父にとっても」
彼女の過去に何があったのか。それ以上、彼女はその件ついては言及しなかった。
「そして彼は優しい。凄く優しいんです……少し残酷なくらいに。ね」
こぼれる苦笑。そのほろ苦い笑みに隠された意味は。こちらが邪推する前に、彼女は会釈と共にその場を去った。
「ガウリイについて……? なんで?」
その少女は、旅の連れについて聞かれてきょとんとした顔をした。まあ、当然といえば当然か。彼女はしばらく考え込んでから、軽く笑う。
「まあ、脳みそに一体どんな柔らかいモンが詰まってんのよ、とはいつも思うわ」
何を思い出したのやら、彼女はくすくすと笑いだす。
「なんか話してもすーぐ忘れるわ、そのくせ変な事ばっか覚えてるし。天然な割に妙に真面目だし……あいつと居ると気ぃ抜けんのよね」
彼女は肩を竦めて、その長い栗色の髪をなびかせる。黒いマントはゆらゆらと揺れる。
「でもま、戦う時は頼りになるし。あの野生動物的なカンとか、剣の腕とか。凄い時は凄いっつーか……旅の相棒としては、悪くは無い、かな?」
なんてね、と言ってはにかんだ彼女は、珍しく年齢相応な表情を見せた。その白い頬がうっすらと赤く染まる。
「――あいつはさ、すぐにあたしの『保護者』って言うのよ。それがなんか、よく分かんない。……何考えてんのか、一番分かんないのが、あいつ」
先ほどよりも一段声を低くして呟いた彼女の言葉の真意は、こちらには分からない。だが、彼女はこちらが何か言うよりも先にハッとしたように目を見開いた。
「あ、や、やっぱり何でもないっ! 今の嘘っ!!」
叫んでから、足早に去って行ってしまう。
そんな彼女を黙って見送ると、ふと背後に気配。
「……で、なんでアンタはオレの事聞きまわってるんだ?」
振り返れば、笑顔の青年が立っていた。
最近twitterでスレイヤーズワンドロ(ワンライ)が開催されました。
超めでたいですよね!主催様ありがとうございます!!!
……そんなわけで、記念すべき第一回目に参加させて頂いたときに書いた60分クオリティのSSに、ちらっと加筆をしました。お題が「スレイヤーズの好きなキャラ」だったので、ガウリイについて語るキャラたち…!
※キャラは皆アニメに寄ってます。うっすらですが、ガウリナ要素ありです。
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「――ガウリイさんですか?」
黒髪を肩のあたりで切りそろえた少女は、その大きな瞳で何度か瞬きしてから、腕組みをして首を傾げた。
「……そうですねえ。なんというか、天然ボケというか、でも妙に話の核心を突いて来たりとか。なんとも掴みどころが無い人ですよね~」
うんうん、と一人で何度も頷いてから、彼女はその同年代の少女よりは少し大きめの胸をぐっと張る。胸元の宝珠がきらりと光った。
「でも、正義の心を持っているのは間違いないと思いますよ! 何しろ、あの『光の剣の勇者』の末裔なわけですし! 仲間として、彼の心に正義の炎が燃えている事はわたしの目にははっきりと分かりますっ!!」
そして彼女は拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。
「……はっ、そうだ! リナさんの『保護者』! これが一番大事でした! だって、あのリナさんとずーっと一緒に旅するなんて、あの人くらいしか出来ないですもん」
ふふふ、と面白そうにそう笑った彼女は、そのまま手を振って仲間の元へと駆けて行った。
「……ガウリイの旦那?」
何故そんな事を聞く、と問いたげな瞳を向けられる。その硬質な輝きは他の人間とは違う何かを感じさせる。肌の色からしても、この青年は普通の人間とは違うのだろう。……興味深いが、今はその話題は置いておこう。
「――そうだな。剣の腕は凄いな。……俺も剣の腕には自信があったが、奴の腕には正直驚いた。俺のように魔道を使う事は無いが、だからこそ剣の道を極められたのかもしれん」
そう言って、彼はフードを深く被り直した。
「だが、正直に言ってあいつはお人よしが過ぎるな。騎士道精神は傭兵稼業では命取りだ。……まあ、それが良い所でもあるんだろうが」
ふっ、と皮肉な笑みを漏らした彼は、一体何を思い出したのだろうか。俺とは違う、とでも言いたげである。
「あとはまあ、リナの旅の連れなんて……よく出来るなと、俺は思うがね」
最後にそう付け加えて、彼は目を伏せて笑った。その笑みは、先ほどの皮肉な笑みとは違って、酷く柔らかかった。
「んー、ガウリイさんですかー……」
ふむ、と口元に手を当てて、その柔和な笑みの青年はしばらく黙り込む。
「……彼、よく分からないんですよねー。言動が読めないっていうかー。なんか、僕苦手かもしれないです」
あっけらかんとした顔で、彼はそう言った。まるで自然なその調子にこちらも少々戸惑ってしまう。手袋をはめたその指先で、彼は手に持ったカップを弄ぶ。中身のミルクが、ゆらゆらと揺れて零れそうで零れない。
「僕は、分かりやすい人の方が好きですね。例えば? そうですね、ゼルガディスさんとか。――だって掴みどころが無い人って……利用しづらいじゃないですか。ねえ?」
にっこりと、彼はそう言って笑う。その笑みにどこかうすら寒さを感じて、しかし返す言葉が見つからない。こちらが黙りこむと、彼は困ったように眉を下げて微笑んだ。
「やだなあ、冗談ですよ。本気にしないでください。……さっきは苦手と言いましたが、彼のあらゆるものに対する寛容な視点は、嫌いじゃないですよ?」
――それじゃあ。そう言って、彼はこちらに背を向けさっさと歩き出してしまう。その後ろ姿をしばらく眺めていたのだが、彼は、こちらが瞬きをした瞬間にどこかへと消えていた。
「ガウリイ様について、ですか」
その名を聞いて、彼女はそっと目を伏せる。淡く色づく頬に、緩む口元。その表情を見ただけで、彼女の『彼』に対する想いが透けて見えるというものだ。
「……彼はとても素敵な人ですわ」
言葉少なにそう言って、彼女はその長い黒髪を耳にかけてたおやかに微笑んだ。艶やかな黒髪がさらりと背中を流れる。男なら、くらりと来るであろうその仕草。
「なにより、ガウリイ様は私にとって『恩人』なんです。今は亡き、私の父にとっても」
彼女の過去に何があったのか。それ以上、彼女はその件ついては言及しなかった。
「そして彼は優しい。凄く優しいんです……少し残酷なくらいに。ね」
こぼれる苦笑。そのほろ苦い笑みに隠された意味は。こちらが邪推する前に、彼女は会釈と共にその場を去った。
「ガウリイについて……? なんで?」
その少女は、旅の連れについて聞かれてきょとんとした顔をした。まあ、当然といえば当然か。彼女はしばらく考え込んでから、軽く笑う。
「まあ、脳みそに一体どんな柔らかいモンが詰まってんのよ、とはいつも思うわ」
何を思い出したのやら、彼女はくすくすと笑いだす。
「なんか話してもすーぐ忘れるわ、そのくせ変な事ばっか覚えてるし。天然な割に妙に真面目だし……あいつと居ると気ぃ抜けんのよね」
彼女は肩を竦めて、その長い栗色の髪をなびかせる。黒いマントはゆらゆらと揺れる。
「でもま、戦う時は頼りになるし。あの野生動物的なカンとか、剣の腕とか。凄い時は凄いっつーか……旅の相棒としては、悪くは無い、かな?」
なんてね、と言ってはにかんだ彼女は、珍しく年齢相応な表情を見せた。その白い頬がうっすらと赤く染まる。
「――あいつはさ、すぐにあたしの『保護者』って言うのよ。それがなんか、よく分かんない。……何考えてんのか、一番分かんないのが、あいつ」
先ほどよりも一段声を低くして呟いた彼女の言葉の真意は、こちらには分からない。だが、彼女はこちらが何か言うよりも先にハッとしたように目を見開いた。
「あ、や、やっぱり何でもないっ! 今の嘘っ!!」
叫んでから、足早に去って行ってしまう。
そんな彼女を黙って見送ると、ふと背後に気配。
「……で、なんでアンタはオレの事聞きまわってるんだ?」
振り返れば、笑顔の青年が立っていた。
どもですあきらです♪
今回は自慢記事です(笑)
先日書いたリクエストSS、『とある夜の狂騒。(四人組)』なんですが、なんとリクエスト下さったmeiさんからそのイメージイラストを頂いてしまいました...!!(ナンテコッタ!)
その素敵イラストがこちら......!!
ちょっとちょっと~!素敵過ぎじゃありませんか!?
み、みんな可愛い過ぎる......(悶絶)
枕抱えてるアメリアとか、ビクッとしてるリナさんとか...!くうう( ´艸`)
......というわけで、このブログにお宝が増えました。やったね(´▽`)b
meiさん、本当にありがとうございました~!!
思いがけないご褒美を頂いてテンションMAXであります。残りのリクエストもがんばって書くぞ~!