ガウリナ小説です。
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栗色の髪が舞う。
その度に一緒に黒いマントもひらりと揺れる。
そして爆音。
「火炎球(ファイヤー・ボール)!」
彼女の声が高らかに響き、何人かの可哀想な盗賊がふっ飛んで行った。
全てが終わってから、オレは彼女に近付く。
「リナ」
リナは不敵な笑みで振り向いた。
「何?」
「お前さん、依頼人も一緒にふっ飛ばしてたぞ」
茂みの向こうに目をやれば、数人の哀れな盗賊たちに混じって、その盗賊退治の依頼人がちょっぴり焦げていた。
「うげっ!やっちゃった」
リナは慌てて依頼人を助け起こして、なんとかっていう治癒呪文をかけてやる。
「..はっ!私は一体?」
小太りの親父さんは目を見開いて起き上がる。
「良かった。目が覚めたんですね!」
リナがわざとらしく目を潤ませるのを見てオレはため息をついたのだった。
チャリン、と金貨がリナの手の中で鳴る。
「うん、盗賊いぢめて金貨貰えるなんて、良い仕事だったわね!...まあ、さすがにお宝には手を出せなかったけど」
「お前さんなあ...」
リナはいひひ、と笑ってマントを翻した。
なんて女だ。
つくづくそう思うが、リナから離れようとは思わない。何故だかは自分でも良く解らないが。
「ねーガウリイ」
前を行くリナがふと振り返った。
「どうした?」
「あんた手怪我してるでしょ」
ぎくりとした。
「さっきから左手ちょっと庇ってるし...怪我してるなら早く言いなさいよね」
「おう...すまん」
リナは少し不機嫌になってしまった。
このくらいでリナの手を煩わせるのも...と思ったのが間違いだったようだ。
何か呪文をぶつぶつ言いながら手に魔法をかけられる。
「傷口にバイ菌入ったら破傷風になっちゃうじゃない」
「は...なんだ?」
「あーもう、大変な事になるって話よ」
「うーむ」
なんだかんだ、オレの事を心配してくれているようだ。
「ありがとうな」
笑いかけると、リナはしわくちゃな顔をして、でも赤くなって、小さく「ちっとは反省しなさい」と呟いた。
──本当に、敵に回すと怖いけど、味方にすると優しい奴。
なんだか急に愛しくなって、オレは空いてる方の手でリナの頭をなぜてやった。
「ちょっとー何すんのよ!」
「いや、なんとなくだな...」
「もう、傷むでしょー」
リナは文句を言いつつも、その手を振り払わない。
オレはそれが嬉しくて、そのまましばらくリナの栗色の髪を弄んでいたのだった。
終わり
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ちょっと大人なガウリイさんを目指してみました(´ω`)
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栗色の髪が舞う。
その度に一緒に黒いマントもひらりと揺れる。
そして爆音。
「火炎球(ファイヤー・ボール)!」
彼女の声が高らかに響き、何人かの可哀想な盗賊がふっ飛んで行った。
全てが終わってから、オレは彼女に近付く。
「リナ」
リナは不敵な笑みで振り向いた。
「何?」
「お前さん、依頼人も一緒にふっ飛ばしてたぞ」
茂みの向こうに目をやれば、数人の哀れな盗賊たちに混じって、その盗賊退治の依頼人がちょっぴり焦げていた。
「うげっ!やっちゃった」
リナは慌てて依頼人を助け起こして、なんとかっていう治癒呪文をかけてやる。
「..はっ!私は一体?」
小太りの親父さんは目を見開いて起き上がる。
「良かった。目が覚めたんですね!」
リナがわざとらしく目を潤ませるのを見てオレはため息をついたのだった。
チャリン、と金貨がリナの手の中で鳴る。
「うん、盗賊いぢめて金貨貰えるなんて、良い仕事だったわね!...まあ、さすがにお宝には手を出せなかったけど」
「お前さんなあ...」
リナはいひひ、と笑ってマントを翻した。
なんて女だ。
つくづくそう思うが、リナから離れようとは思わない。何故だかは自分でも良く解らないが。
「ねーガウリイ」
前を行くリナがふと振り返った。
「どうした?」
「あんた手怪我してるでしょ」
ぎくりとした。
「さっきから左手ちょっと庇ってるし...怪我してるなら早く言いなさいよね」
「おう...すまん」
リナは少し不機嫌になってしまった。
このくらいでリナの手を煩わせるのも...と思ったのが間違いだったようだ。
何か呪文をぶつぶつ言いながら手に魔法をかけられる。
「傷口にバイ菌入ったら破傷風になっちゃうじゃない」
「は...なんだ?」
「あーもう、大変な事になるって話よ」
「うーむ」
なんだかんだ、オレの事を心配してくれているようだ。
「ありがとうな」
笑いかけると、リナはしわくちゃな顔をして、でも赤くなって、小さく「ちっとは反省しなさい」と呟いた。
──本当に、敵に回すと怖いけど、味方にすると優しい奴。
なんだか急に愛しくなって、オレは空いてる方の手でリナの頭をなぜてやった。
「ちょっとー何すんのよ!」
「いや、なんとなくだな...」
「もう、傷むでしょー」
リナは文句を言いつつも、その手を振り払わない。
オレはそれが嬉しくて、そのまましばらくリナの栗色の髪を弄んでいたのだった。
終わり
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ちょっと大人なガウリイさんを目指してみました(´ω`)