ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

いれぎゅらー。【2】(ガウリナ)

2014-03-25 20:14:09 | スレイヤーズ二次創作
更新遅れてすみませんーっ!(汗)
前回の続きです。
そしてまだ続きます(;´・ω・`)
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ガウリイがあたしを置いて宿に戻ったのは意外だった。
ちょっとだけ気になったけれど、まあそんなこともあるか、と勝手に納得しておくことにする。
「リナ、どうした?」
「え? あ、なんでもない。それよりユーリ、あなたは魔道士協会に所属してるの?」
小さな罪悪感にふたをして、あたしは話題を変えた。
「ああ、一応いくつかレポートも提出してるさ」

魔道士と深く魔法について語るのは久しぶりだった。もう少し話を続けていたい。ユーリは見た目よりも真面目に魔道を研究しているらしく、話が合った。
ガウリイだって、彼と同格の剣士が現れたら、話さずにはいられないだろう。

しばらくして、気がついたら思ったより時間が経っていた。
「あ、あたしそろそろ宿に戻るから。じゃあね、ユーリ」
「そうか......」
彼はしばらく黙ったあと、ためらいがちに口を開いた。
「リナ」
「?」
「さっきの男とは......その、恋仲だったりするのか?」
「えっ」
あたしは目を見開いた。
ユーリは真面目な顔をしてあたしの返事を待っている。
「いやいやいやっ、その、あいつは単なる保護者っていうか。自称だけど。恋人ではないわよっ」
動揺して、慌てて否定していた。

あいつは、あたしにとってどういう存在なのだろう。
脳みそくらげな自称保護者は、あたしの大事な旅の連れで、相棒で。他の人とは違う。特別な何か。
......でも、恋人ではない。
──ガウリイは、どう思ってる?

「うむむ...」
否定しておいて悩むあたしに、ユーリはくすりと笑った。
「そうか。......じゃあ、まだ間に合うかな」
「へ?」
ぽかんとするあたしに、小さな封筒が渡される。中には小さなチケット。
「明日、俺の誕生日なんだ。ちょっとした会をするから、良かったら来てくれないか」
チケットに掛かれていた会場は、この街の領主が所有する会館だった。
「俺、実はここの領主の長男なんだよ。リナにも友人として来て欲しい。......じゃあ、考えておいてくれ」
「......分かった」
曖昧に頷くと、彼はひら、と手を振って食堂から出て行った。あたしの分まで料金を払って。



「ガウリイ、起きてる?」
相棒の部屋をノックすると、彼は起きていたらしく、すぐに扉を開けて出て来た。
「ああ、リナ。どうした?」
いつもと同じとぼけた顔をしたガウリイに、内心ほっとする。
「あのさ、明日もこの街に滞在することにして良い?」
「ん? ああ......別に良いけど」
「そう。……実はさっきの奴の誕生会に誘われてね」
「へええ」
「ガウリイも一緒にどう? お金持ちみたいだから、料理も豪華よたぶん」
それが目的だ、とでも言うように、あたしは無意識にそれを強調していた。
「オレは構わんが、向こうはどうなんだ?」
「え?」
「あいつはリナに来て欲しいんだろ。オレが行って構わんのか?」
「......」

──なんでそんな事を聞くの。
それが、一番最初に思ったことだった。

「......そんなの、知らないわよ」
声に力が入らない。
「でも、あいつリナを気に入ったみたいだったろ?」
まるで落ち着いた様子で、彼がそんな事を言うから。
「......知らないわよ!なんでガウリイがそんな事言うのよ!」
思った以上に、尖った声が響いた。
「なんでって......」
ガウリイの戸惑った表情に、心がもやもやする。何故か凄く腹が立つ。
「もういい。行きたくないならあたし一人で行くから」
それだけ言って、ばたん、とドアを閉める。
自分の取った部屋に戻って、ベッドに倒れ込んだ。

──なんで、なんで、なんで。
なんであたしはこんな腹立たしくて、泣きそうな気分なんだろう。

ガウリイは、きっと誘いに乗ると思ったのに。二人でご馳走食べ放題。それがいつものあたしたち。
なのに。
ガウリイはどうして、あんな事を言ったんだろう.....。
「ガウリイの馬鹿っ、くらげ頭っ」
つぶやいた声は、枕に吸い込まれてふがふがした音に変わった。


つづく

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次回に続きます!


いれぎゅらー。【1】(ガウリナ)

2014-03-07 18:14:45 | スレイヤーズ二次創作
お久しぶりでっす!
ガウリナの短編小説です。オリジナルキャラ登場なのでお気をつけ下さいまし。

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「あんた、なかなか話が分かるな」
にやっと不敵に笑った男に、リナも不敵に笑い返す。
「あたしはこう見えて、魔道に関しちゃうるさいわよ」
「ほほう、じゃあ色々聞かせて貰おうじゃないか」
「ふふん、上等ね」
火花を散らして笑う男女に、オレは心の中で小さくため息をついた。


街の小さな食堂。
オレとリナが相変わらずの調子で夕飯を食べている所に、その男は通りかかった。
男、というより少年か。少年と青年の間のような、目つきの鋭い男。こざっぱりとした身なりに、フード付きの黒いマントが少し浮いている。
「静かに飯も食えねえのか」

ピリッとした空気に、オレもリナも思わず顔を見合わせて、小さく謝った。
そこまではまあよくある事なのだが、男の呟いた一言で事態は一変する。
「......ふん、頭の悪そうな連中だ」
オレは思わず苦笑したのだが、リナはと言えば、額に青筋立てていた。

「んっんっんっ。ちょーっと元気にご飯食べてたくらいで、そこまで言われちゃ黙ってられないわねえ」
無理やり笑顔で話しているが、目が笑ってない。
「見ていれば分かる。流れの傭兵と魔道士の子供のコンビなど、ろくな人生送って無いだろ」
「こ、子供......っ」
「まあ、あながち間違っちゃいないけどな」
リナとの二人旅は、いつもろくなことが無いからなあ。
「...ガウリイは黙ってて」
リナにジト目で睨まれた。

「見知らぬ他人に勝手にあたしの人生決めつけられてたまるかっての! そんな微妙に目立つ変な格好してるあんたにはね」
「なっ、変だと!?」
「変でしょーがっ。質の良さそうな服の上から、あからさまに身分隠してますーって感じのボロいマント着ちゃって。どこの金持ちの息子よ?」
「......ぐぐ」
どうやら図星だったらしい。男は少し顔を赤くした。
「くっ、......こうなったら勝負だっ!」
がたん、とテーブルを叩いて男がそう言い出す。
──おいおいっ
「分かったわ! じゃあ表へ出ましょ」
びっ、と表を指差すリナである。
「いやだ(どきっぱり)」

ずるべしゃっ

リナは勢い良くその場で椅子からひっくりこけた。
──相変わらず良いリアクションするよなあ......。
「あああもうなんなのよあんたはっ!」
「慌てるな。頭脳勝負だ」
リナのリアクションにちょっと引き気味の男は、そう言って頷いたのだった。


そうして、リナとその男は、オレには良く分からん魔道とか魔法とか、そんな感じの話を延々とし始めた。
素面のクセに、二人とも持論を興奮気味に熱く語り、最初は険悪だった空気も、徐々に楽しげに変わって行く。
──面白くない。

「なかなかやるな。あんた、名前は?」
「ふふん、名前を聞くなら先に名乗りなさいよ」
リナの小さな挑発にも、男はもう動じない。
「俺はユーリ。そっちは?」
「あたしはリナ。こっちはガウリイ。あたしの旅の連れ」
ついでのように紹介されて、オレは黙って小さく会釈した。
なんだかとても、面白くなかった。

「オレ、そろそろ宿に戻ってる」
居心地が悪くなって立ち上がると、リナは少し迷うような顔をした。
「あ、ほんと......?」
宿はこの食堂の向かいだ。歩いてすぐ。
「リナはもう少しそいつと話してたらどうだ?」
いつもなら言わない台詞が口から出てきた。他に客が居るとは言え、夜の食堂にリナを男と二人で残すなんて......。
──でも、リナがあまりにも楽しそうに話しているから。オレとでは到底出来ない話を。
その事実がオレを少し苛立たせる。

「んー......じゃあ、そうしよっかな」
そう答えたリナに対して、オレは「そうか」とだけ返して笑ったのだった。


続く!

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続きます!
焼き餅ガウリイ。そして、オリキャラさんがユーリと名乗ってますが、某テイルズとは無関係です(笑)