更新遅れてすみませんーっ!(汗)
前回の続きです。
そしてまだ続きます(;´・ω・`)
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ガウリイがあたしを置いて宿に戻ったのは意外だった。
ちょっとだけ気になったけれど、まあそんなこともあるか、と勝手に納得しておくことにする。
「リナ、どうした?」
「え? あ、なんでもない。それよりユーリ、あなたは魔道士協会に所属してるの?」
小さな罪悪感にふたをして、あたしは話題を変えた。
「ああ、一応いくつかレポートも提出してるさ」
魔道士と深く魔法について語るのは久しぶりだった。もう少し話を続けていたい。ユーリは見た目よりも真面目に魔道を研究しているらしく、話が合った。
ガウリイだって、彼と同格の剣士が現れたら、話さずにはいられないだろう。
しばらくして、気がついたら思ったより時間が経っていた。
「あ、あたしそろそろ宿に戻るから。じゃあね、ユーリ」
「そうか......」
彼はしばらく黙ったあと、ためらいがちに口を開いた。
「リナ」
「?」
「さっきの男とは......その、恋仲だったりするのか?」
「えっ」
あたしは目を見開いた。
ユーリは真面目な顔をしてあたしの返事を待っている。
「いやいやいやっ、その、あいつは単なる保護者っていうか。自称だけど。恋人ではないわよっ」
動揺して、慌てて否定していた。
あいつは、あたしにとってどういう存在なのだろう。
脳みそくらげな自称保護者は、あたしの大事な旅の連れで、相棒で。他の人とは違う。特別な何か。
......でも、恋人ではない。
──ガウリイは、どう思ってる?
「うむむ...」
否定しておいて悩むあたしに、ユーリはくすりと笑った。
「そうか。......じゃあ、まだ間に合うかな」
「へ?」
ぽかんとするあたしに、小さな封筒が渡される。中には小さなチケット。
「明日、俺の誕生日なんだ。ちょっとした会をするから、良かったら来てくれないか」
チケットに掛かれていた会場は、この街の領主が所有する会館だった。
「俺、実はここの領主の長男なんだよ。リナにも友人として来て欲しい。......じゃあ、考えておいてくれ」
「......分かった」
曖昧に頷くと、彼はひら、と手を振って食堂から出て行った。あたしの分まで料金を払って。
「ガウリイ、起きてる?」
相棒の部屋をノックすると、彼は起きていたらしく、すぐに扉を開けて出て来た。
「ああ、リナ。どうした?」
いつもと同じとぼけた顔をしたガウリイに、内心ほっとする。
「あのさ、明日もこの街に滞在することにして良い?」
「ん? ああ......別に良いけど」
「そう。……実はさっきの奴の誕生会に誘われてね」
「へええ」
「ガウリイも一緒にどう? お金持ちみたいだから、料理も豪華よたぶん」
それが目的だ、とでも言うように、あたしは無意識にそれを強調していた。
「オレは構わんが、向こうはどうなんだ?」
「え?」
「あいつはリナに来て欲しいんだろ。オレが行って構わんのか?」
「......」
──なんでそんな事を聞くの。
それが、一番最初に思ったことだった。
「......そんなの、知らないわよ」
声に力が入らない。
「でも、あいつリナを気に入ったみたいだったろ?」
まるで落ち着いた様子で、彼がそんな事を言うから。
「......知らないわよ!なんでガウリイがそんな事言うのよ!」
思った以上に、尖った声が響いた。
「なんでって......」
ガウリイの戸惑った表情に、心がもやもやする。何故か凄く腹が立つ。
「もういい。行きたくないならあたし一人で行くから」
それだけ言って、ばたん、とドアを閉める。
自分の取った部屋に戻って、ベッドに倒れ込んだ。
──なんで、なんで、なんで。
なんであたしはこんな腹立たしくて、泣きそうな気分なんだろう。
ガウリイは、きっと誘いに乗ると思ったのに。二人でご馳走食べ放題。それがいつものあたしたち。
なのに。
ガウリイはどうして、あんな事を言ったんだろう.....。
「ガウリイの馬鹿っ、くらげ頭っ」
つぶやいた声は、枕に吸い込まれてふがふがした音に変わった。
つづく
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次回に続きます!
前回の続きです。
そしてまだ続きます(;´・ω・`)
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ガウリイがあたしを置いて宿に戻ったのは意外だった。
ちょっとだけ気になったけれど、まあそんなこともあるか、と勝手に納得しておくことにする。
「リナ、どうした?」
「え? あ、なんでもない。それよりユーリ、あなたは魔道士協会に所属してるの?」
小さな罪悪感にふたをして、あたしは話題を変えた。
「ああ、一応いくつかレポートも提出してるさ」
魔道士と深く魔法について語るのは久しぶりだった。もう少し話を続けていたい。ユーリは見た目よりも真面目に魔道を研究しているらしく、話が合った。
ガウリイだって、彼と同格の剣士が現れたら、話さずにはいられないだろう。
しばらくして、気がついたら思ったより時間が経っていた。
「あ、あたしそろそろ宿に戻るから。じゃあね、ユーリ」
「そうか......」
彼はしばらく黙ったあと、ためらいがちに口を開いた。
「リナ」
「?」
「さっきの男とは......その、恋仲だったりするのか?」
「えっ」
あたしは目を見開いた。
ユーリは真面目な顔をしてあたしの返事を待っている。
「いやいやいやっ、その、あいつは単なる保護者っていうか。自称だけど。恋人ではないわよっ」
動揺して、慌てて否定していた。
あいつは、あたしにとってどういう存在なのだろう。
脳みそくらげな自称保護者は、あたしの大事な旅の連れで、相棒で。他の人とは違う。特別な何か。
......でも、恋人ではない。
──ガウリイは、どう思ってる?
「うむむ...」
否定しておいて悩むあたしに、ユーリはくすりと笑った。
「そうか。......じゃあ、まだ間に合うかな」
「へ?」
ぽかんとするあたしに、小さな封筒が渡される。中には小さなチケット。
「明日、俺の誕生日なんだ。ちょっとした会をするから、良かったら来てくれないか」
チケットに掛かれていた会場は、この街の領主が所有する会館だった。
「俺、実はここの領主の長男なんだよ。リナにも友人として来て欲しい。......じゃあ、考えておいてくれ」
「......分かった」
曖昧に頷くと、彼はひら、と手を振って食堂から出て行った。あたしの分まで料金を払って。
「ガウリイ、起きてる?」
相棒の部屋をノックすると、彼は起きていたらしく、すぐに扉を開けて出て来た。
「ああ、リナ。どうした?」
いつもと同じとぼけた顔をしたガウリイに、内心ほっとする。
「あのさ、明日もこの街に滞在することにして良い?」
「ん? ああ......別に良いけど」
「そう。……実はさっきの奴の誕生会に誘われてね」
「へええ」
「ガウリイも一緒にどう? お金持ちみたいだから、料理も豪華よたぶん」
それが目的だ、とでも言うように、あたしは無意識にそれを強調していた。
「オレは構わんが、向こうはどうなんだ?」
「え?」
「あいつはリナに来て欲しいんだろ。オレが行って構わんのか?」
「......」
──なんでそんな事を聞くの。
それが、一番最初に思ったことだった。
「......そんなの、知らないわよ」
声に力が入らない。
「でも、あいつリナを気に入ったみたいだったろ?」
まるで落ち着いた様子で、彼がそんな事を言うから。
「......知らないわよ!なんでガウリイがそんな事言うのよ!」
思った以上に、尖った声が響いた。
「なんでって......」
ガウリイの戸惑った表情に、心がもやもやする。何故か凄く腹が立つ。
「もういい。行きたくないならあたし一人で行くから」
それだけ言って、ばたん、とドアを閉める。
自分の取った部屋に戻って、ベッドに倒れ込んだ。
──なんで、なんで、なんで。
なんであたしはこんな腹立たしくて、泣きそうな気分なんだろう。
ガウリイは、きっと誘いに乗ると思ったのに。二人でご馳走食べ放題。それがいつものあたしたち。
なのに。
ガウリイはどうして、あんな事を言ったんだろう.....。
「ガウリイの馬鹿っ、くらげ頭っ」
つぶやいた声は、枕に吸い込まれてふがふがした音に変わった。
つづく
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次回に続きます!