ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

あたしの。(ガウリナ)

2020-08-31 00:59:32 | スレイヤーズ二次創作
どもです~。もう8月も終わりますね……
というわけで本日も800字(程度)SSの投稿です。

ガウリイ出てこないけどガウリナ。そしてアメリア。
※二部後設定。
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「――リナは、嫉妬とか、しないの?」
「嫉妬ぉ?」
 唐突なアメリアの発言に、あたしはぴくりと眉をひそめた。
 久しぶりに会ったセイルーンのお姫様は、以前より少しだけ大人っぽく優雅な仕草で、しかし以前と変わらず好奇心旺盛な瞳であたしの事を観察している。あたしはそんなアメリアに少々警戒しながら、メイドさんが出してくれた紅茶を啜った。
「だってガウリイさん、モテそうじゃない」
「そお?」
「まあ、頭の中身とか云々は置いておいて……」
 ――オイオイ。
「彼、見た目も良いし、凄腕の剣士だし。それに、優しいじゃない」
「……んん、まあ、否定はしないけど」
 ブロンドヘアーの渋いハンサム。剣の腕はあたしも認める超一流。そして持ってる剣は伝説の剣。……まあ、それだけ聞けば確かに、ハーレムでも作ってそうな男に聞こえるかもしんない。
「たまたま行き会った夢見がちな乙女とか色っぽいお姉さんとかに、惚れられたり言い寄られたりしそうじゃない? ま、想像だけど」
「なんでそんな具体的な想像なのよ……」
 あたしの低い声に、アメリアはうふふと可憐に笑って見せた。想像力が逞しいのは相変らずか。
 ――だけど。
「ま、嫉妬しよーがしまいが、関係ないわけよ。ガウリイには」
 きょとんとした彼女に、あたしはつんと言い放つ。
「だって、あいつはあたしのだもん」
 嫉妬しようがしまいが、あいつはあたしの。もう、誰にも渡したりしない。それだけの話。

「わあお、お熱い発言どうもありがとう」
「どおいたしまして」
 変わったのは、そちらだけだと思うなよ?
 啜った紅茶にミルクを落として、あたしはいひひと笑ってみせた。 

どうしてお前と。(ガウゼロ/現パロ)

2020-08-24 23:26:53 | スレイヤーズ二次創作
どもです。またまた800文字チャレンジ作品です。
なので短い……!

手持ち花火をする大学生なガウゼロです。
ガウゼロと言いつつ全然いちゃいちゃもしないしむしろ淡々としている二人。
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「……どうしてオレはお前さんと花火やってんだろうなあ」
 シューシュー音を立てる手持ち花火で暗闇にくるくる絵を描きながら、オレは小さく溜息を吐いた。勢いよく弾ける火花は緑色からオレンジ色に変わって、最後に真っ白に地面を照らして消える。バケツの水に放り込めば、じゅっと軽い音を立てて。
「なんです、僕相手じゃ不満なんですかあ?」
 隣でしゃがみ込み、線香花火を一人でパチパチやっていたゼロスは、わざとらしく不機嫌な顔をしてオレを見上げた。が、どう見ても面白がっているのがよく分かる。
 なんでこんな事になっているかと言うと、海よりも深く山よりも大きな訳が……別にない。大学の帰り道、ショートメッセージが飛んできたかと思えば、誘われたのは手持ち花火の消化作業だった。他に誘った相手には軒並み断られたらしい。
「んー、ていうかお前さんだってやだろ、野郎二人で花火とか」
「別に僕は楽しいですよ」
「ふうん、なら良いけどさ」
 今度はネズミ花火を手に取って、でも線香花火を隣でやってる奴の傍で、ネズミ花火に火を付けるのは流石にマナー違反だろう。ぼうっとしながら次に何に火を付けるか考えていれば、隣でゼロスがくすくすと笑った。
「……ガウリイさんて、ほんと唐変木ですね」
「はあ?」
「そんなんだから、リナさんといつまで経っても進展しないんですよ」
「良く分からんが、なんで今リナの名前が……?」
 首を傾げて問えば、ゼロスは一瞬黙って顔を顰めた。鬱陶しげな顔。
「本気で言ってんですか?」
「……はは、どうだろな」
 軽く笑って流す。別に良いだろう。今、この瞬間が楽しいなら。
「ずるいですねえ、貴方って」
 ――ま、別に愉しければそれで良いんですけど。僕は。
 そう言葉を引き取って、男は線香花火の燃えカスをバケツの水に放り込んだ。
 まだ大量にある花火の中で、なんで一番最初に線香花火なんて選んだのだか。
「線香花火が好きなんですよ、僕は。好きなモノから最初にやりたい派なんです」
「あ、そ」
 今度は金魚花火を手に取って、上機嫌に笑った男が何を考えているかなんて、オレにはさっぱりわからなくて。まあ、そんな事はどうでもいい。
「ま、いいか。お前さんが飽きるまで付き合ってやるよ」
「随分気前が良いですね。きっと夜中の二時まで飽きませんよ、僕は」


とある悲恋の始まり。(ルクミリ/パラレル)

2020-08-20 20:01:59 | スレイヤーズ二次創作
お久しぶりにルクミリSS更新です。
酒場の歌姫ミリーナとヤ〇ザの鉄砲玉ルークの悲恋物語。…一応それなりに設定は考えてあるんですが、今回は800字チャレンジの為さわりだけで。

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 いつもと同じ毎日、いつもと同じ舞台。誰も自分の事など見ていなくて、ガヤガヤと騒がしい酒場の隅で一人歌う私。淡々としたその日々を、私は割と気に入っていて。常連の客が曲の感想を言葉にしてくれる時や、チップを弾んでくれる時、それが私に時々訪れるイレギュラー。
 そんな毎日の繰り返しの中に、その時唐突に目の前に現れた男は、まるで夢を見ているような、きらきらとした目をしていた。
「――なあ、アンタ名前なんて言うんだ?」
「……ミリーナ」
「ああ、ミリーナ。良い名前だ。アンタにぴったりだ。俺はルーク。なあミリーナ、俺と結婚してくれ!」
 開口一番。今の今まで話した事もないのに、そんな突拍子もない事を言う。
 紅い髪にセピア色の瞳。皺が寄ったスーツの中に着た派手な開襟シャツはお世辞にもセンスが良いとは思えない。……そして、顔に貼られた大きなガーゼ。普段街中ではあまり出会いたくないタイプの人間のようで。
 黙っている間にも、次々に歯の浮く台詞を投げかけてくる男に、私は短く言葉を投げ返した。
「私、赤毛の男は嫌いなの」
 ひゅう、とどこからともなく響く口笛。どうやら会話を聞かれていたらしい。それも当然で、だってここはいつもの私の舞台の上なのだから。――いつもの最後の一節を歌い終えた途端に、この男はカウンター席から歩いてやってきたのだ。
「赤毛じゃ駄目か」
「……そうね」
 赤毛だから、という訳ではないけれど。そう言う間もなく、彼はしゅんと肩を落として店を出ていく。……途中、店主に金を払うのを忘れるなとどやされている。
 ――変な人。
 くすりと笑って、舞台を降りる。きっと明日には忘れてしまうであろう、新鮮なイレギュラー。ただそれだけの出来事。……そう、思っていたのだけれど。

「なあ、ミリーナ。俺と一回デートしてくれないか?」
 次の日、真っ黒く染めた髪で会いに来た彼のとびきり明るい笑顔。差し出された右腕には、血塗れの包帯が巻かれていた。

好きだけど、嫌い。(ガウリナ)

2020-08-06 22:24:02 | スレイヤーズ二次創作
どもですお久しぶりです~。
エアイベントに出た際の、エアスケブで書いた短いガウリナSSを投稿しまっす。

お題「好きなところと嫌いなところ」
リクエストくださった方、ありがとうございました~。
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 ガウリイ=ガブリエフはあたしの旅の連れである。
「旅の連れ」、「相棒」、「自称保護者」。彼とあたしの関係性を言い表す言葉はいくつかあって。――まあ、『自称保護者』は彼が勝手に言い出した事なんだけど。
 家族ではない。恋人でもない。けれど、なんだかんだずっと一緒に居る。旅の連れ。
 ――一緒にいる事に理由なんていらないだろう?
 そんな事を言ったガウリイの、本心をあたしは知らない。そう言って隣にいてくれるガウリイとの関係は、あたしにとってはとても心地がいいものだけど。だけど、いざ誰かに「あなたと彼の関係は?」なんて尋ねられてしまえば、途端に居心地が悪くなる。上手く言葉に出来なくて、もどかしい。決定的でなくて、なんだかふわふわとした関係。……このままでいいのか? そもそもあたしはどうなりたいのだ?
 結局、考えても答えを見つけられずに、あたしは今日も彼と一緒に旅をしている。並んで歩く、街道の石畳。

「リナ、何か考え事か?」
 不意にそう尋ねてきたガウリイに、あたしは小さく息を詰めた。
「なんで?」
「見てりゃわかるさ。さっきからなんか難しい顔してたろ」
 ぼーっとしてると転ぶぞ、なんて。言って、何故だかあたしの頭をぐしゃぐしゃ撫でる掌は、相変わらず大きくて、あたしよりほんの少し体温が高い。
「……なんで分かんのよ」
「オレはお前さんの『自称保護者』だから、な」
 微笑んで言う。その言葉にまた、あたしの中で複雑な感情が渦巻いた。――その、『自称』保護者って、なによ。
 明確な理由も、目的も、何もなくても傍にいてくれる。ガウリイのそんな所が、あたしは好きだ。――けれど同時に。傍にいる、その決定的な理由をくれない所が。
「……きらい」
 ぼそりと口の中だけで呟いたあたしに、自称保護者はきょとんとして首を傾げた。