おそくなりました(;´Д`)
前回からの続きものです。今回短め。
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「僕も知ってますよ!母からの伝聞ですが、リナ=インバースの相棒的存在で、美形の上に剣の腕は超一流。戦う姿はさながら英雄譚の主人公のようだったと......!」
目をきらきらさせながら語るルシウスに、オレとレオナは目を見合わせる。
──あの、年中母さんの尻にしかれっぱなしの父さんが......?
「憧れます......!」
「兄ちゃんたちはどうだ?」
おっさんに聞かれて、ちょっと詰まった。
「あー......うん、聞いた事はあるかもしれない」
濁して言うオレ。レオナは見事なポーカーフェイスで黙っていた。いや、運ばれてきた料理に気を取られていただけかもしれない。
「...まあ、ともあれお前さんらも、今話題になってる『リナ=インバース』は偽者だと思ってるんだろ?」
ぐびり、と出されたお冷やを呷って、おっさんはにやりと笑う。
「オレも今稼ぎが欲しい所だった。仲間になろうぜ」
『ランツ』と名乗ったおっさんは、それから夕飯を掻き込んで宿に戻って行った。
彼は近隣の街からたまに出稼ぎに来ているらしい。聞けば、オレたちよりも幼い子どもがいると言う。
オレたちも一旦宿に戻ることにして、ルシウスと別れた。
「......ランツさんって、ほんとに母さんたちと旅した人なんだね」
ちょっと嬉しそうに言うレオナに、オレは首を振る。
「まだそうだと決まったわけじゃない。父さんを知ってたのは驚いたけど......むしろ、警戒した方が良くないか?」
オレの言葉に、レオナは目を丸くした。
「なんで?」
「良く知ってるって事は、実際ほんとに友好的な関係だったか、むしろ敵対していて詳しく『調べた』かどっちかだ。......母さんたちの敵対者だった場合、オレたちの正体を明かすのは危険じゃないか?」
オレの鋭い指摘に、しかしレオナは首を傾げる。
「わたしたちの正体を知らないのに、あんなに楽しそうに母さんたちの事話すかしら」
「......そ、それは。あれだ。一見友好的に見せている方が、情報も集まりやすいんじゃないか?」
「考えすぎじゃあ......?」
「良いから!とりあえず、オレたちの正体は黙っておく。これで良いな」
「......分かった」
渋々頷くレオナ。
オレはそんな妹に重々しく頷いて、自分の取る部屋に足を運んだのだった。
夜。オレは宿屋の庭にいた。
剣の練習である。
ただ、無性に動きたかった。......ランツから父さんの名を出されて、剣技を磨く必要性を感じたというのもある。
確かに父さんの剣技は凄かった。子どもの頃から父さんに鍛えられて、オレの剣技も並みより上、という自信はある。
......だが、まだ父さんには届かない。
剣を一振りするごとに、ひゅっと風を斬る音がする。
それが心地よい。
だが、最近サボっていたので体がいつもより重かった。思うように動けない。
「......ちくしょー」
ぽつり、と思わずこぼした独り言。
それに、返事が返って来た。
「おうおう、兄ちゃんも練習か?」
「......おっさん?」
続く。
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次回に続きます。
前回からの続きものです。今回短め。
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「僕も知ってますよ!母からの伝聞ですが、リナ=インバースの相棒的存在で、美形の上に剣の腕は超一流。戦う姿はさながら英雄譚の主人公のようだったと......!」
目をきらきらさせながら語るルシウスに、オレとレオナは目を見合わせる。
──あの、年中母さんの尻にしかれっぱなしの父さんが......?
「憧れます......!」
「兄ちゃんたちはどうだ?」
おっさんに聞かれて、ちょっと詰まった。
「あー......うん、聞いた事はあるかもしれない」
濁して言うオレ。レオナは見事なポーカーフェイスで黙っていた。いや、運ばれてきた料理に気を取られていただけかもしれない。
「...まあ、ともあれお前さんらも、今話題になってる『リナ=インバース』は偽者だと思ってるんだろ?」
ぐびり、と出されたお冷やを呷って、おっさんはにやりと笑う。
「オレも今稼ぎが欲しい所だった。仲間になろうぜ」
『ランツ』と名乗ったおっさんは、それから夕飯を掻き込んで宿に戻って行った。
彼は近隣の街からたまに出稼ぎに来ているらしい。聞けば、オレたちよりも幼い子どもがいると言う。
オレたちも一旦宿に戻ることにして、ルシウスと別れた。
「......ランツさんって、ほんとに母さんたちと旅した人なんだね」
ちょっと嬉しそうに言うレオナに、オレは首を振る。
「まだそうだと決まったわけじゃない。父さんを知ってたのは驚いたけど......むしろ、警戒した方が良くないか?」
オレの言葉に、レオナは目を丸くした。
「なんで?」
「良く知ってるって事は、実際ほんとに友好的な関係だったか、むしろ敵対していて詳しく『調べた』かどっちかだ。......母さんたちの敵対者だった場合、オレたちの正体を明かすのは危険じゃないか?」
オレの鋭い指摘に、しかしレオナは首を傾げる。
「わたしたちの正体を知らないのに、あんなに楽しそうに母さんたちの事話すかしら」
「......そ、それは。あれだ。一見友好的に見せている方が、情報も集まりやすいんじゃないか?」
「考えすぎじゃあ......?」
「良いから!とりあえず、オレたちの正体は黙っておく。これで良いな」
「......分かった」
渋々頷くレオナ。
オレはそんな妹に重々しく頷いて、自分の取る部屋に足を運んだのだった。
夜。オレは宿屋の庭にいた。
剣の練習である。
ただ、無性に動きたかった。......ランツから父さんの名を出されて、剣技を磨く必要性を感じたというのもある。
確かに父さんの剣技は凄かった。子どもの頃から父さんに鍛えられて、オレの剣技も並みより上、という自信はある。
......だが、まだ父さんには届かない。
剣を一振りするごとに、ひゅっと風を斬る音がする。
それが心地よい。
だが、最近サボっていたので体がいつもより重かった。思うように動けない。
「......ちくしょー」
ぽつり、と思わずこぼした独り言。
それに、返事が返って来た。
「おうおう、兄ちゃんも練習か?」
「......おっさん?」
続く。
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次回に続きます。