どもですあきらです~。
お久しぶりに更新です。800字チャレンジで、ゼロス君言葉責めシリーズ(シリーズ???)
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「生きとし生ける者の天敵。残虐非道な鬼畜生。血も涙もない悪魔。えとせとら、えとせとら。……そんな罵倒は聞き飽きてしまいましたね」
――やれやれ、とでも言わんばかりに肩を竦めながら。ヒトの姿を模した精神生命体はその顔に困ったような笑顔を浮かべてみせる。……実際は、一欠けらも困ってなんていないだろうに。
「だって当たり前の事ですからね。――元々僕らはヒトではありませんから」
そう、当たり前なのだ。魔族に人間と同じ振舞いを期待するのが元々間違っている。生存本能を備えたヒトや獣とは対照的に、『滅び』を望むのが魔族というモノだから。
「そもそも、貴方たちだって同じじゃないですか。……虫を殺し、獣を喰らう。時にその皮を剥ぎ、家畜として飼う」
幼い獣を丁寧に世話し、可愛がり、大きく育てた所で頃合いを見てはあっさりと殺す。家畜として人の手に殺される瞬間の獣たちの目から見れば、人間のなんと恐ろしくおぞましい事か。
「そうは思いませんか?」
まるで教師が生徒へ教え諭すように、当たり前の事を言い聞かせるように質問を投げかけた魔族は、返事など期待してはいなかった。――その足元で、腰を抜かしたまま動けずにいる盗賊の男の返事などは。
「あ……、うう……」
腰に差した得物も、下級魔族避けの護符すらも、圧倒的な力を持つ純魔族には何の効果も見込めはしない。
「おやおや、そんなに怯えた顔をして。フフ、面白いカオですね」
こんな場面で微笑んで見せる神官姿の男は、数分前までは盗賊たちにとって確かに『獲物』であったはずだった。それが全くの逆であったという事を、絶望と共に知る。そして、この命が尽きる瞬間をあと何秒引き延ばす事が出来るのか、絶望と共に思う。
「知ってました? 小魚も羽虫も、死ぬ間際には瘴気を漂わせる。死を厭う。それでもヒトはそれを喰らうでしょう。同じ事です。僕たちは貴方たちの瘴気を喰らう。死への恐怖を、絶望を、嫌悪と憎しみを。それが美味しから、より美味しく頂けるように惨たらしく、時間を掛けて殺して」
「ひっ」
「――ほら、それじゃあ貴方をどう料理して差し上げましょうか?」
言葉と共に差し向けられた指先。その先に自分が居る事を自覚した瞬間に、盗賊の男は恐怖のあまり意識を手放した。
*
「――と。ちょーっと脅かし過ぎましたかね。こんな所で寝てたら物取りに襲われますよ? ……ま、いいでしょう。良い恐怖をご馳走様でした。ちょうどいいおやつ、という所ですかね」
時間が無い。上司に呼ばれているのだ。
獣神官ゼロスは、気絶した男に小さく手を合わせてその場を後にした。
――やれやれ、とでも言わんばかりに肩を竦めながら。ヒトの姿を模した精神生命体はその顔に困ったような笑顔を浮かべてみせる。……実際は、一欠けらも困ってなんていないだろうに。
「だって当たり前の事ですからね。――元々僕らはヒトではありませんから」
そう、当たり前なのだ。魔族に人間と同じ振舞いを期待するのが元々間違っている。生存本能を備えたヒトや獣とは対照的に、『滅び』を望むのが魔族というモノだから。
「そもそも、貴方たちだって同じじゃないですか。……虫を殺し、獣を喰らう。時にその皮を剥ぎ、家畜として飼う」
幼い獣を丁寧に世話し、可愛がり、大きく育てた所で頃合いを見てはあっさりと殺す。家畜として人の手に殺される瞬間の獣たちの目から見れば、人間のなんと恐ろしくおぞましい事か。
「そうは思いませんか?」
まるで教師が生徒へ教え諭すように、当たり前の事を言い聞かせるように質問を投げかけた魔族は、返事など期待してはいなかった。――その足元で、腰を抜かしたまま動けずにいる盗賊の男の返事などは。
「あ……、うう……」
腰に差した得物も、下級魔族避けの護符すらも、圧倒的な力を持つ純魔族には何の効果も見込めはしない。
「おやおや、そんなに怯えた顔をして。フフ、面白いカオですね」
こんな場面で微笑んで見せる神官姿の男は、数分前までは盗賊たちにとって確かに『獲物』であったはずだった。それが全くの逆であったという事を、絶望と共に知る。そして、この命が尽きる瞬間をあと何秒引き延ばす事が出来るのか、絶望と共に思う。
「知ってました? 小魚も羽虫も、死ぬ間際には瘴気を漂わせる。死を厭う。それでもヒトはそれを喰らうでしょう。同じ事です。僕たちは貴方たちの瘴気を喰らう。死への恐怖を、絶望を、嫌悪と憎しみを。それが美味しから、より美味しく頂けるように惨たらしく、時間を掛けて殺して」
「ひっ」
「――ほら、それじゃあ貴方をどう料理して差し上げましょうか?」
言葉と共に差し向けられた指先。その先に自分が居る事を自覚した瞬間に、盗賊の男は恐怖のあまり意識を手放した。
*
「――と。ちょーっと脅かし過ぎましたかね。こんな所で寝てたら物取りに襲われますよ? ……ま、いいでしょう。良い恐怖をご馳走様でした。ちょうどいいおやつ、という所ですかね」
時間が無い。上司に呼ばれているのだ。
獣神官ゼロスは、気絶した男に小さく手を合わせてその場を後にした。