ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

説法。(ゼロス)

2021-06-20 01:23:24 | スレイヤーズ二次創作
どもですあきらです~。
お久しぶりに更新です。800字チャレンジで、ゼロス君言葉責めシリーズ(シリーズ???)

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「生きとし生ける者の天敵。残虐非道な鬼畜生。血も涙もない悪魔。えとせとら、えとせとら。……そんな罵倒は聞き飽きてしまいましたね」
 ――やれやれ、とでも言わんばかりに肩を竦めながら。ヒトの姿を模した精神生命体はその顔に困ったような笑顔を浮かべてみせる。……実際は、一欠けらも困ってなんていないだろうに。
「だって当たり前の事ですからね。――元々僕らはヒトではありませんから」
 そう、当たり前なのだ。魔族に人間と同じ振舞いを期待するのが元々間違っている。生存本能を備えたヒトや獣とは対照的に、『滅び』を望むのが魔族というモノだから。
「そもそも、貴方たちだって同じじゃないですか。……虫を殺し、獣を喰らう。時にその皮を剥ぎ、家畜として飼う」
 幼い獣を丁寧に世話し、可愛がり、大きく育てた所で頃合いを見てはあっさりと殺す。家畜として人の手に殺される瞬間の獣たちの目から見れば、人間のなんと恐ろしくおぞましい事か。
「そうは思いませんか?」
 まるで教師が生徒へ教え諭すように、当たり前の事を言い聞かせるように質問を投げかけた魔族は、返事など期待してはいなかった。――その足元で、腰を抜かしたまま動けずにいる盗賊の男の返事などは。
「あ……、うう……」
 腰に差した得物も、下級魔族避けの護符すらも、圧倒的な力を持つ純魔族には何の効果も見込めはしない。
「おやおや、そんなに怯えた顔をして。フフ、面白いカオですね」
 こんな場面で微笑んで見せる神官姿の男は、数分前までは盗賊たちにとって確かに『獲物』であったはずだった。それが全くの逆であったという事を、絶望と共に知る。そして、この命が尽きる瞬間をあと何秒引き延ばす事が出来るのか、絶望と共に思う。
「知ってました? 小魚も羽虫も、死ぬ間際には瘴気を漂わせる。死を厭う。それでもヒトはそれを喰らうでしょう。同じ事です。僕たちは貴方たちの瘴気を喰らう。死への恐怖を、絶望を、嫌悪と憎しみを。それが美味しから、より美味しく頂けるように惨たらしく、時間を掛けて殺して」
「ひっ」
「――ほら、それじゃあ貴方をどう料理して差し上げましょうか?」
 言葉と共に差し向けられた指先。その先に自分が居る事を自覚した瞬間に、盗賊の男は恐怖のあまり意識を手放した。



「――と。ちょーっと脅かし過ぎましたかね。こんな所で寝てたら物取りに襲われますよ? ……ま、いいでしょう。良い恐怖をご馳走様でした。ちょうどいいおやつ、という所ですかね」
 時間が無い。上司に呼ばれているのだ。
 獣神官ゼロスは、気絶した男に小さく手を合わせてその場を後にした。

あいすくりーむ。(ガウリナ/現パロ)

2021-06-11 23:54:11 | スレイヤーズ二次創作
どもですあきらです~。
お久しぶりにTwitterのワンドロワンライに参加したので、
ガウリナSSを掲載いたします。

高校生な二人。
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 照りつける太陽。肌がじりじりと焼けているのが分かる。その上髪の毛はもわもわと湿気を含んで広がって。あたしの事情をお構いなしに額からこめかみから流れる汗は、ぼたぼたと零れ落ちて制服にシミを作る。
「……あづぅ~~~~い」
 うだあ、と口を開けて。買ったばかりのはずが、もうぬるくなってしまったボトルのお茶を飲み干したあたしは、幼馴染と見慣れた通学路を歩いていく。もう六時近いというのに、まだこんなにも明るいのは夏が近づいている証だろう。……いや、もうこの暑さは『夏』と断言しても過言ではない。
「それ何度目だリナ」
 幼馴染のガウリイは呆れたように、しかし自分だって暑そうに手でぱたぱたと空気を仰ぐ。あたしなんかよりよっぽど暑がりな彼の、背中のシャツが汗ですっかり湿ってしまっているのがよく分かる。
「だって暑いじゃない。あ~~~暑い暑い暑い。どーなってんのよこの異常気象は!?」
「まだ六月なのになあ。これ、八月とかどうなってんだろうな?」
「梅雨だからこそ蒸し暑いってのもあるけどね。湿気が酷くてやんなっちゃうわ」
 許すまじ、湿気。そして、この暑さで虫さん達が活発に動き回っているのも、あたしとしては困るわけで。外で見掛ける蝶は良くても、部屋で見掛ける蚊とハエは駆逐対象なのだ。
 ――あーいやだいやだ。

「じゃ、帰りにコンビニ寄ってくか?」
 あたしのブルーな気持ちを晴らすように、幼馴染の声が隣で弾む。おっ、それは良い提案。
「良いわね。アイス買いましょアイス」
「良いな。……んー、チョコモナカジャンボ」
「あたしはパルム……いや、ワッフルコーン食べたいわね」
 クリーム系のボリューム感が欲しい。けど、それとは別に爽やかに氷っぽいのも食べたい気がする。うーむこれは悩むところだ。
「もう二個ずつくらい買ったらどうだ?」
「で、一口交換ってわけね」
 にやりと笑ってみせると、幼馴染もくしゃりと笑う。
「オレの一口はでかいぞ」
「威張って言うな」