久しぶりにガウリナSSですー( ´艸`)
紫陽花さんからネタ提供頂きました♪
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じとり。
自分の身体を流れる汗を感じて、あたしは顔をしかめた。
──......暑い。
ここ最近、気温が高く、しかもじめじめして寝苦しい夜が続いている。
今日もまたそうだった。
「うあー......」
あたしは呻いて、ベッドの上で寝返りを打った。
ベッドに入ってもう一時間は経ったのに、全然眠れそうに無い。
こう言うと、「弱冷気の呪文を使えば良いじゃないか」などと言われそうだが、残念ながら今その手は使えない。
......つまり、その。あの日なのである。
ため息ひとつ。
あたしは起き上がり、ブランケットを跳ねのけた。
「......」
ベッドに隣接する宿の薄い壁を、とんとん、と軽く叩く。
この向こう側にはガウリイがいるはずである。
──起きているだろうか...?
はたして、数秒後に反応があった。同じように、とんとん、と軽く壁を叩く音。
次いで、彼の声も。思いの外クリアに聞こえてくるそれ。
「......リナ? 何かあったのか?」
それに嬉しくなって、あたしもまた壁を叩いた。
「ううん。ちょっと眠れなくてさ」
「大丈夫なのか?」
「うん。......暑いわねー」
「......そうだなあ~」
薄い壁を隔てて、交わされる密やかな会話。壁に耳をそばたてて、息を潜める。
ガウリイの返事が少し間延びしているのは、眠いからだろうか。
寝苦しくて辛かったはずなのに、彼の声を聞くだけで、少し安心してしまう自分がいる。
そんな自分に、あたしは小さく苦笑した。──随分と、彼と居ることに慣れてしまったものだ。
「ガウリイ、眠い?」
「ん? あ~......んー、そんなことないぞ」
半分寝ぼけたような彼の返事に、あたしはくすりと笑う。
「ふふっ。起こしてごめんね......おやすみ」
「...ああ、おやすみ」
柔らかな声が、まるで呪文みたいに耳に響く。
今ならちゃんと眠れるような気がして、あたしは壁に向き合いながら、ぎゅっと枕を抱きしめて目を閉じた。
紫陽花さんからネタ提供頂きました♪
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じとり。
自分の身体を流れる汗を感じて、あたしは顔をしかめた。
──......暑い。
ここ最近、気温が高く、しかもじめじめして寝苦しい夜が続いている。
今日もまたそうだった。
「うあー......」
あたしは呻いて、ベッドの上で寝返りを打った。
ベッドに入ってもう一時間は経ったのに、全然眠れそうに無い。
こう言うと、「弱冷気の呪文を使えば良いじゃないか」などと言われそうだが、残念ながら今その手は使えない。
......つまり、その。あの日なのである。
ため息ひとつ。
あたしは起き上がり、ブランケットを跳ねのけた。
「......」
ベッドに隣接する宿の薄い壁を、とんとん、と軽く叩く。
この向こう側にはガウリイがいるはずである。
──起きているだろうか...?
はたして、数秒後に反応があった。同じように、とんとん、と軽く壁を叩く音。
次いで、彼の声も。思いの外クリアに聞こえてくるそれ。
「......リナ? 何かあったのか?」
それに嬉しくなって、あたしもまた壁を叩いた。
「ううん。ちょっと眠れなくてさ」
「大丈夫なのか?」
「うん。......暑いわねー」
「......そうだなあ~」
薄い壁を隔てて、交わされる密やかな会話。壁に耳をそばたてて、息を潜める。
ガウリイの返事が少し間延びしているのは、眠いからだろうか。
寝苦しくて辛かったはずなのに、彼の声を聞くだけで、少し安心してしまう自分がいる。
そんな自分に、あたしは小さく苦笑した。──随分と、彼と居ることに慣れてしまったものだ。
「ガウリイ、眠い?」
「ん? あ~......んー、そんなことないぞ」
半分寝ぼけたような彼の返事に、あたしはくすりと笑う。
「ふふっ。起こしてごめんね......おやすみ」
「...ああ、おやすみ」
柔らかな声が、まるで呪文みたいに耳に響く。
今ならちゃんと眠れるような気がして、あたしは壁に向き合いながら、ぎゅっと枕を抱きしめて目を閉じた。