ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

蕩ける。(ガウリナ)

2019-04-13 11:32:07 | スレイヤーズ二次創作
これもぷらいべったーより転載です。

診断メーカーお題『甘くて蕩けてしまいそう』
めちゃくちゃ甘ったるいです注意。思いが通じたばかりの二人。

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「リナ」
 囁かれる名前が甘ったるくてむずむずする。至近距離であたしを見詰める、アイスブルーの瞳が蕩けている。そんな彼の瞳に映る、あたしの顔を見ていられない。
「……待って」
「待たない」
 有無を言わさぬ言葉。恥ずかしさが頂点に達して、あたしは彼を押し退けようと両腕を伸ばした。その手を摑まえられて、彼の手のひらの温度を直接感じてしまう。
 ――嗚呼、なんたる墓穴。
「逃げないでくれよ、リナ」
 どこか困ったような、まるで縋るみたいに言われて、なんだか胸がぎゅっとした。

 あたしはガウリイを好きで、彼もあたしが好きで。
 そんな事はなんとなく前から分かっていたのに、それがはっきりと通じてしまったら、どうにもその事実がとてつもなく気恥ずかしくて、あたしはずっと困惑しっぱなしであった。
 おんぶされたことだって、抱きしめたことだって、何度だってあるはずなのに。それでも今、そっと掴まれた手のひらの温度が熱くて堪らなくて、それだけで心臓の音がうるさくて胸が痛い。

「リナ」
 もう一度呼ばれる。今度は顔を背けずに、あたしは意を決して目を閉じた。
 息を呑む声が聞こえる。
「ガウリイ、はやく」
「なっ、お前さんなあ……」
 びっくりしたような声に、あたしは思わず目を閉じたまま顔を左右にぶんぶん振った。
「攻撃呪文唱えださないうちに、早くって言ってんのよっ!」
 この恥ずかしさに耐えられるのは、もってあと数十秒だ。そんな良く分からない自信があった。
 
「……わかった」
「ひゃっ、んむ……」
 触れた唇が熱い。かさついた感触。何度も触れては離れるそれに、そっと目を開けると目の前にブルーの瞳があった。きゅっと握られた指先に熱が籠る。
「あっ、ちょっと、やっぱりタンマ……っ」
「待たないって」
 裏返った声の静止は、聞いたこともない低く熱い吐息交じりの声に跳ね返されて。

「ひあっ……、んっ、ふっ……ぁ」

 合わせた唇から入ってきたナニカに、あたしはなすすべもなく身体の芯を抜かれてしまうのだった。

オシマイ!

ちっぽけな世界を変える。(ガウリナ)

2019-04-13 11:29:01 | スレイヤーズ二次創作
どもです。お久しぶりにガウリナSS更新です。
ぷらいべったーより転載。

男前リナさん。体裁を破り捨てて
※短いです。

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「あたし、ガウリイが好きみたい」
 ガツン、と頭を打たれたみたいな衝撃。旅の相棒からのその急な一言に、オレはその場で固まった。

「……なんだって?」
 たっぷり十五秒。間を空けてから恐る恐る聞き返せば、リナはもう一度口を開く。まるで次はどこの街へ行くか、みたいないつもの声で。
「だから、あたし、ガウリイの事が――」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 急にどうしたんだリナ」
 慌てて遮れば、彼女は少しムッとした顔をした。
「急って……なによ、そんなに驚くようなこと?」
 ――とっくに気付いていると思っていたけど。そう言いたげなリナの顔に、オレは苦虫を噛み潰す。
 そうだ、とっくに気が付いていた。リナの気持ちも、自分の気持ちも。……けれども、それを認める事を意識して避けていたのだ。……なんでかって、それは。

 きっと、言葉にしたら世界が変わってしまうから。

 そもそも、リナの『自称保護者』を名乗ったのは自分からだった。五つ程も年下の、危なっかしい子供の兄貴役を買って出たつもりだった。それがどうだ、オレはそんな『保護者』の三文字に自分で縛られて、けれどそれに安心していた。今の関係の、心地よさに甘えてしまって。

「オレは、保護者だぞ」
「それが何よ。……っていうか、『自称保護者』なんて勝手に言い出したのは、ガウリイの方でしょ」
 オレの事を真正面から見据えながら、しかし分かるくらい頬を赤くしているリナを、オレは今すぐ抱きしめたい気持ちと、この場から逃げ出したい気持ちの、混じり合った二つの感情に息を詰める。
「いい加減、そろそろはっきりしときたいの」
 ――ああ、きっといつか、もっと先の未来にオレから言おうと思っていたのに。
「あたしは、アンタが好きだから」
 こんなにもあっさりと、彼女はオレの逡巡を飛び越える。
「ただの旅の連れじゃなくって……今みたいに、いつ別れるか分からないような、関係じゃなくて……」
 はっきりしないオレの態度に、リナの顔がだんだん俯いていく。その声が小さくなっていくのに、オレは
もう一度頭を殴られたような気がした。
 ――何をやっているんだ、オレは。
 体裁とか、はっきりしないことで守っていた関係性とか。そんなの破り捨ててしまえばいい。
 そんなモノがリナの顔を曇らすならば。

「リナ」

「――オレも、好きだよ」
 こんな短い言葉を言うのに、滑りだした声は馬鹿みたいに震えていた。