ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

困惑のサイラーグ【13】(ゼロシル)

2013-09-29 17:04:01 | 困惑のサイラーグ(ゼロシル/完)
注意!こちらはゼロス×シルフィールのカップリング小説です。妄想とねつ造に溢れていますので、苦手な方はお戻り下さい。

今回はシルフィール視点連続です(´▽`)
エルフの喋り方ってよく分かんなくて困ります(汗)
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エルフ族の長老とその従者によって、私は小さな建物に通されていた。
小綺麗な部屋の中、三人だけしかいない中で、張り詰めた空気に気圧されそうになるのをぐっと堪える。

私の差し出した献上品に、長老は一通り目を通してから頷いた。
「我が友、人間よ。良い品をありがとう。対価として我らが知識を与えよう」
重々しい言葉に、私はごくりと唾を呑み込んだ。
知識。それこそが私が今喉から手がでる程欲しいもの。

「ありがとうございます」
一礼してから、フラグーンの種を取り出した。
「これが真に『フラグーンの種』かどうか、あなた方に見極めて頂きたいのです」
長老はそれを慎重に受け取り、じっくりと見る。

「ふむ...」
しばらく種を眺めてから、長老はおもむろに種の上に手をかざし、何か呪文のような言葉をつぶやき始めた。
エルフ族に伝わる術なのだろうか、私はそれを見つめることしか出来ない。

「......『汝の真の姿を表せ』」
最後にそう呟くと、彼の手から緑色の光がぽうっと輝いた。
──しかし、何も起こらない。

長老は顔を上げ、私に視線を向けた。
「これは真のフラグーンの種だ」
「......本当、ですか?」
「人間よ。私は嘘をつかない」
威厳に満ちた声に、私は心から熱いものがこみ上げてくるものを感じた。
「ありがとうございます...!」
「シルフィール殿。あなたは良き隣人をお持ちのようだ」
私はこの時初めて長老が微笑むのを見た。


「人間のお姉ちゃん!」
長老の家から出ると、先程出会ったエルフの少女が私を待っていた。
「...どうしたの?」
「ついて来て!」
私の手を取ってぐいぐいと引っ張って行く。
「あ、ちょっと!」
つられて走り出すと、彼女は笑いながら私をその場から連れ出した。

「ここだよ!」
しばらくして女の子の家らしき建物の前にたどり着いた。一息つく間もなく、彼女は家の中に入って私を手招きする。
付いていくと、そこには先程あった男の子と、もう一人、エルフのおばあさんが立っていた。
「...あの、こんにちは?」
私の挨拶に頷いたあと、彼女はくるりと背を向けて行ってしまう。どうやら付いて来い、という事らしい。
戸惑う私に、女の子は笑いかけ、男の子はべえっと舌を出した。
「......」
やれやれ。

奥の部屋まで来ると、子供たちはいなくなり、おばあさんと二人きりになる。
「......人間の娘よ」
厳しい目をした彼女に、自然と背筋が伸びる。長老と同じだ。
「突然連れて来られて戸惑っていることでしょう。孫たちが失礼しました」
「い、いえ」
「私はこの村の占い師です。そして、人間がこの村に来ると聞いて、占わずには居られなかった...」
世を憂うような瞳に、少しだけ不安になる。
「警告します。あなたは、近いうちに魔に魅入られる。用心なさい」
「......!?」
──フラグーンの種は本物だったのに...
「あなたの心の隙を、魔は狙っている。あなたの心を揺さぶる何かを仕掛けてくる。...立ち向かいなさい、人間の娘よ」
険しい声と視線に、私は身体が震えそうになるのを必至に抑えていた。
──立ち向かいなさい。
その言葉だけが、私の中に何度も響いたのだった。


続く
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次回に続く!


浸食(ガウリナ)

2013-09-25 16:50:31 | スレイヤーズ二次創作
お久しぶりにガウリナSSを1つ!
(`・ω・´)
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小さな宿。
あたしは一人、部屋で魔道書を読んでいた。新しい呪文の開発に役立つ箇所はないか、ページの隅々まで目を走らせる。

──久しぶりだ。

ガウリイと旅するようになってから、こうやって魔道を研究する時間が各段に減った。
勿論一人になる時間があれば研究は出来るだけやっているのだが。それでも一日中魔道書に没頭したり、新しい術の試しうちをそこらの森で何度も繰り返したりはなかなか出来ない。
今日はたまたまガウリイが一人で仕事してるので、あたしは一日暇が出来たのだ。

しんとした部屋に、ページを繰る音だけが響く。
以前には当たり前の時間だったが、いつの間にか貴重な時間になっていた。
あたしは小さく伸びをして、魔道書を一旦閉じた。カップの紅茶を一口啜ると、ほっと一息。

──なかなか悪くない。

...そう、思うのだけど。少しだけ落ち着かないのは何故だろうか。
以前はそんな事、考える間もなく魔道書に没頭していたのに。
「...早く帰って来ないかなー」
ちらっとそんな事を呟くと、声は思ったより寂しげに響いた。

ガウリイはどうなんだろうか。
あたしと旅する前は、彼はずっと一人だったのだろうか。それとも、他に相棒がいたのかしら。もし他に相棒がいたのだとして...
──女の人だったら、なんかヤだな。
「......って、何馬鹿なこと考えてんのよあたしってば!」
頭を振ると、変な考えを追い払った。

それよりも。
あたしが今ガウリイと別れて一人旅に戻ったら。それが問題だった。
二人旅を始めた当初はよく考えていた。一人に戻ったらどうするか。具体的なイメージだって浮かんでいた。
でも、今はそれが全くイメージ出来ない。
思えばあたしはもう背中をガウリイに預けて戦うことに慣れていて、彼の剣の腕に頼ることに躊躇いがなくなっている。

二年間。だったそれだけの期間で。

──あたしはガウリイに、浸食されている。

じわじわと。そのうちきっと彼なしじゃいられなくなる。
そんな考えが頭に浮かんで、あたしは目を見開いた。
──まさか。

でも。
あの朗らかな笑顔で誰よりも優しい相棒とずっと一緒なら、それでも良いかもしれない。

...そんな事を思ってしまうあたしは、もう手遅れだったりして。
得体の知れない感情にぞわりとする。
落ち着こうと一口飲んだ紅茶は、既に冷めていた。


終わり

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なんか思ったより怖い話になってしまいました...(;`・ω・´)
いやいや、あのくらげはそんな黒い人じゃありません。リナの考えすぎです。


困惑のサイラーグ【12】(ゼロシル)

2013-09-24 13:43:10 | 困惑のサイラーグ(ゼロシル/完)
注意!こちらはゼロス×シルフィールのカップリング小説です。妄想とねつ造に溢れておりますので、苦手な方はお戻り下さい。
(更新遅くなりましたー><
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小さな村はすぐに見つかった。
民家と畑、そして豊かな緑。初めてなのに懐かしいような、不思議な気分になる村だ。
「...ここが、エルフ族の村」
ごくり、と唾を飲み込む。
歩き出すと、ゼロスさんから渡された、エルフへの献上品ががちゃりと音を立てた。貴金属が入っているのでなかなか重い。

「すみません、ちょっと良いですか?」
ちょうど畑にいた一人のエルフに声を掛けると、彼はちょっと驚いた顔をして、それから不機嫌な声を出した。
「なにか用かね?」
「村長さんにお会いしたいんですが」
彼はぴくり、と動きを止めた。
「...名前は?どこから来なさった」
「シルフィール=ネルス=ラーダと申します。サイラーグから来ました。以前使いの者が伺ったと思うのですが...」
「ふむ。ちょっと確認して来よう」
エルフ族の男性は見たことのない農耕機具を畑に置いて、一人民家の方へ歩いていってしまった。

一人で待っていると、背後から誰かの視線を感じた。複数の気配。
振り向くと、建物の陰から私を見ていたのは、二人の小さな子供のエルフだった。見た目からして、女の子と男の子だ。人間で言うと5、6歳くらいだろうか。
「あら...?」
声を上げると、飛び出して来る。
「やい人間!」
男の子の方が震えた声を出した。
「何しにここに来た!」
彼の目には怒りと恐怖の色が見えた。女の子は怯えて男の子の後ろに隠れている。兄妹だろうか?
「何って...ええと、この村の村長さんに会いに来たんです」
しゃがんで視線を合わせると、彼らは慌てて一歩退いた。
「人間のくせに!帰れ!」
強い拒絶の言葉。それよりも、彼らが完全に怯えた顔をしている事がショックだった。

「...帰りません」
「なんだって!?」
「大事な用事があるんです。それが終わるまでは、帰りません!」
断固とした口調で言えば、子供たちは黙った。
「村に迷惑はかけません。だから、許して?」
出来るだけ優しく微笑むと、男の子は視線を地面に向けた。
つられて下に目を向けると、彼は足を怪我していた。膝を小さく擦りむいている。
「あら、膝、怪我してますね」
「! 転んだだけだっ...」
動揺する男の子に笑いかけると、私は小さく呪文を唱えた。
「『治癒』(リカバリィ)」
十秒ほどで、彼の傷は元通りになった。
「わあ!治った!」
明るい声を上げたのは女の子の方である。
「ありがとうお姉ちゃん」
「どう致しまして」
男の子は、しばらく黙ったあと、小さく礼を言った。
「...これくらい、母さんだって出来るけどな」
付け加えられた小さな意地に、私は苦笑した。

「シルフィール殿」

重々しい声に呼ばれて振り返る。私を呼んだのは、一人の老エルフだった。隣にはさっき声を掛けたエルフの男性が控えている。
「長老様!」
子供たちがぴんと背筋を伸ばした。
「お前たちは家に戻りなさい」
言われた子供たちが慌てて走って行く。それを見届ける長老の目は暖かかった。

「シルフィール殿。サイラーグからようおいでなさった。私がこの村の村長であり長老だ」
「はい!よろしくお願いします」
勢いよく頭を下げると、長老は鷹揚に頷いた。


続く

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次回に続きます!



禁煙(ハボアイ)

2013-09-13 02:09:33 | その他版権小説
その他版権小説です!『鋼の錬金術師』、通称『ハガレン』のハボアイです(`・ω・´)どマイナーとは知りつつも!だって好きなんだもの。
強い女性と犬系男子。萌え。完全私得。
■書いてから、設定がすげー適当なことに気がつきました。色々間違ってたらほんとすみません。
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「ハボック少尉、禁煙よ」
「え、あ......はあ!?」
いつもの東方司令部。いつもの俺の机。なのに、いつものくわえ煙草は美人な上司によってすげなく却下された。

「中尉ー!それまだ火ぃ付けたばっか...!」
彼女によって取り上げられた吸いかけの煙草は、ジュッと音を立てて灰皿に捨てられる。
「ひどいっすよお」
俺の抗議にも、ホークアイ中尉は相変わらずのクールな表情。
「最近東方司令部でも煙草に関する苦情が増えてるの。なので今日から一週間、このフロアが試用期間として全面禁煙になりました。皆さん協力して下さい」
最後の言葉は俺にではなく、周りの皆に向けられていた。

禁煙。俺にとってはほとんど死刑宣告である。
「ハボ、成仏しろよ」
休憩中、声をかけてきたブレダの言葉は、腹立たしい程今の気分に合っていた。
「勝手に殺すんじゃねーよ」
言いつつ、頭を掻く。
さっきから苛々してしょうがない。注意力も散漫だ。こりゃあほんとに煙草が無いとその内死んじまうかも。
「あー。吸いてぇ」
「昼食ったら吸いに外出ようぜ?」
ありがたくて涙が出そうな言葉だ。だが。
「そりゃあ駄目だ。中尉に残りの煙草も取り上げられちまった」
「そりゃまたキツイな」
「俺は誰よりも吸ってるから、たまには吸わない日を作れってさ。出来たらやってるよ」
髪をぐしゃぐしゃかきむしるが、まったく気分は晴れなかった。
俺を見る同僚の目は、皆同情の色をしている。
──くそう、中尉め。大佐が逃げ出して困れば良い。
「んじゃ、後で飴でも恵んでやるよ」
「そりゃあどうも」


「ハボック少尉!」
仕事終わり、特にする事もないので帰ろうとする俺に声をかけたのは、やっぱり中尉だった。
俺から取り上げた煙草を差し出す彼女。
「...いいんすか?」
「ええ。プライベートは自由ですもの」
「そりゃどうも」
喜んで煙草を出そうとする俺に、しかし彼女はストップをかけた。
「今は駄目。もう少し我慢なさい。例えば家に帰るまでとか」
学校の先生みたいなお言葉だ。
「今日一日散々我慢しましたよ」
「もう少し。出来るでしょ?」
「......へーい」
残念ながら俺はこの女上司に頭が上がらない。

「私は大佐にもう少し仕事して貰ってから帰ります」
──そりゃあまた大佐、ご愁傷様。

返して貰った煙草の礼を言ってから、俺はようやく東方司令部を後にした。


「家につくまで我慢、か。おりゃ犬か!」
夜の道を歩きながら文句を垂れる。
まあ、確かに軍の狗ではあるわけだが。
家まであと少し。
しかし。
──我慢の限界。
俺はおもむろに煙草の箱を開けて一本取り出した。それから口にくわえてライターで火を...
「...ん?」
口にくわえた煙草は、なぜか甘い味がする。
──んん?
箱はきちんと俺の愛飲銘柄のもの。

「......シガレットチョコ?」


自宅に帰ると、一人暮らしの家にはなぜか明かりが付いていた。
「お帰りなさい、ジャン」
「...あれ、リザさん? 仕事は?」
なぜか、先ほど別れたはずの上司兼恋人がいる。
彼女は既に髪を下ろして私服姿だった。
──一体いつの間に。

驚く俺に、彼女は何も言わずにキスをした。
...そしてすぐに顔をしかめた。
「やっぱり、煙草吸おうとしたのね」
「......チョコの味、しました?」
どうやら俺は嵌められたらしい。

「あなた、その内肺ガンになっちゃうわよ」
「ベッドの上で死ねるなら幸せじゃないっすか」
「...呆れた」
リザさんは俺と別れた後、電光石火で着替えて俺が帰宅する前に先回りしたらしい。
俺としてはその行動力の方が呆れてしまう。
「そんなに俺に煙草止めさせたいすか?」
「そこまでじゃないけど...ただ」
「ただ?」
重ねて聞くと、彼女は少し頬を赤らめた。
「あなたが飽きもせず毎日吸ってる煙草が、ちょっと憎らしくなっただけよ」

くらり。

相当な殺し文句に、俺は簡単にノックアウトされた。
仕事場では絶対に見せない表情で、そんな甘い言葉を。

「...今日一日くらい、我慢してみせますよ」
あなたが隣に居てくれるなら。
「あら、頼もしいわね」
彼女の柔らかい笑顔に、俺はきっとヤニ下がった顔をしているに違いなかった。


終わり

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さり気なく付き合ってる二人。仕事場では階級呼びで、プライベートでは「ジャン」「リザさん」って呼び合ってるといいよ。萌えるよ。
......という訳で自分なりに頑張って大人っぽい恋愛を書いてみますた。書けてないな。うん。