久しぶりにガウリナSS更新です。
診断メーカーお題「日のお前は一段と可愛いな」
短いよ!
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――あたしの連れは酒に強い。いや、強いのではなくて、酔っているのが頗る分かり辛いのだ。意識はハッキリしつつも呂律が怪しくなってしまうあたしとは違って、ガウリイはかなりしっかりしている。むしろ、普段よりしっかりしているようにさえ見える。そうして強い酒をぱかぱか煽って。……けれど。彼はすっぱり忘れてしまうのだ。飲んでいる時の出来事も、会話の内容も。
「……酔ってるわね、ガウリイ」
だから、今彼が言い放った歯の浮くような台詞だって。どうせ、忘れてしまうに決まっている。
「んん? 全然酔ってないって。ほら」
ぱたぱたと手を振って見せながら、自称保護者は上機嫌に笑う。その手のゴブレットに注がれた蜂蜜酒はもう五杯目だ。ちびちびと一杯目を舐めるように飲んでいるあたしと違って、彼の飲むペースは速い。空気中にふわふわと漂う甘い香り。蜂蜜酒の独特の匂い。
ガウリイの顔は赤くもないし、あたしが彼のチキンの皿を狙っている事に目敏く気付いて牽制してくる。――だけど、彼は絶対に酔っている。酔っているったら酔っている!
「あたしは騙されないんだからね! 貴方、絶対今夜の事明日になったらすっかり忘れてるに決まってるんだから」
腕を組んで睨んでやったら、彼はぱちくりと目を瞬かせて、それからまた、今度はさっきよりも甘ったるい顔で笑った。
「ははあ、さては照れてるなリナ。可愛いやつめ」
「そういう事じゃないっ!!」
あたしの全力のツッコミを受け流して、彼は朗らかに言う。
「はっはっは。スープ冷めるぞリナ」
「んんぐぐぅ……」
真っ赤になって呻くあたしをよそに、彼は飄々とあたしのポテトサラダの皿に手を伸ばした。――そうはさせるかっ!
間一髪で彼のフォークをあたしのそれで制した所で、ガウリイは楽し気に口笛なんぞ吹いて見せる。
「ああ、やっぱり可愛いなあ。リナは」
「っ!」
こいつは絶対酔っている。絶対に絶対に酔っている。だから腹立たしくて仕方がない。
――あんた、一体何回「可愛い」って言うのよ!?
聞いてるこっちが恥ずかしい台詞をこんなに並べておいて、明日はどうせ全部忘れているのだ、この自称保護者様は。明日の朝、一人でこの恥ずかしさを思い出して悶えなけらばならないなんて、不公平にも程がある。そう思ったら、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
「この馬鹿っ、くらげっ、能天気っ! それから、えーと……説教が長いっ、甘々自称保護者、ピーマンくらい残さず食べらさいよっ! とーぞくいぢめくらいゆるしらさいっ!」
「いきなり悪口ばっかり酷くないか……て、あれ? お前さん、大丈夫か? 呂律が……」
どうせ忘れてしまうなら、今のうちに言いたいことを言ってしまえ。
「あらしはいつれもいちばんかわいいってぇーのよ、ばか」
診断メーカーお題「日のお前は一段と可愛いな」
短いよ!
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――あたしの連れは酒に強い。いや、強いのではなくて、酔っているのが頗る分かり辛いのだ。意識はハッキリしつつも呂律が怪しくなってしまうあたしとは違って、ガウリイはかなりしっかりしている。むしろ、普段よりしっかりしているようにさえ見える。そうして強い酒をぱかぱか煽って。……けれど。彼はすっぱり忘れてしまうのだ。飲んでいる時の出来事も、会話の内容も。
「……酔ってるわね、ガウリイ」
だから、今彼が言い放った歯の浮くような台詞だって。どうせ、忘れてしまうに決まっている。
「んん? 全然酔ってないって。ほら」
ぱたぱたと手を振って見せながら、自称保護者は上機嫌に笑う。その手のゴブレットに注がれた蜂蜜酒はもう五杯目だ。ちびちびと一杯目を舐めるように飲んでいるあたしと違って、彼の飲むペースは速い。空気中にふわふわと漂う甘い香り。蜂蜜酒の独特の匂い。
ガウリイの顔は赤くもないし、あたしが彼のチキンの皿を狙っている事に目敏く気付いて牽制してくる。――だけど、彼は絶対に酔っている。酔っているったら酔っている!
「あたしは騙されないんだからね! 貴方、絶対今夜の事明日になったらすっかり忘れてるに決まってるんだから」
腕を組んで睨んでやったら、彼はぱちくりと目を瞬かせて、それからまた、今度はさっきよりも甘ったるい顔で笑った。
「ははあ、さては照れてるなリナ。可愛いやつめ」
「そういう事じゃないっ!!」
あたしの全力のツッコミを受け流して、彼は朗らかに言う。
「はっはっは。スープ冷めるぞリナ」
「んんぐぐぅ……」
真っ赤になって呻くあたしをよそに、彼は飄々とあたしのポテトサラダの皿に手を伸ばした。――そうはさせるかっ!
間一髪で彼のフォークをあたしのそれで制した所で、ガウリイは楽し気に口笛なんぞ吹いて見せる。
「ああ、やっぱり可愛いなあ。リナは」
「っ!」
こいつは絶対酔っている。絶対に絶対に酔っている。だから腹立たしくて仕方がない。
――あんた、一体何回「可愛い」って言うのよ!?
聞いてるこっちが恥ずかしい台詞をこんなに並べておいて、明日はどうせ全部忘れているのだ、この自称保護者様は。明日の朝、一人でこの恥ずかしさを思い出して悶えなけらばならないなんて、不公平にも程がある。そう思ったら、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
「この馬鹿っ、くらげっ、能天気っ! それから、えーと……説教が長いっ、甘々自称保護者、ピーマンくらい残さず食べらさいよっ! とーぞくいぢめくらいゆるしらさいっ!」
「いきなり悪口ばっかり酷くないか……て、あれ? お前さん、大丈夫か? 呂律が……」
どうせ忘れてしまうなら、今のうちに言いたいことを言ってしまえ。
「あらしはいつれもいちばんかわいいってぇーのよ、ばか」