よく、会社の職場の朝礼で
課員が順番に1分間程度(実際は1分間もない・・・)
のスピーチを行う会社があると思います。
ネタが無いときなんかは、
「最近は朝寒いので、道路が凍結しています、
皆さん車の運転は十分気をつけましょう!」
というスピーチが続いたりするわけだ。
聞く方としては、
(ヘイ、ヘイ、おたくネタ無しね・・・)
と思ったりするものだが、
そんな平和な朝礼が終了した頃、
内線電話が鳴った。
開発部長からである。
「うちの部のSから連絡があり、出勤時に事故起こした!」
「そうですか、本人のお体は大丈夫ですか?」
(正直言って慣れたモンである)
「ああ、体の方は全然大丈夫とのことだ。」
オイラは ホッとした。
実は、このホッには二つの意味がある。
1つは、素直に体なんともなくて良かったね、である。
もう1つは、
ふ~、労災申請の手続きしなくて良かった、である。
人事や総務のご担当者なら、
同様の思いをするのではなかろうか?
正確には、通勤途上の災害を通勤災害と呼ぶ。
通勤時の社員の負傷に伴う治療費等は、
健康保険の対象外である。
業務上災害である労災と同じように
通勤災害の療養の給付から出ることになり、
この申請をするには、
通常、総務の担当者が
所定の申請書に、本人から聞いた負傷状況等を記入し、
代表者印を押して、治療する病院へ提出しなければならないのだ。
さらに、休業4日以上になれば、
また違う書類を作成せねばならず、
それを労働基準監督署に提出することとなる。
とにかく、大変邪魔くさい仕事が舞い込んでくるのだ。
だが、社員本人に怪我がない場合は、
基本的に会社はノータッチである。
本人の責任で自動車保険会社の力を借りて
事故処理をせねばならないのである。
そんなわけで、オイラは
少々気を緩みかけたんだが、
開発部長からの次の言葉に、少しだけ
嫌な胸騒ぎがしたのである。
「Sが衝突した相手はバスだ。」
オイラは午前中、特に急ぎの仕事もなかったので、
事故現場の場所を聞いたうえで、
現場へ向うこととした。
現場に着いたら驚いた。
警察車両が異様に多いのである。
それに救急車も3台来ている。
なんと、テレビ局や新聞社が4社も来ているではないか!
そして、相手のバスは、
バスはバスでも、スクールバスなのである。
「いかん!これは長引くぞ」
オイラは直感的にそう思った。
多くの野次馬の中から
Sさんを探した。
警察官と話をしているSさんを見つけた。
Sさんはオイラを見るなり
「すいません!すいません!」
を連発した。
かなり動揺している。
Sさんはオイラより10歳も年上であるが、
開発部一筋で、年がら年中図面なんか見ており
どちらかというと、
真面目で気の弱い人である。
独身だ。
現場検証が相当長くなり、
無残Sさんの車はレッカー車で運ばれていった。
Sさんが加入している保険会社の人もおり、
さすが場慣れしていて、
見事Sさんをフォローしている。
今本当に頼りになるのは
この保険会社の人であると思った。
保険会社の方がSさんに言った。
「相手はスクールバスです。幸い乗っていた学生さんで
怪我をした方はおられないもようです。
ただし、5人ばかりが念の為に
検査を受けるのに病院へ搬送されました。
残念ですが、この事故の責任割合は
ほぼSさんに10割あります。
今後の交渉をスムーズにするためにも、
誠意をみせねばなりません。
ただちに会社の方と菓子折りを持って
○○学校へお詫びに行って下さい。」
(なにー!)・・・オイラ
Sさんを見ると・・・
うるうる・・・(一緒にお願いします・・・・)
て感じなのだ。
「ええーい!しゃーないな!」
オイラとSさんは、○○学校へ
菓子折りを持って行った。
対応していただいたのは、
校長先生である。
とてもやさしそうな方だった。
そして校長先生がお話をされた。
「私どもは既に事故があったことと
一応病院で検査したことは親御さんに
先ほど電話にてお伝えしたところであります。
つきましては・・・
そちらからも、ぜひこの5名の親御さんへ
お詫びのお電話を入れてほしいのです。」
と5名の名前と電話番号が載ったリストを机に置いた。
(校長先生にはお子様をお預かりするという立場があるのだろう)
そして、校長先生は続けた
「実は・・・」
5名のリストの1番下に
書いてある1名に指を置いて
「この親御さんは少々問題があります。」
そう、今はやりの
モンスターペアレントなのであった。
・・・・
・・・・
Sさん!どうするよ!
(続く・・・)
【ヒゲ親父】
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のスピーチを行う会社があると思います。
ネタが無いときなんかは、
「最近は朝寒いので、道路が凍結しています、
皆さん車の運転は十分気をつけましょう!」
というスピーチが続いたりするわけだ。
聞く方としては、
(ヘイ、ヘイ、おたくネタ無しね・・・)
と思ったりするものだが、
そんな平和な朝礼が終了した頃、
内線電話が鳴った。
開発部長からである。
「うちの部のSから連絡があり、出勤時に事故起こした!」
「そうですか、本人のお体は大丈夫ですか?」
(正直言って慣れたモンである)
「ああ、体の方は全然大丈夫とのことだ。」
オイラは ホッとした。
実は、このホッには二つの意味がある。
1つは、素直に体なんともなくて良かったね、である。
もう1つは、
ふ~、労災申請の手続きしなくて良かった、である。
人事や総務のご担当者なら、
同様の思いをするのではなかろうか?
正確には、通勤途上の災害を通勤災害と呼ぶ。
通勤時の社員の負傷に伴う治療費等は、
健康保険の対象外である。
業務上災害である労災と同じように
通勤災害の療養の給付から出ることになり、
この申請をするには、
通常、総務の担当者が
所定の申請書に、本人から聞いた負傷状況等を記入し、
代表者印を押して、治療する病院へ提出しなければならないのだ。
さらに、休業4日以上になれば、
また違う書類を作成せねばならず、
それを労働基準監督署に提出することとなる。
とにかく、大変邪魔くさい仕事が舞い込んでくるのだ。
だが、社員本人に怪我がない場合は、
基本的に会社はノータッチである。
本人の責任で自動車保険会社の力を借りて
事故処理をせねばならないのである。
そんなわけで、オイラは
少々気を緩みかけたんだが、
開発部長からの次の言葉に、少しだけ
嫌な胸騒ぎがしたのである。
「Sが衝突した相手はバスだ。」
オイラは午前中、特に急ぎの仕事もなかったので、
事故現場の場所を聞いたうえで、
現場へ向うこととした。
現場に着いたら驚いた。
警察車両が異様に多いのである。
それに救急車も3台来ている。
なんと、テレビ局や新聞社が4社も来ているではないか!
そして、相手のバスは、
バスはバスでも、スクールバスなのである。
「いかん!これは長引くぞ」
オイラは直感的にそう思った。
多くの野次馬の中から
Sさんを探した。
警察官と話をしているSさんを見つけた。
Sさんはオイラを見るなり
「すいません!すいません!」
を連発した。
かなり動揺している。
Sさんはオイラより10歳も年上であるが、
開発部一筋で、年がら年中図面なんか見ており
どちらかというと、
真面目で気の弱い人である。
独身だ。
現場検証が相当長くなり、
無残Sさんの車はレッカー車で運ばれていった。
Sさんが加入している保険会社の人もおり、
さすが場慣れしていて、
見事Sさんをフォローしている。
今本当に頼りになるのは
この保険会社の人であると思った。
保険会社の方がSさんに言った。
「相手はスクールバスです。幸い乗っていた学生さんで
怪我をした方はおられないもようです。
ただし、5人ばかりが念の為に
検査を受けるのに病院へ搬送されました。
残念ですが、この事故の責任割合は
ほぼSさんに10割あります。
今後の交渉をスムーズにするためにも、
誠意をみせねばなりません。
ただちに会社の方と菓子折りを持って
○○学校へお詫びに行って下さい。」
(なにー!)・・・オイラ
Sさんを見ると・・・
うるうる・・・(一緒にお願いします・・・・)
て感じなのだ。
「ええーい!しゃーないな!」
オイラとSさんは、○○学校へ
菓子折りを持って行った。
対応していただいたのは、
校長先生である。
とてもやさしそうな方だった。
そして校長先生がお話をされた。
「私どもは既に事故があったことと
一応病院で検査したことは親御さんに
先ほど電話にてお伝えしたところであります。
つきましては・・・
そちらからも、ぜひこの5名の親御さんへ
お詫びのお電話を入れてほしいのです。」
と5名の名前と電話番号が載ったリストを机に置いた。
(校長先生にはお子様をお預かりするという立場があるのだろう)
そして、校長先生は続けた
「実は・・・」
5名のリストの1番下に
書いてある1名に指を置いて
「この親御さんは少々問題があります。」
そう、今はやりの
モンスターペアレントなのであった。
・・・・
・・・・
Sさん!どうするよ!
(続く・・・)
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