「戸籍をさかのぼって調べてみたい」
そう、弟が言い出したのは、昨夜のことだった。
亡くなった父が、まだ幼かった頃、姿を消した......
その兄の名前を知りたいと。
昨夜、エスパー弟を招いてゴンザが腕をふるったのは、
何度もゆでこぼして下ごしらえをしたというモツを使ってのモツ鍋。
何かの運動に関わり、追われる身だったという、その父の兄については、
父とはとても歳が離れていたこと、
とても頭がいい人だったという話ぐらいしか我々は知らず。
そのほかについては、4人いる父の姉たちも、多くを語らないのでわからない。
ただ、その消息については、
どこかに亡命したとも、
また、実の父親である祖父が殺して埋めたのだとも噂されており。
特に、同居時代に祖父が毎夜うなされるのを聞いた母などは、
「あの爺さんが殺したんだ」と、今だに言っては皮肉な笑いを洩らす。
そして、頭のおかしい祖父の血を濃く受け継いだ、父の姉の一人は、
最近になって、突如、弟に
『政治には関わるな』と意味のわからない手紙をよこし.....
彼が戸籍をさかのぼって調べたいと思ったのも、
そんなことからなのかもしれない。
......名前すら知らない、その伯父のことを。
そして、上等なお肉を使ったステーキ。
父は、戸籍の上で、長男だった。
兄がいるのだから、本当は二男のはずなのに、
.......その人は、戸籍から抹消されたのだろうか。
書類上のことや、そのほか細かいことは、詳しくないからわからないが、
どうしてそうなったのか。
また、その伯父が何に追われていたのかも、
その時代の背景がわからないので、なんともいえない。
ただ.....
私と妹には、どうしても気になって仕方のないことがあるのは確かだ。
父の長姉が、どうしてあれほどあの家と土地を欲しがったのか......。
『長男』である父から奪うようにして、
祖父から見れば、まるで他人の、
彼女の三人目の夫である男を養子縁組までして、
あの家が欲しかったのは.......
あの庭に、『秘密』が眠っているからではないのか、と。
私の陰惨な想像とは裏腹に。
青空の下では梅の花が咲いてます。
「仮説だけどさ」
たちの悪い笑いを浮かべながら、私はそれを作り上げる。
「あの庭に秘密が埋まっているなら、
そしてあの長姉と夫が一枚噛んでいるなら......
符号は一致する」と。
爺さんは足が悪く、自分じゃそうそう自由に動けなかったから、
誰かの助けを必要としただろうし、
朝から晩まで酒浸りの生活、及び悪夢は、自責の念ゆえか?と。
........と。
その瞬間、妹ははじかれたようにこう言った。
「.......あっ!?そういえば私たちが出て行ったあと、
お隣に住んでた同級生が、会ったとき言ってた!
『あなたたちが出ていったあと、引っ越してきたおばさんは、
朝から晩まで庭で何かをやっている』って......」
私はにやりと笑う。
あの長姉が祖父から継いだのは......
そこに眠っていたのは、
『秘密』ではなかったか。
乳飲み子である孫(私)めがけて猟銃をぶっ放す男なら、
大人に対しても殺意を持つのは容易だったろう。
......と、さらに陰惨なことを言う私は、こんな小さな花が好き(笑)
父が亡くなり、彼の希望であった祖父の分骨を、その家に願いに行ったとき。
長姉の夫は言った。
「勝手に墓を開けて持って行けばいい。
俺たちだってよく、自分たちで開けて、中の掃除をしているんだから」
その意見は、そのときは
「それは法律で禁じられているのを知らないのか!?」
という私の一言で却下されたが。
あのとき墓を開けてみたら......
何かがわかったかもしれない。
はたして彼らが、墓を開けて、何をしていたのか......。
たちの悪い想像ではあるが。
遺産とは、
何も金のことだけを言うのでもないだろう。
そして、そんな陰惨な頭を持つ姉が弟に持たせたのは(笑)
セブンイレブンで発売中のエクレア。
これ、すごく美味しいよ~♪
えぇ~すごい、そうかも、そだよなぁ~。
そうなってくると辻褄が合うな・・・。
なんて、推理小説の世界のような話なのに・・・。
美味しそうなお料理が、チョコチョコ顔出して、 凄惨な話が、こんがらがってきたよ~。
最後のエクレアには、もう参った。
買いに行こう
自分で考えておきながら、私も「結構すごい話だなぁ」と(笑)
でも、最初にこの仮説をたてたとき、次々と辻褄が合っていくのに、「おおっ!」っと、自分で驚いたのも確かです。
セブンイレブンのエクレア。
召し上がられたでしょうか。
○○シェフのエクレアと書いてあったので、期間限定かもしれませんが、上にかかっているチョコがサクサク歯触りがよくって、中のクリームも甘すぎなくって、かなりのお気に入りでした♪
...あっ、私もまた食べたくなってきちゃったな~(笑)
事実は小説より奇なりともいいますものね。
実は私も去年の夏に祖父について始めて知った事実があり仰天した次第です。
本家の仲のいい同級生の子とお茶をした時に家族に口止めされていたのを、知らないでいるより知っていた方がいいと思うからと、それこそ先祖からの戸籍の写しを全部持ってきて教えてくれたんですが、両親も知らないことで妹にも言えずしばらくもんもんとしておりました。
殺人とかそういったことではありませんが
真実は今となっては知る由もありません。
お庭の「秘密」は秘密裏に葬られていくのでしょうか~~~?
まだ、夜が暗くて、情報伝達手段も今よりずっと少ない時代。
意外に、どこの家庭にも、大きさや質は違えども『秘密』はあったのかもしれません。
時間が経って、初めて「実は...」と、明らかになることもあるでしょうし、誰かが興味を持って調べて、明らかになることも、中にはあるのでしょうね。
そして、ときには、実はみんな知っているのに、互いに家族を思って、それを口に出せず、それぞれが『知っている』ことを、知らないだけのことも...
そうやって、秘密は眠ってゆくのかもしれません。
あの庭には、今、父の長姉とその家族のための新しい家が建っていますが、もし、本当にあそこに『秘密』があったとしたなら。
その工事の前に、『秘密』はどこかに隠されたかもしれませんね。