大阪市教委のあまりにも貧困な発想!学力テストの点数(学校別正答率))を公開させ、競争を煽れば学力向上につながると考えているのでしょうか?大阪の子どもよ怒れ!私たちは勝ち負けで学ぶつもりはないと!
この問題は新たな地域差別、学校差別、ひいては子どもを差別することにもつながっていきます。また、教育行政が学校教育を良くすることに機能するのでばなく、学校や教員を縛り通達や命令により教育をむしろ破壊する傾向は最近特に顕著ですが、今回もその典型と言えます。
大阪市教育委員会に全国から抗議の声を!
大阪のIさんから
■10月8日の大阪市教育委員会議で、教育委員会が校長に対して全国学テの学校別正答率の公表を指示することを決定したようです。市教委は、学校運営の管理規則に「成績を速やかに公表する」と追加し、校長が公表を拒めば「処分の検討対象になる」(市教委)としました。まさに校長に対して「正答率公表」を恫喝によって強行させようとしているのです。こんなこと、全国のどこにもない、暴挙としか言いようがありません。
■そもそも、橋下市長は大阪市の学校選択制の導入と全国学テの公表はセットで考えていました。2012年3月には市議会で「保護者に(学校を選ぶために)学校ごとの必要な情報を提供するのは当然」と答弁し、「(学校別で成績を)公表すれば地域間格差が生じるというのは行政者側の言い分だ。制度設計はこれからだが、基本的に開示する」と発言していました。来年から始まる学校選択制に向けて、どうしても今年中に公開させようとしているのです。
学校選択制と全国学テ公表は、大阪市の教育を根底から変質させていく手段になるものです。大阪市の教育は、これまで以上に全国学テの成果を競うものとなり、保護者や子どもたちもそれに巻き込まれていきます。それは、さまざまな困難を抱えて学校に来ている子どもたちを地道に支えようとしてきた教育理念そのものをほり崩していきます。結果的に「全国学テ向上」尺度からみれば、毎日の生活に精一杯の子どもたち、学習の条件さえない子どもたちなど、様々な困難を持つ子どもたちを学校教育の枠組みから排除していくことになるのではないでしょうか。公教育の破壊そのものです。
■このような決定に際して、教育委員の全員が賛成したとのことです。このことも異常としか言いようがありません。長谷川教育委員長は、「違反者を罰する形にする必要はない」と規則改正に反対しつつも、最終的には「公表」には賛成しました。
6名の教育委員のうち、すでに3名は橋下市長の公募によって選ばれた人物です。1名は、以前から「つくる会」系教科書の共同事業者である日本教育再生機構の機関誌に何度も投稿している人物です。すでに大阪市教委は、橋下人脈で過半数が握られています。そのようなところだからこそ、今回のような全国的にも異例な指示を出したと言えます。市教委の異常さは、学校「選定」をさせない「附帯決議」を採択した今年の大阪市での高校採択にも現れました。
■10月15日、22日には、市教委が校長たちにこの「指示」の説明を行うとしています。それ以降、各学校では、「公開」に向けて議論がされます。是非とも、全国から今回の大阪市教委の決定に対して抗議と撤回を求める意見を送ってください。
抗議先
教育委員会総務部総務課 企画グループ
TEL 06-6208-9013 FAX 06-6202-7052
メールは「総務部総務課 企画グループ」の「メール送信フォーム」から
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/soshiki_list.html
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メディア報道
◇全国学力テストの開示を義務化…大阪市教委
(2013年10月8日17時37分 読売新聞)
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、大阪市教委は8日、市立小中学校に対し、自校の成績(平均正答率)の保護者らへの開示を義務付けることを決めた。
学校の運用について定めた「学校管理規則」を改正し、「平均正答率を含む調査結果を公表する」という一文を盛り込む。今年4月の全国学力テスト結果から対象にする方針。
同テストの学校別成績について、文部科学省は実施要領で各校長の判断での公開は認めているが、今回の決定は、市教委が全校開示を命じるものと言える。
市教委は「保護者に情報開示すべきだ」との橋下徹市長の意向を受け、昨年度のテスト結果については、学校別成績を各校長の判断で公開できるとする方針を示していた。しかし、実際に、成績を自校のホームページに掲載するなどして開示した小中学校は今年6月末時点で全429校のうち、19校にとどまっていた。
◇学力調査の成績公表、全校長に指示 大阪市教委が決定
朝日新聞 2013年10月8日19時56分
4月に小・中学校で実施した今年度の全国学力調査について、大阪市教委は8日、全校長に対して学校別の成績(平均正答率)をホームページなどで原則公表させることを正式に決めた。ただし小規模校は除外するなど、一定の配慮もみせた。文部科学省は「(公表を禁じた)実施要領の趣旨から逸脱する可能性がある」として、市教委に経緯などの確認を始めた。
学校運営の管理規則に「成績を速やかに公表する」と追加したため、校長が公表を拒めば「処分の検討対象になる」(市教委)。ただ特別支援学校や、調査に参加した小6、中3が1学級しかない小規模校約80校は「公表しないことができる」と配慮した。
文科省は今年度の都道府県別の平均正答率などを8月に公表。だが学校別の成績公表は、序列化や過度な競争につながるなどの懸念があるとして、教委に対して実施要領で禁じている。
市教委は、文科省が「学校が保護者への説明責任を果たすため、自校の結果を公表するのは各校の判断に委ねる」とした点に注目。橋下徹市長らが3月に作った教育振興基本計画で「市民に積極的に学校の情報を提供する」としたことを踏まえ、全校それぞれに公表させる方針を固めていた。
8日の教育委員の会議では、「教育成果の重要な情報であり、開かれた学校づくりのために公表すべきだ」との意見が大勢を占めた。公表には出席した委員全員が賛成したが、長谷川恵一教育委員長は「違反者を罰する形にする必要はない」と規則改正に反対した。市教委は15、22両日に校長への説明会を開き、公表の方針を伝える予定。
昨年度は学校の自主性を重んじ、「保護者らのつくる『学校協議会』の意見を踏まえ、校長が公表を判断する」とした。その結果、全小・中429校のうち、公表した学校は今年6月末で19校にとどまった。
橋下市長は8日、「一部弊害があるからといって、全部非公開という時代ではない。まず公開した上で、マイナスがあれば対処する」と述べた。
学校別の成績公表を巡っては、静岡県の川勝平太知事が先月、県内の上位86小学校の校長名を公表。佐賀県武雄市も、市長の意向を受けて市教委が学校別成績を公表した。文科省は首長らの要請を受け、学校別の成績公表を認めるべきか検討している。
■現場は「序列化」懸念
大阪市教委は、橋下徹市長が掲げた「学校選択制」を来春から12区の中学校などで始める。橋下氏は8日、学力データは「選択の一つの要素。保護者の選択権を奪う方がデメリットが多い」と述べた。
だが、学校間の成績の比較が過熱し、序列化や過度な競争が起きるのではないかという疑念は現場の校長にこそ強い。学力に課題を抱える小学校の元校長は「『あの地域は点数が低い』と見られたら、一番傷つくのは子どもだ」と話す。判断を校長に委ねた昨年度は、公表校は一部にとどまった。今回のトップダウンの決定は、現場の意向を踏まえたとは言い難い。
機械的に政策を押し付ければ、現場に不信感と混乱を生む。委員からは「学校の平均正答率に限らず、子どもの点数の分布がわかるデータも開示できないか」との意見も出たが、極めてデリケートな情報であり、乱暴な公表は許されない。
校長一人ひとりに特色ある学校づくりを求めるなら、市教委はまずは校長の不安を解消し、理解を得られるよう十分な説明責任を果たすべきだ。