口元チェック通知といい、教科書採択に関して現場への介入といい、大阪府教委中原教育長の教育委員会会議を無視した暴走ぶりは目にあまるものがあります。まるで大阪維新の会のエージェントのような行動ぶりです。これは現行の教育委員会制度を愚弄するもので、教育長としては明らかに越権行為です。
しかし、安倍政権教育再生実行会議が目指す方向は、まさにこの、中原教育長のような在り方なのです。つまり、首長の意向を受け、地方教育行政の責任者として個別具体的な事務を執行するわけです。
ただいま、パブリックコメントが求められている「今後の地方教育行政の在り方について」では、「新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性」」について2つの案(A案、B案)が示されています。どちらも問題ですが、A案はあまりにも露骨な政治主導の教育行政を生み出します。かりにこのような方向で実際に改革が行われるとなると、もはや教育は政治の侍女でしかなくってしまうでしょう。
具体に見ていくと、A案では、教育長は首長の補助機関、教育委員会は首長の附属機関と明確に規定されています。これなら、政治的に多数を取れば、教育政策は思いのままです。戦前戦中反省の上に築かれた戦後教育は根底から覆されてしまいます。
B案は現状に近いとは言え、「教育委員会は、教育長の事務執行について日常的な指示を行なわないこととする」とあります。つまり、「日常的な指示」を拡大解釈すれば、これも教育長の思いのままでできる道を拓きかねません。
今回、これらの内容を含む「審議経過報告」がパブリックコメントの対象です。〆切は11月5日と、あまり時間は残されていませんが、教科書採択の問題や口元チェック通知の問題をみれば、教育長に「責任と権限」を集中させることがいかに危険であるかははっきりしています。ぜひとも全国からパブリックコメントを出しましょう。
◆パブコメ窓口は下記
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000660&Mode=0
意見公募要領(提出先を含む)、命令等の案
関連資料、その他
◆下記に要領と【概要】を貼り付けます。
パブコメ募集要領
今後の地方教育行政の在り方について(審議経過報告)【概要】