8月大阪府教育委員会では、事務局中原教育長の暴走を巡って他の育委員から批判・批難の声が続出しました。事務局の越権行為ともいえる中原教育長の暴走をなんとしても食い止めなければ、大阪の教育は維新の思うがままに変容されていく恐れがあります。(T)
8月教育委員会会議は大荒れ!
8月30日、実教出版「日本史」教科書採択を巡って大阪府教育委員会会議は荒れに荒れました。5月定例教育委員会会議(HPで会議録公開中)で中原教育長は、「教育委員会が行う採択とは、教科書の中身の話ではなく、ルールが守られているかをチェックする最小限の仕事」、「採択は確認作業に近く、学校で責任を持ってやっていただくこととなる」とはっきりと言い切っていました。つまり、中原教育長は教科書選定は学校(校長)の仕事と明言していたわけです。ところが、中原教育長は8月教育委員会会議では態度を一変、「採択権限は府教委にある」と教委主導の採択を迫りました。他の教育委員が、既に5月会議で決定済みの教科書採択の件をなぜ蒸し返すのかと不快感を示したのは当然です。
中原教育長が豹変した理由は?
中原教育長の豹変の理由が、27日の維新府議団からの「実教『日本史』は不適切」との申し入れにあることは明らかです。あまりにもあからさまな政治介入に他の教育委員が難色を示す中2時間近く討議は続きました。結局、一種の妥協案とも言える実教「日本史」条件付き採択という形で大阪府教育委員会会議は結論を出しました。
大阪維新の会は、なぜ、実教出版「日本史」を使わせたくないのか?
実教出版「日本史」教科書には、国旗・国歌法の注として「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」との記載があります。この事実を、大阪維新の会は「不適切」と申し入れを行ったのです。
2011年6月、大阪維新の会は府議会に「君が代」強制条例を提案し、他の四会派が反対を押し切り、わずか数時間の審議で単独採決を強行しました。これは、府民による充分な議論や合意があったとはいえない状況での、数の威力に任せての暴挙であり、議会制民主主義の内実が問われる事態と言えます。条例制定後、大阪府では教員の大量処分がおこなわれました。
教育への政治介入は許せない!
つまり、大阪維新の会は、この「不都合な事実」を高校生の目から隠したかったのです。この夏話題となった松江市教委の「はだしのゲン」閲覧制限とまさに同じです。
中原教育長は条件付き採択となった府立高校9校に強制力をもって指導すると明言していますが、これは、維新が主導するところの政治介入の一翼を担うことを明言したも同じです。教育への政治介入を許せば、「不都合な事実」は覆い隠されることとなり、歴史の神髄とも言える健全な批判精神の育成が阻害されることになります。戦中の教育は権力を持つものが教育を支配して来ました。その延長上に戦争が起こったと言っても過言ではありません。だからこそ、戦後、教育への政治介入は深く戒められて来たのです。私たちは、いま、教育委員会事務局の暴走を食い止めるために、多くの市民と情報を共有し、教育の政介入にNO!を突きつけることが必要なのではないでしょうか。