「日の丸・君が代」強制、「日の丸・君が代」不起立処分、そして「日の丸・君が代」転向強制研修を3点セットにした東京都教育委員会による権力的行為が、人間の尊厳を奪い、「思想・信条・良心・教育の自由」を全面的に破壊し、「都教委という権力の命令・行為にひとりの不服従者も許さない」という暴挙に対し心からの怒りを覚えるものである。
私たちは、東京都教育委員会に対し、一刻も早く、これまでの「日の丸・君が代」強制、「日の丸・君が代」不起立処分、そして「日の丸・君が代」転向強制研修を全面的に反省し、当事者に対する謝罪とともに、「日の丸・君が代」強制・処分・研修を中止することを求めるものである。
(5)2014年4月、勤務する東京都立板橋特別支援学校の入学式で「君が代」不起立をした田中聡史さんは、7月の「センター研修」の最後に、「今後は二度と服務事故(不起立のこと)をおこさない」というチェック項目があったが、それはできないと断った。わたしの「君が代」不起立は、思想・良心の自由、教育の自由に基づいて行ったものなので、服務事故に問われるようなものではないと確信している」と「研修」後に語っている。
私たちは、ここに改めて、東京都の教員である田中聡史さんや井黒豊さんたちが、人間の尊厳を否定し、憲法違反である東京都教育委員会による「転向強制研修」に対し毅然として対処し、怯むことなく、屈することなく、諦めることなく、人間としての尊厳を掛けた抵抗を続けていることに心から連帯し、敬意を表するものである。私たちは、このような都教委による暴挙が、いつの日か必ず歴史に裁かれることを確信している。
(6)なお、再発防止研修に関しては、2004年7月、不起立・不伴奏者対象に初めて再発防止研修が行われる直前の執行停止申立に対して東京地裁・須藤裁判官は、7月23日、本件研修が未実施であることから現段階では却下と決定したものの、実際に実施される研修が「例えば、研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性があるといわなければならない」として、やり方によっては「違憲・違法」の問題が生ずることを指摘していたことを改めて確認しなければならない。