渡部さんから憲法について、こんな情報提供がありました。
昨日(10月25日)安倍政権は、
<平成の治安維持法>とも呼ばれる
・「国家安全保障会議(NSC)法案」
・「特定秘密保護法案」
を衆議院に提出ししました。
12月6日までの今国会期内の成立を目指すとしています。
日本社会の戦前回帰はここまできつつあります。
しかし、戦前の天皇制ファシズム体制は結局のところ破綻しました。
別の面から見れば、ファシズムはその体制の最後のあがきとも言えます。
本日(10月26日)インターネットで『愛国者の邪論』というブログを見ていると、戦後直後の「日本共産党憲法草案」というのが紹介されていました。
大変勉強になりましたので、何かの参考になればと思い、以下に貼り付けます。
この案はもちろん日の目をみることはなかったのですが、
私たちはここれを参考、あるいは土台にして、
新たな「日本再生」を考えることができるのではないでしょうか。
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1 日本共産党の新憲法の骨子(一九四五年十一月十日決定)
一、主権は人民にある。
二、民主議会は主権を管理する。民主議会は十八才以上の男女の選挙権、被選挙権の基礎に立つ。
民主議会は政府を構成する人々を選挙する。
三、政府は民主議会に責任を負ぶ。議会の決定を遂行しないか、又は其の遂行が不充分であるか、
或は曲げた場合、其他不正の行為あるものに対しては即時やめさせる。
四、民主議会の議員は人民に責任を負ふ。選挙者に対して報告をなさず其他不誠実、不正の行為ありたる者は即時やめさせる。
五、人民は政治的、経済的、社会的に自由であり、且つ議会及び政府を監視し批判する自由を確保する。
六、人民の生活権、労働権、教育される権利を具体的設備を以て保障す。
七、階級的並に民族的差別の根本的撤廃。
〈「赤旗」 一九四五年十一月二十二日付〉
2.新憲法草案の発表に際して一九四六年六月二十九日
日本共産党中央委貝会憲法委貝会
一、わが党はここに新憲法草案を発表し全人民大衆の広汎な討議にゆだねる。わが党の望むところは、大衆的な民主主義的討議によって民主主義日本建設の指標としての新憲法草案を完成し、人民の手による真の民主憲法のために全人民とともに奮闘することである。
ニ、天皇制政府の無条件降伏によるポツダム宣言の受諾によって、日本人民は思想と言論の自由および自由に表明された意思によって自己の政体を決定する権利を保証された。わが党は公然と活動をはじめて以来、人民を奴隷的圧制のもとに呻吟させた根源は、天皇制・寄生的大土地所有制・労働者の植民地的搾取にあることを立証して、欽定憲法の露骨な反動性と政府の天皇制憲法案の非民主性を指摘した。わが党の草案は断じて主権在君憲法案または似而非主権在民憲法ではなく、真の人民の民主的憲法として人民共和政体を内容としている。人民の権利も客観的に可能な範囲内でできるだけ具体的に保証することに留意した。
三、わが党は行動綱領および本憲法草案の示すように、一切の封建的、特権的身分制度に反対し、この廃止を目標の一つとしている。従って特権的身分制度としての皇室は当然廃止さるべきであるが、人民共和政府が実現し人民大衆の民主的教育が徹底したのち、この問題を人民投票に問うて決定する方針であることはわが党がかねて声明したとおりである。
四、本憲法草案は政治、経済における封建的遺制の撤廃にもとづく民主主義革命の実現を内容としている。社会主義社会を通じての共産主義社会においてこそ一切の搾取制度が根絶され、能力に応じて働き、必要に応じて分配され、人類最高の目標が到達されるものであるが、それは民主主義の徹底を通じてのみ実現されるものである。原則として憲法とは単なる綱領ではなく到達された社会的、政治的発展の法制化である。しかしブルジョア民主主義革命の端緒にたつ当面の日本では目前の現実の法制化ではなんらの進歩的意義ももちえず、かえって民主主義の徹底を阻害する。少くともブルジョア民主主義革命の実現を内容とするものこそ民主主義憲法といいうる最小限度のものである。その意味で本案はわが党の最小限憲法綱領の具体化である。さらにそれは現実にブルジョア民主主義革命の課題が達成された後には、現実の具体的条件と到達した民主主義的諸成果を基礎として、さらによりよき完成を期待しうるであろう。
〈「アカハタ」 一九四六年七月八日付。『前衛』 一九四六年七月一日号(第八号)〉
3.日本共産党憲法草案(一九四六年六月二十八日決定)
前 文
天皇制支配体制によってもたらされたものは、無謀な帝国主義侵略戦争、人類の生命と財産の大規模な破壊、人民大衆の悲惨にみちた窮乏と飢餓とであった。
この天皇制は欽定憲法によって法制化されていたように、天皇が絶対権力を握り人民の権利を徹底的に剥奪した。それは特権身分である天皇を頂点として、軍閥と官僚によって武装され、資本家地主のための搾取と抑圧の体制として勤労人民に君臨し、政治的には奴隷的無権利状態を、経済的には植民地的に低い生活水準を、文化的には蒙昧と偏見、迷信と盲従とを強制し、無限の苦痛をあたえてきた。これに反対する人民の声は、死と牢獄とをもって威嚇され、弾圧された。この専制的政治制度は日本民族の自由と福祉とに決定的に相反する。同時にそれは近隣植民地・半植民地諸国の解放にたいする最大の障害であった。
われらは苦難の現実を通じて、このような汚辱と苦痛にみちた専制政治を廃棄し、人民に主権をおく民主主義的制度を建設することが急務であると確信する。この方向こそかつて天皇制の下にひとしく呻吟してきた日本の人民と近隣諸国の人民との相互の自由と繁栄にもとづく友愛を決定的に強めるものである。
ここにわれらは、人民の間から選ばれた代表を通じて、人民のための政治が行われるところの人民共和政体の採択を宣言し、この憲法を決定するものである。天皇制はそれがどんな形をとろうとも、人民の民主主義体制とは絶対に相容れない。天皇制の廃止、寄生地主的土地所有制の廃絶と財閥的独占資本の解体、基本的人権の確立、人民の政治的自由の保障と人民の経済的福祉の擁護―これらに基調をおく本憲法こそ、日本人民の民主主義的発展と幸福の真の保障となるものである。
日本人民の圧倒的多数をしめる勤労人民大衆を基盤とするこの人民的民主主義体制だけが帝国主義者のくわだてる専制抑圧政治の復活と侵略戦争への野望とを防止し、人民の窮極的解放への道を確実にする。それは人民の民主的祖国としての日本の独立を完成させ、われらの国は国際社会に名誉ある当然の位置を占めるであろう。日本人民はこの憲法に導かれつつ、政治的恐怖と経済的窮乏と文化的貧困からの完全な解放をめざし、全世界の民主主義的な平和愛好国家との恒久の親睦をかため、世界の平和、人類の無限の向上のために、高邁な正義と人道を守りぬくことを誓うものである。
第一章 日本人民共和国
第一条 日本国は人民共和制国家である。
第二条 日本人民共和国の主権は人民にある。主権は憲法に則って行使される。
第三条 日本人民共和国の政治は人民の自由な意思にもとづいて選出される議会を基礎として運営される。
第四条 日本人民共和国の経済は封建的寄生的土地所有制の廃止、財閥的独占資本の解体、重要企業ならびに金融機関の人民共和政府による民主主義的規制にもとづき、人民生活の安定と向上とを目的として運営される。
第五条 日本人民共和国はすべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない。
第二章 人民の基本的権利と義務(略)
第三章 国会(略)
第四章 政府(略)
第五章 国家財政(略)
第六章 地方制度(略)
第七章 司法(略)
第八章 公務員(略)
第九章 憲法改正(略)
4.日本共産党の憲法修正案の要点
〔編者注〕一九四六年七月二十五日、憲法改正案委員小委員会に提出された修正案の要点。
▽前文 「主権在民」を明記
▽第一章 天皇 全文削除
▽第二章 戦争の拠棄 「他国征服の戦争に反対する」及び「他国間の戦争に絶対に参加しない」むねを明記
▽第三章 国民の権利及び義務 「国民の自由と権利は物質的に保障される」むねを明記する、すなはち(イ)集会、結社、言論、出版の自由(ロ)資力なき青年が高等教育を受ける権利(ハ)勤労の権利と失業者が保護を受ける権利(ニ)休息の権利(ホ)勤労婦人の特殊保護(へ)寡婦の保護(ト)老年、疾病者、労働災害者の保護(チ)住宅の保障等を明記私有財産の補償規定については「公共の必要あるときは補償しないこともある」ことを明記、耕作権の保障、陪審制、冤罪者にたいする補償も明記
▽第四章 国会 参議院の規定を削除し一院制とする、また比例代表制をとり、人民の罷免権を規定する
▽第十一章 補則第九十七条の生存中の華族貴族を認める規定を削除
▽第百条に「国務大臣、衆議院議員、裁判官その他の公務員はこの憲法執行のためその地位を失ふ」ことを規定する
〈「アカハタ」 一九四六年八月二十七日付〉