6月9日(月)
13:10~ 辻谷事案口頭弁論(大阪地裁809号法廷)
13:30~14:30辻谷事案裁判集会(労働者弁護団事務所)
14:30~15:30奥野事案裁判集会( 同上 )
16:00~ 奥野事案口頭弁論(大阪地裁809号法廷)
さて、明日6月9日、第2回口頭弁論が開かれます。この日は、同じく減給処分取消を訴えている奥野康孝さんの法廷も開催されます。それで、奥野さんと相談し、裁判集会は共同で開催することとしました。
条例施行後、府立学校教員で「君が代」不起立で減給処分を受けたのは、私と奥野さんの2人だけです。今春の卒業式「君が代」不起立被処分者のなかには、2度目の「不起立」の教員が2名いました。しかし、私や奥野さんとは違い、いずれも戒告処分でした。これは、差し止め訴訟が提起されたことも大きな要因ですが、府教委がこれ以上、減給処分を出し、提訴されることを嫌ったためではないかと考えています。
2012年1月16日、最高裁第一小法廷は、「君が代」処分取消について、分断判決を出しました。同じ不起立行為の処分に関して、河原井純子さんの停職一カ月は裁量権の濫用と取消を認め、根津公子さんの停職三か月は、裁量権の濫用とまでは言えないとして取消を認めませんでした。そして、不起立行為は、歴史観・世界観に由来する行為であることを認め、いわゆる累積加重処分による減給・停職処分を戒めました。
このとき、大阪維新の会は、既に「君が代」不起立免職条例案を公表していたのですが、大阪府松井知事は、報道陣の取材に応じて「不起立で免職を定める規定については考え直す必要がある」と答えましたが、橋下市長は、譲らず「機械的に、処分を加重しなければいいんでしょ」と答え、結局、数か月後、維新の会の原案通り同一職務命令に3度違反すれば免職、つまり3度の不起立でクビと規定した職員基本条例を制定施行させました。
このことから考えれば、教育委員会は、累積加重処分では、法的争いに勝ち目がないことは十分に認識しているはずです。しかし、橋下市長の言うところの「機械的な処分ではない」ことにする為の処分後の過剰な研修を大阪府教委は実施していません。「機械的な処分ではない」」という為には、処分後、量・質とも過剰な研修を実施し、それでも(不起立を)繰り返したと言うような、いわばアリバイ的な研修を課す必要があるわけですが、大阪府教委の研修は良くも悪くも短時間のお粗末なものでしかありません。
にもかかわらず、府教委は昨年の卒業式、2度目の不起立行為で、私と奥野さんに減給処分を下しました。その時点で累積加重100%処分です。私たち2名は2名とも訴訟を起こしました。
アリバイなしで減給処分を下した府教委は、法廷で、それが、最高裁が戒めた累積加重処分ではなく、減給処分を出すに相当する「過去の非違行為による懲戒処分等の処分歴や不起立行為の前後における態度等に鑑み、学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎づける具体的な事情が認められる場合」であったことを主張し、それを裁判官に認定させるために血みどろの苦闘をしかけてくることが予想されます。
つまり、最高裁のダブルスタンダード―市民の多くの声を考慮して、累積加重処分による減給・停職には、待ったをかけながら、一方では、「君が代」装置つまり「君が代」を使って学校の規律や秩序の保持等の必要性のためには「戒告⇒減給」処分というウルトラショブンも確保しておく―大阪地裁でもそれが踏襲される可能性があります。
そうさせないためには、本裁判に多くの方に注目していただき、条例により有無を言わさず「君が代」起立・斉唱を強制し、処分されたくなければ面従腹背で従えというような遣り方が果たして大阪の教育で許されるのかどうか、ともに声を発していただきたいと思います。それが裁判所にも必ずや影響を与えると信じます。そのためにもぜひ傍聴支援をよろしくお願いします。(原告:辻谷博子)