不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il Bosco di San Francesco

2010-06-01 19:30:43 | アート・文化

アッシジのサン・フランチェスコ寺院の裏手に広がる
約60ヘクタールの森。

ほとんど人の手が加えられていない自然の森が
中部イタリアにはあちこちに残っていますが、
聖人の名前がつけられたこの森もそのひとつ。

現在この森の所有はFAI(イタリア環境基金)に移されています。
FAIがこの森全体を買い取って本格的に整備を開始しました。

イタリアは芸術作品としての絵画や彫刻、遺跡のほかに
こうして残されている広大な自然遺産も豊富で
ずっと昔から
こうした風景・自然こそ大切に後世に伝えていこう
という考え方はイタリア人の中にありますが、
ここ数年で事業としても確立されつつあります。

800年の歴史を持つ60ヘクタールの聖フランチェスコの森も
守るべき貴重な自然がたくさんあふれています。

サン・フランチェスコ寺院の広場にある小さな扉を抜けると
その先には小道が続いていて緑深い森へ導いてくれます。
森の中には小川が緩やかに蛇行して流れ、
谷底には12世紀に建築された
小さなサンタ・クローチェ教会が残されています。
この教会にはキリストの姿のない十字架像の
フレスコ画が残されていて
キリスト教徒も含め
すべての宗教の信仰の場所としても知られています。
1300年代のものとされるPonte dei Galliは
Carlo Magno(シャルル・マーニュ)が通った
という伝説も残されています。
前世紀まで利用されていたという
水車小屋などもそのまま残されています。

聖フランチェスコが「我が回廊」と呼んでいた森は
まさに散策と瞑想のための場所。

FAIはオリジナルに忠実にこの森の自然の再現整備と
点在する建物群の修復を開始しています。

この整備が完了次第、
2011年5月には一般公開の予定となっています。

私は聖フランチェスコゆかりの地といえば
個人的にはアッシジよりも
La Vernaのほうが神聖な感じがして好きなのですが、
このアッシジの聖フランチェスコの森が整備されたら
是非行ってみたいな。