不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Le icone piu' antiche dei Santi

2010-06-29 19:19:06 | アート・文化

本日6月29日は聖パオロの日で
聖パオロを守護聖人とするローマは祝日。

そんなローマで先日、
2年間にわたり続けられてきたレーザーを使用する調査で
最古といわれる4聖人のイコンが確認されました。
その4人とは聖パオロ、聖ピエトロ、聖ジョバンニ、聖アンドレア。
調査が進められていたのは
サンタ・テクラのカタコンベ(Catacomne di Santa Tecla)の中。
ローマにはいくつものカタコンベが残っていますが、
このサンタ・テクラのカタコンベは
4世紀後半に作られたものといわれています。

このカタコンベの中は湿度が93%、
内気温は通年13-14度で保たれていることから
フレスコ画の保存状態はかなり良いそうですが、
それでも長年にわたる石灰侵食で
絵画の表面は白く覆われてしまっています。
これを人間の手作業で剥がすのは、
たとえ熟練の修復士の腕であっても
かなり難しいといわれています。
そこで登場したのがレーザー探査機。
このレーザー照射によって、多色絵画が浮き彫りになりました。

今回注目されているのはカタコンベの中でも
キリスト教迫害に遭っていた家族の墓地で
この一家の母親が娘とともに描かれ、
また当時の迫害政策の中にあって
一大決心をして
キリスト使徒の偶像を描かせているという点も
注目の理由の一つ。

特に4人の聖人のうち、
アンドレアとジョヴァンニについてはこれまで確認されている
彼らの偶像の中でも最古のものであることが
専門家の研究によって確定されました。
パオロは古文書などの記述に忠実な
ごつい漁師風の趣で描かれ
ピエトロは立派な髭をたくわえています。

4世紀の終わり、この偶像群が描かれた当時、
初期キリスト教神学者として知られる
Agostino(聖アゴスティーノ)は
Le Confessioni(告白)を書き上げてはおらず、
聖パオロの肖像やイメージは
一般には普及していなかったため
ごく限られた信者にのみ知られていました。
そのような当時の状況からも
昨年6月にまず確認された聖パオロの肖像が見つかったときから
最古のイコンの一つとして注目されているのです。

Via Ostiense(オスティエンセ通り)沿いにある
サンタ・テクラのカタコンベは
Basilica di San Paolo fuori le mura
(サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ寺院)近くにあり
1700年からその存在が知られていました。
地区の共同墓地で、
100体余りのキリスト教信者が眠っているそうです。

サンタ・テクラのカタコンベは
その規模、様式からもマイナーで
これまで一般公開はされていませんが、
将来的には一般公開していくことも検討中。

私はカタコンベは恐いので、
きっとここが一般公開になっても行かないでしょうけど
友人の中にはこういうのが好きな方もいるので
いつかご案内することになるやもしれず・・・。