不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Tweet della giornata

2012-11-16 18:04:04 | Tweet Log



Tra la mente e il cuore 16.11.2012

2012-11-16 07:45:00 | Tra la mente e il cuore

人は本当に絶望すると、笑っちゃうのかもしれない。
警戒区域に戻った双葉町民が
変わり果てた街の姿をみて、笑っている姿を見て
本当に心が痛くなった。
なにも為す術のない絶望的な状況に置かれたら
笑うしかないのかもしれない。

「フタバから遠く離れて」
福島第一原発の水素爆発の音を聞き、
死の灰を被り
街ごと避難しなくてはならなくなった現実と
事故後改めて実感した原発の危険性と
原発マネーで生きざるを得なかった
小さな街の過去への反省を
とても近い場所から捉えたドキュメンタリー。

この映画、日本で観た人どれくらいいるんだろう。
今日、せっかくの機会があったのに、
フィレンツェのオデオン映画館で見かけた日本人の姿は
私が確認できた限り4人。
観衆のほとんどはイタリア人でした。
上演時間が遅かったのもひとつの理由かもしれないけれど。

上演開始予定の22:30をかなり遅れて始まり、
終わった時は
会場全体がなんともいえない重い空気に包まれていました。
何か言葉にするのも申し訳ないような。
言葉にしたら涙とともに消えてしまいそうな。

とても良くまとまっていると思うけれど、
日本人にしかわからないであろう符号もあちこちにあって
イタリア人が果たしてどこまで理解したのかなぁと。

そして、自分はもう日本を離れて17年が経ち、
日本人であることを忘れたことはないけれど、
純粋な日本人の目では捕らえていないのだろうなと
脳みその奥の方で考えながら観ていた。
スクリーンに映し出された日本は
やはりどこか理解できない不思議な国でもあり、
それはイタリア人から見れば
もっともっと理解不能なのかもしれない。
だからといって、それを説明することもできないのは
やはり自分の一部がそこに属しているからなんだろうなと。

しかし、政治家と東京電力の体たらくさ、誠意のなさ
様々な嘘の塗り重ねに
腹が立つのを越えて、悲しくなるばかり。
そして、それなのに、無力な自分にも腹が立つし。
見終わった直後には、絶望感しか残らない。
そして、少しづつ現実に目を向けて
何かを変えなくてはという気持ちになっていく。

忘れてしまうこと、無関心になることが
一番恐ろしいこと。

こんなに重苦しい現実が
自分の祖国に黙々と横たわっていることを
知ることができてよかったとも思っているし
できれば、もっと多くの人に観てもらいたいな。

原子力発電所の立地での自主上映が
もっと頻繁に行われるべきだと思うよ。
浜岡を抱えた静岡県内でも
もっと上映されてしかるべきだと思う。
原発のメリット・デメリットをきちんと考えるためにもね。
明日は我が身と思って
この現実を捉えることができないのなら
原子力発電所と共存なんて不可能だよ。
共存するには相当な覚悟も必要だろうしね。

映画「フタバから遠く離れて
イタリアの大手新聞Repubblicaでの紹介記事