不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Ariannna dormiente

2012-11-28 18:11:39 | アート・文化

ギリシャ神話の女神アリアドネ、
イタリア語名はアリアンナ(Arianna)。
クレタのミノス王(Minosse)の娘で
テセウス(Teseo)との逸話が残っています。

諸説ありますが、
有名なものは下記のようなもの。
ミノス王は息子がアッティカで殺されたことを受け、
アテネに攻め込み、
これに敗北したアテネは
9年ごとに7人の少女と7人の少年を
ミノタウロスへのいけにえとして
クレタに差し出すことが義務付けられます。
テセウスはこの7人の少年の一人として
志願してクレタに乗り込み、
ミノタウロスを退治することに。
それをみたアリアンナは彼に恋をして、
無事に戻ってこれるように手助けをするので、
戻ったら自分を娶り
アテネに連れ帰るようにと契約を交わします。
アリアンナはダイダロスに知恵を借りて
テセウスがミノタウロスを退治して
無事に戻ってこれるように
迷宮の中で帰り道を見失わないように
毛糸を辿って帰ってくるようにと
迷宮に入るときに毛糸の玉を渡したとされています。
この秘策のおかげで
無事に戻ってきたテセウスと他のいけにえと共に
アリアンナもアテネに逃げのびます。
途中ナクソス島に上陸し、
そこでテセウスはアリアンナを眠らせ
(もしくはひどい悪阻のせいで
アリアンナが眠りについてしまった)
彼女を置き去りにしてしまいます。
このあとアリアンナは
ディオニソス(Dioniso)に見初められていますが、
このことから
ディオニソスの命でテセウスがアリアンナを眠らせて
酒神に彼女を譲ったのだという説も残っています。
このディオニソスとの婚姻の際に
彼がアリアンナのために
火の神エフェストに命じて作らせた
宝石の髪飾りを空に投げ、
それによって「かんむり座」ができた
という逸話も残っています。

約220年もの間、あちこちを転々としてきた
「眠るアリアンナ」の彫刻が
5年の修復を終えて、
12月17日から正式に
ウフィツィ美術館に展示されることになりました。

現在、よくわからない計画の下に
ウフィツィ美術館の展示改装が続けられていますが、
ミケランジェロの作品(Tondo Doni)は35室に移され
この「眠るアリアンナ」も
この部屋に置かれることになるそうです。
1500年代の芸術家は古典回帰で
古代ローマやギリシャ時代の彫刻を
よく参考にしていたといわれています。
こうしたことを前提に
ウフィツィの新しい展示はまとめられていくようなのですが、
残念ながら、いまひとつ方向性が見えていません。

特に「眠る女性」というテーマは
ルネッサンス期に崇拝され、よくモデルとされ、
こよなく愛されたテーマでもあるので
ミケランジェロの部屋に置かれる理由はあるようです。

Arianna

「眠るアリアンナ(Arianna dormiente)」は
紀元前3世紀のヘレニズム期の
古代ローマ彫刻のコピーで
約2トンの大きな作品です。
この作品が11月26日に
シニョリア広場でクレーンに吊るされて
約2時間半をかけて
ランツィのロッジャの上にある
ウフィツィのテラスから廊下に搬入されました。