折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

今頃になって読むと・・・

2019年11月29日 | 風景
「浄瑠璃寺山門」




先週一泊二日で奈良に一人旅をしました。
向こうで描いたスケッチを見なおしたり、ブログを書いたりしていると色々な思いが湧いてきます。

初めての奈良は小学校の修学旅行、ワイワイ言いながら先生に遅れないように歩いたこと、大仏様が大きかったことくらいしか覚えていない。
次に行ったのは高校の修学旅行、三泊四日で京都と奈良のお寺ばかり回りました。頭の中は仏像とお寺で一杯。もうどれがどれだか分からなかった。引率の美術の先生は行く前に和辻哲郎の「古寺巡礼」を読むことを勧められました。学校の図書館であの頃はまだ白黒だった写真集を見て本をざっと読んで分かったようなつもりになって「いいなぁ~」とあこがれだけは持って行きました。

それから何度か訪れた奈良、娘とレンタサイクルで駆け巡ったり夫と歩いたこともありましたがいつも次へ次へと大忙しの旅。今回は一番気持ちがゆったりしていたせいか考えたり思い出すことが多かった気がします。


今回の旅から帰ってずっと本棚に眠っていた「古寺巡礼」を取り出して拾い読みしてみるととても面白い。
私は法隆寺の回廊から五重塔と金堂を眺めた時の特別な気持ちをブログにどう表現したらいいのか分からなくてとてももどかしい思いだったのですが、この本の中で作者が法隆寺を訪ねた時の印象が私が感じて表現したかったことにとても近かったのです。

和辻哲郎が大正7年に奈良を旅した時の印象記を大正8年に出版された本です。手元にあるのは昭和22年の改定版ですが、100年以上も前に旅した人と同じ感動を得られた事がとても面白いと思います。
先生に言われて読むのではなくて自分の体験と重ねて読む本はまるで違う。
美術の先生はこの本を持って度々奈良を歩かれて「奈良はいいよ」と言われたことを思い出します。
あれから60年余、やっと少しだけ先生の話が響いてきた気がします。

この本が書かれた時、和辻哲郎は浄瑠璃寺の吉祥天像を見ないままだったようで、何も触れられていないのがちょっと残念。
本を読むことが少ない私、ぼんやり過ごさないでもっと本も読まなくてはと思うのも奈良の旅の成果だと思います。




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