趣味と健康日記

清野明子(民謡歌手)の応援、登山、スポーツなど趣味と日々の健康を記す日記です。

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民謡の話 Vol.5 「楽しい民謡五編」

2007-11-09 00:06:18 | 民謡の話

 今回は北(きた)東北の楽しい民謡の歌詞を五つ照会します。

 青森、秋田の「訛り」が特徴的ですが、内容は庶民の生活が滲み出ていて大変面白いと思います。筆者が小学生の頃、母が「弥三郎節」を唄っているのを聞き、民謡に対する興味が膨らんだ事を思い出しました。この種の唄は地元出身の歌手により唄われる事が多いようです。我らが清野明子さんによる「秋田たんと節」は未だ聞いたことがありません。一度聞いてみたいものです。

1 南部俵積み唄(青森県) ※長者を褒めちぎるところが面白い。

ハアー春の始めにこの家(や)旦那様は七福神のお供してコラ俵積みに参りた

ハァーこの家旦那様の奥のお屋敷見てやれば、

腰の曲がったおじ様とコラ、

白髪生えたる婆様が千両箱に腰おろしコラ、

万両箱に肘をかけ金の屏風をたてまわしコラ、

金の火鉢に金茶釜、金の楊枝をくわえてコラ、

備後表の御畳(おんたたみ)でんでん甲羅の虎の皮コラ、

これにおすわり旦那様めでたいなめでたいナ、

この家旦那様は億万長者と申される。

ハアーこの家旦那様のお屋敷をば見てやれば、

蔵の数が四十八コラ、

いろは蔵とはこのことだ一の蔵は銭蔵コラ、

次のお蔵は金(かンね)蔵次のお蔵は宝蔵コラ、

次の蔵から俵蔵、俵蔵には米を積むコラ、

七万五千の御俵をば七十五人の人足で

大黒柱を取りまいてコラ、

背戸から千石窓から万石、ヤッコラセの掛け声でコラ、

棟木までよと積み上げた、さても見事に積み上げたコラ、

お褒め下され旦那様コラ、

お祝い下んせ母(かか)様、

ハー目出度いな目出度いナ、 この家旦那様は億万長者と申される

2 弥三郎節(青森県) ※嫁舅の関係が今も昔も変わらない。

一つァエー 木造新田の下相野 

村のはンずれコの弥三郎ァ家 コレモ弥三郎エー

二つァエー 二人三人と人頼で

大開の万九郎から嫁貰た コレモ弥三郎エー

三つァエー 三つ物揃えて貰た嫁

貰てみたどごァ気に合わね コレモ弥三郎エー

四つァエー 夜草朝草欠かねども

遅く戻ればえびられる コレモ弥三郎エー

五つァエー えびたり揉んだり嘲けたり

日に三度の口つもる コレモ弥三郎エー

 

3 秋田たんと節(秋田県) ※夫婦の複雑な関係を唄っている。

ハァー一つ人目の関所を破り

連れて行くのが 現われた現われた

「コラ お江戸得へ行くとて 津軽へ行った

(ア ドシタ)

津軽にお江戸があるものか」 (ソレ)

劫恥(ごうはじ)さらして タントタント

あいこの上作 その訳だんよ

ハァー二つ二人の口約束を

何処のどなたが しゃべったやらしゃべったやら

「コラ 家の嬶(かかあ)の寝ているに

起こして聞かせて 腹立たせ」

ある事ない事 タントタント

あいこの上作 その訳だんよ

 ハァー三つ道引く 和尚さん方よ

今の浮世は あれじゃものあれじゃもの

「コラ 南無からかんのん とらやあや

何遍申しても 後生ならぬ」

姉ちゃに色目コ タントタント

あいこの上作 その訳だんよ

 

 4 おこさ節 ※男女の逢瀬を唄ったものと思われる。

お前来るかと 一升買って待ってたヨ、アラ オコサノサ

あんまり来ないので、コラヤノ ヤッコラ飲んで待ってたヨ

オコサデ オコサデ ホントダネ

 

わしとお前は 火ばしにおとるよ、アラ オコサノサ

火ばし夜昼、コラヤノ ヤッコラ二人ずれ

オコサデ オコサデ ホントダネ

 

風に灯りを 消させておいてネ、アラ オコサノサ

忍び込むのが、コラヤノ ヤッコラ窓の月ネ

オコサデ オコサデ ホントダネ

 

5 秋田音頭 ※秋田の名物を面白おかしく案内したもの。

ヤートセー コラ秋田音頭です (ハイ キタカサッサ コイサッサ コイナー)

コラ いずれこれより御免なこうむり 音頭の無駄を言う(アーソレソレ)

あたりさわりもあろうけれどもサッサと出しかける(ハイ、キタカサッサ、コイサッサコイナー) 

     以下、掛け声同様

コラ秋田の女ご 何してきれいだと聞くだけ野暮だんす

小野小町の生まれ在所 お前(め)はん知らねのげ

 

コラ秋田の国では 雨が降っても唐傘などいらぬ 

手頃な蕗の葉 さらりとさしかけ サッサと出て行くかえ

 

コラ何につけでも一杯呑まねば 物事はかどらね 

呑めば呑むほど気持ちコ開けて 踊りコなど出はる

 

コラ俺家(おらえ)の婆様と となりの婆様青森見物に

めくされまなくで函館見つけて アメリカあこだべげ

 

コラ秋田川端 日暮れに通たば蛍コ飛んで来た

蛍と思って ぎっしりつかだきゃ となりの はげ頭

 

コラ秋田名物八森鰰々(ハタハタ) 男鹿で男鹿ブリコ

 能代春慶(しゅんけい)桧山納豆 大館曲わっぱ

 

あとがき

これらの5編は曲も素晴らしく、本当に楽しい民謡であります。この種の民謡が唄われた背景を考えてみると、昔の遊興環境の不足と男女関係の不文律により、家庭においては皆このような状況で生活していて「貴方の家だけではありません」と言う事を公言した唄であるようにも考えられます。男尊女卑の時代にあっての女性の反発であった様にも創造できる。また、漫才的な要素を含んでいる所も面白い。 清野明子さんには、このような楽しい唄もレパートリーに入れて欲しいと思います。皆さんも清野さんを応援してください。