夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2019年7月に読んだ本まとめ

2019年08月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2019年7月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3421ページ
ナイス数:1013ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■きみの町で (新潮文庫)
重松さんはとても「正しいひと」なのだろうと思います。ま、フランスで刊行される『こども哲学』なんてシリーズの監修なんて、正しい人でなければそもそも依頼が来ないでしょうけれど(笑)。子どもに説いて聞かせるような話は、ともすれば説教臭くなってしまう。本作にしろ、他の重松作品にしろ、そのぎりぎりのところにとどまって説教臭さを感じさせないから素直に読める。どれが正しいおこないかという答えはそこになく、つまりは自分で考えろ。ずるいのとも紙一重かもしれません。でも、こうしてさまざまな場面に遭遇して、悩んで成長できたら。
読了日:07月02日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/14023557

■高校事変 (角川文庫)
占拠モノの映画はいっぱい観たことがありますが、本ではあまり読んだことがなく、印象に残っているのは『槐』ぐらい。謎の女教師がバッタバッタと半グレ集団を倒してゆく姿に惚れました。こちらの女子生徒がまた凄い。あの女教師とタッグを組んだらえげつないことになりそう(笑)。極悪犯罪者の娘だからといって色眼鏡で見てはいけない。必要だったかと疑問に思う慰安婦の話など不愉快な描写も多いけど、政治家も教師も生徒も不埒な奴はそれなりの末路でスッキリ。しかしこんな浅はかなオバハンが国務大臣ってあかんやろニッポン。ありそうでヤダ。
読了日:07月03日 著者:松岡 圭祐
https://bookmeter.com/books/13765888

■むかしむかしあるところに、死体がありました。
坊やよい子だ、ねんねしな。そう言われても眠れない(笑)、こんな昔話では。誰もが知っている昔話のなかで殺人が起き、あっちにもこっちにも死人が。タイトルからしてひねりが効いていて、特に「つるの倒叙がえし」に笑う。一寸法師はそこに居ったのか居らんかったのか。打ち出の小槌を使ったトリックがお見事。強欲婆さんにやられてしまった花咲か爺さんの無念は犬が晴らす。竜宮城は密室、グランドフィナーレは鬼ヶ島。今も昔も人間の腹黒い部分は同じ。油断すると速攻で寝首を搔かれそう。稲川淳二あたりにおどろおどろしく朗読してもらいたい。
読了日:07月05日 著者:青柳 碧人
https://bookmeter.com/books/13636548

■ダイナー (ポプラ文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】一昨年のマイベストは、『雪の鉄樹』とこの『ダイナー』でした。映画化されたら観ないわけには行かず、公開初日の今日、行ってきました。藤原くんのことは凄い役者だと思っていますが、「俺は〜、ここの〜、王だ!」に苦笑い。読書中はヨダレが出そうだったハンバーガーも色が綺麗なだけでパサパサ感漂って寂しい。でも蜷川実花ですもんね、スタイリッシュなけばけばしさがあるからこれでいいのか。私としては佐藤浩市のイメージ。でもそれ以上に見たいのは、ジェイソン・ステイサムのボンベル。あかん?
読了日:07月05日 著者:平山 夢明
https://bookmeter.com/books/5349916

■虹色の童話 (角川文庫)
この直前に読んだのが『むかしむかしあるところに、死体がありました。』でした。意識して選んだわけではなかったけれど、昔話からグリム童話へ。呪われたかのようなアパートの名前はレインボーハイツ。濁点が外れた「レインホー」の看板を想像して少し笑ったものの、おぞましさは昔話の倍以上。入居者の間で次々と起こる惨殺事件のトリガーになっているとおぼしき5歳児。救いようのない話をそれほど怖いと思ったつもりはなかったのに、昨晩その男の子が夢の中に出てきてうなされました。自分の叫び声に驚いて起きる始末。それぐらい不気味(泣)。
読了日:07月08日 著者:宇佐美まこと
https://bookmeter.com/books/12206528

■森見登美彦の京都ぐるぐる案内 (新潮文庫)
薄いです。完全に、繋ぎの1冊として選んだ本。いつもなら「繋ぎ」には穂村さんを選びがちなところ、今日はなんとなく森見さんに。森見作品のあちこちから持ってきた話に写真を合わせただけといえばそれだけ。別に森見さんの容姿が好きなわけではないから、嬉しくもない(笑)。ただ、私も京都で学生時代を過ごした身、しかも今の職場は太陽の塔が見えるとこ。ピンポイントで楽しいもん。「どう考えても食い過ぎやろ!」「そんなわけあらへんがな!」って、完璧な関西弁なのに、エセ関西弁とのツッコミがあったから、エセ関西弁ぽく読んでみました。
読了日:07月09日 著者:森見 登美彦
https://bookmeter.com/books/8123167

■絵に隠された記憶 熊沢アート心療所の謎解きカルテ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
酒を飲みながら、しかも風邪で意識が朦朧としている状態で読みはじめたら、優しすぎる話が上手く頭に入ってきません。著者の名前からストリッパーの一条さゆり(私、女ですが、映画は観に行きました)や漫画家の一条ゆかりを思い出し、ちっとも内容に集中できない。ところが意識を覚醒させるかのような一文が終盤に出てきて、えーっ、もしかするとすごく嫌なオチ!?と心配しました。その心配が吹っ飛んでホッ。それにしても読者の評価がめちゃ高い。アタマがしっかりしているときに再読しなければいけません。私も絵画療法を受けたほうがいいかも。
読了日:07月11日 著者:一色 さゆり
https://bookmeter.com/books/13727118

■コクーン (光文社文庫)
読み応えはあるのに、とてもモヤモヤします。新興宗教団体によるテロ事件に何らかの形で関わりのある登場人物の昔と今、ふたつの時代。教祖の母親が、もしも自分が出産しなかった場合、わが子の上を行く外道が出てきてさらなる大惨事が起きたであろうパラレルワールドを想像します。自分の息子が起こしたテロのほうがマシだったと考えることにたぶんいちばんモヤモヤ。被害者や加害者の遺族の思いはかいま見ることができても、犯人の思いはわからないから非常に不気味。陰惨すぎてめげる。それでも読み応えはあったから、他作品も読んでみたい作家。
読了日:07月17日 著者:葉真中 顕
https://bookmeter.com/books/13707000

■負けるな、届け! (双葉文庫)
走ることにまったく興味のなかった人たちが、つきあいや暇つぶしで行った応援ですっかりマラソンの虜に。私も自分で走る気は皆無。本作を読んだからといって、走ってみようかなとは思いません。だけど、メドックマラソンにだけは釣られそう。生ハムや炭火焼ステーキにかぶりつき、ワインを飲みながら走るって、すげぇ。正気かよ、よう走れるなと思うのは、その状況下では私が酔っぱらって走れなくなるほど飲むこと前提だからですね(笑)。人事課長をぎゃふんといわせてやりたかったけれど、そんな人も応援。マラソンは、きっと人の器をデカくする。
読了日:07月20日 著者:こかじ さら
https://bookmeter.com/books/13573352

■夫が邪魔 (徳間文庫)
教えてください。新津きよみにハッピーエンドの作品って存在するんですか。えげつない話ばっかり(笑)。別にグロいわけじゃない。ただ夫や元彼のことがウザくて憎くて、おらんようになればええのにと願う女たちがあれこれ企む。このタイトルに惹かれて読み始めた人ならば、「わかるよその気持ち」と思う部分もあるでしょうが、念入りに立てた計画であってもそう上手くは行かない。邪魔だとしても殺してやろうなんて思わずに、自分から立ち去るのがよさそうです。『殺意が見える女』の改題再刊とのこと。そらもう『夫が邪魔』のほうがインパクト大。
読了日:07月24日 著者:新津きよみ
https://bookmeter.com/books/13927754

■総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
中山センセを読むようになってからまだ日が浅く、中山作品は100%ドンデン返しがあるのだと思い込んでいました。ないものもあるんだわ(笑)。政治にまったく興味を持たずに生きてきた人がいきなりこんなに語れるようになるわけもなく、そこはとても嘘くさい。けれども逆に、興味さえ持てばこうなれるのではないかとも思わされます。『王になった男』イ・ビョンホンが演じた影武者ほどはこの総理を好きにはなれず。映画『誰がために憲法はある』が頭に残っているから、こういう話には心が乱されるのかも。政治について考えるきっかけにはなる。
読了日:07月28日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/13307074

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