夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『永遠に僕のもの』

2019年08月23日 | 映画(あ行)
『永遠に僕のもの』(原題:El Angel)
監督:ルイス・オルテガ
出演:ロレンソ・フェロ,チノ・ダリン,ダニエル・ファネゴ,メルセデス・モラーン,
   ルイス・ニェッコ,ピーター・ランサーニ,セシリア・ロス他
 
毎夏会っているドイツ在住の友人一家が帰国中。
能勢でBBQだったり、エキスポシティで観覧車に乗ったり、
その年によって一緒に行くところいろいろ。
今年は新世界のジャンジャン横丁近くに宿泊するというので、
通天閣下の王将碑前で待ち合わせました。
 
お互いにお土産を持参するため、荷物が結構重い。
ダンナに暑い重い疲れたと文句言われるのも嫌やなぁと、
私はその日の早朝に車で家を出て恵美須町付近に駐めることに。
待ち合わせ時間まで私は映画を観て、ダンナは電車で通天閣へ。
ダンナに車で帰ってもらおうという魂胆です。
だって私はこの日の晩に同窓会で梅田へ出るから車に乗って帰れないし。
 
ところが恵美須町付近のコインパーキングは早朝から予想外の混雑。
最大料金設定ありのところはすべて満車。
空いているところはお盆特別期間中とやらで最大料金設定なし。マジかよ。
仕方なく、なんばで映画を観るときに駐める日本橋のタイムズまで戻り、
ダンナには帰りに恵美須町から日本橋まで電車で向かってもらうことにしました。
 
恵美須町に駐められたら、こちらが用意したお土産を積んだまま映画を観て、
通天閣へ向かう前にお土産を取りに一旦車へ戻ればいいと思っていたのに叶わず。
私は日本橋〜なんばパークス〜通天閣をお土産をぶらさげたまま歩くはめに。
タクシーに乗ることも考えましたが、まぁたまには歩くかと思い直し。
あ〜、暑かった。
 
で、通天閣へ行く前になんばパークスシネマで2本観る。
朝8時台から観た1本目がこれ、アルゼンチン/スペイン作品。
監督はアルゼンチンの俊英の呼び声高いルイス・オルテガで、
ペドロ・アルモドバルが製作に名を連ねています。
朝もはよからこんなマニアックな作品を観ようという人はたぶん趣味が同じ。
私の前列の男性は、予告編が始まって場内が暗くなってからも文庫本を読んでいました。
目ぇ悪くなるやんと思いつつ、私もよくやります。
予告編は覚えるぐらい観ているし、それより1頁でも先に進みたくて。
 
1970年代にアルゼンチンに実在した連続殺人犯カルロス・ロブレド・プッチがモデル。
数十件の窃盗を働いたうえに10人以上を殺したカルロスは、
およそそんな犯罪に手を染めそうにない17歳の美少年でした。
その事実が人々を震撼させ、「ブラック・エンジェル」や「死の天使」と呼ばれたそうです。
 
ブエノスアイレスのごく一般的な家庭の善良なる両親のもとに生まれたカルリートス。
ブロンドの美少年で純真無垢にしか見えない彼だが、泥棒はお手の物。
空き巣に入って窃盗を楽しんでいるだけで、盗んだものを売りさばいたりはしない。
宝飾品は知人友人にプレゼント、車やバイクは乗り回して飽きれば放置。
カルリートスのことが心配でならない両親は、息子を転校させて更生を期待する。
 
ある日、カルリートスは一匹狼で野性味あふれる同級生ラモンに目を奪われる。
ラモンをわざと怒らせて気を引くことに成功。
ラモンはカルリートスを自宅に招き、ムショ帰りの父親ホセに会わせる。
 
ホセはカルリートスを盗みの天才だと見抜き、
ラモンとコンビを組んで仕事させることに。
拳銃、宝石、絵画など、やすやすと盗むカルリートスだったが、
住人や警備員に出くわすと躊躇なく射殺する。
なんとも思っていない様子の彼を見て、ホセは危険を感じ始めるのだが……。

美しき連続殺人犯の話と聞いて、ぞっとするような怖さを持ち合わせた人物を想定していました。
実際はどうだったか知りませんが、カルリートス役のロレンソ・フェロはただただ可愛い。
『少年は残酷な弓を射る』(2011)のエズラ・ミラーのような冷たさはまるで無し。
人を簡単に殺すというけれど、相棒を救っただけのようにも見えます。
「自分のものにしたかったから」というような気持ちは私には感じられない。
 
非常に面白くは観ましたが、個人的にハマり込めなかった理由はラモン。
野性的だかなんだか知らんけど、まるで私のタイプじゃない(笑)。
そのうえ頭も悪そうで、こんな奴に魅かれるカルリートスの気が知れん。
 
やっぱり年代問わず、タイプの俳優かどうかというのは重要。
そうだなぁ、ジュード・ロウ辺りがラモン役だったら、私の目もランランしたかも。
 
いずれにせよ、印象に残る作品です。
楽しげに踊るカルリートスの姿が頭から離れない。

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