夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『シークレット・スーパースター』

2019年08月15日 | 映画(さ行)
『シークレット・スーパースター』(原題:Secret Superstar)
監督:アドヴェイト・チャンダン
出演:ザイラー・ワシーム,メヘル・ヴィジュ,アーミル・カーン,ラージ・アルジュン,
   ティルト・シャルマ,カビール・サジード,ファルーク・ジャファル他
 
シネ・リーブル梅田で大当たりの3本ハシゴの2本目。
 
楽しいですよねぇ、ボリウッド
今年のいちばんはなんといっても『バジュランギおじさんと、小さな迷子』で、
私の中でこれに勝るインド映画はちょっと出てきそうにありませんが、これもなかなかよかった。
「『バジュランギおじさん』ほど泣くのは困るけどちょっとは泣きたい」ぐらいの人、どうぞ(笑)。
ボリウッドのスーパースター、アーミル・カーンが脇役に徹しているのも見もの。
 
インドの田舎町に暮らす14歳の少女インシア。
幼い頃に母親が買ってくれたギターのおかげで音楽が大好き。
自ら曲も作って歌い、ひそかに歌手を夢見ている。
 
母親のことは大好きだが、DV亭主の言いなりなのが信じられない。
父親は少しでも気に入らないことがあると母親に暴力を振るう。
母親を馬鹿呼ばわりして蔑む父親のことを少しも尊敬できず、
一刻も早く離婚すべきだとインシアは思っているが、
稼ぎがなくてはインシアとその弟グドゥを育てるのは無理だと母親は言う。
 
学校でおこなわれる音楽大会に出場したかったインシアだが、
父親のせいでそれもあきらめざるをえず。
意気消沈するインシアに、母親はどこで金を工面したのかPCを手渡す。
インシアは父親の出張中を狙い、動画サイトに自分の歌を投稿することに。
父親にバレては大変と、母親のアイデアでブルカをかぶったインシアは、
「シークレット・スーパースター」を名乗ってYouTubeに投稿。
 
インシアの歌声はたちまち注目を集め、インド中で話題騒然。
それを見た落ち目の音楽プロデューサー、シャクティからコンタクトがある。
自分の歌を歌ってほしいという要望に、
巷の噂からシャクティのことをよく思えないインシアは最初は無視するのだが……。

父親の横暴ぶりに、いったいいつの時代のインドの話なのかと目が点に。
いや、日本でもDV男はこんなふうなのでしょうが、
料理に塩が足りんとか、出張の用意が遅いとか、んなもん自分でやれやと言いたくなる。
腕まくりまでして妻を殴り、これだから無学な女はと罵倒する。馬鹿なのはおまえだよ。
 
どれだけ罵られようと殴られようと口ごたえひとつしない母親に、
インシア同様、観ている私もイライラ。
しかし、そんな母親がインシアを出産したときの話、
インシアという名前に込められた意味を知るとき、涙ぼろぼろ。
 
冒頭ではそんなことがまだわからないうちだから、
インシアが歌う「お母さんの歌」を聴いてもイマイチだと思ったのですが、
わかってから聴けばもうそりゃすべてのお母さんが泣くでしょう。
あと、特筆すべきは愛らしすぎる弟グドゥ役のカビール・サジード。
頭クシュクシュって撫でて抱きしめたい。この子にも泣かされること間違いなし。
 
シャクティ役のアーミル・カーンはさすがで、笑わせてくれます。
脇役に徹しているというものの、エンドロールはオイシイ。
 
本当のスーパースターは? 
笑わせてくれるボリウッド、泣かせてくれるのもボリウッド。大好き!

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