夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈は行〉

2020年12月29日 | 映画(は行)
《は》
『8番目の男』(英題:Juror 8)
2018年の韓国作品。
韓国で2008年に導入された陪審員制度“国民参与裁判”の最初のケースがモチーフ。
全国民の注目が集まるなか、陪審員に選ばれた一般市民8名。
審議するのは息子による母親殺しで、息子が自白しているため、有罪は確実。
刑期のみを審議することになると陪審員らは言われる。
しかし、8番陪審員となった青年ナムが素朴な疑問を口にする。
早く帰りたい他の陪審員は、なんとかナムに有罪と言わせようと説得にかかるが、
ナムはどうしても納得しない。
そのうち、母親がマンションのベランダから転落したのは事実だが、
本当にこれは殺人なのかという疑問が次第に皆に生じるようになり……。
たどり着いた真実は、真実かどうかわからないけれど、涙ほろり。
ナム役のパク・ヒョンシクは思わず応援したくなる純朴さ。
国民参与裁判の初の判事役ムン・ソリも毅然としていて良かった。

《ひ》
『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』
2019年の日本作品。
オッサンオバハンの妄想が大の苦手な私は、本作の予告編を観てゲンナリしました。
こんなに劇場で映画を観ているにもかかわらず、これはパスしたぐらい。
それでもDVD化されたら一応観ておこうと思ってレンタル。
アラフィフの作家ヒキタクニオ(松重豊)は、妻サチ(北川景子)と年の差婚。
子どもは持たないつもりだったが、気持ちの変わったサチから子どもがほしいと言われ、
その日から始まる夫婦の妊活模様。
予告編でいちばん嫌だったのが、「ヒキタさんの子どもに会いたい」という台詞でした。
何その言い回しと思い、本作を楽しむのは無理だろうと思っていましたが、
ハードルが下がっていたせいか、よかった。笑いました、泣きました。
笑ったのは、ヒキタさん担当の編集者役の濱田岳とのやりとり。
泣かされたのはサチの父親役を演じる伊東四朗の態度。
いやいや、妊活って大変。円満だったはずの夫婦が妊活を機におかしくなることにも納得。

《ふ》
『フィードバック』(原題:Feedback)
2019年のスペイン/アメリカ作品。
“未体験ゾーンの映画たち 2020”にて上映。
社会派のDJジャービスは、ロンドンの深夜ラジオ番組“残酷な現実”のメインパーソナリティ。
その過激な発言で人気を集める一方、脅迫されることも頻繁。
ある日、いつもどおりに放送を始めるはずが、
マスクを被って武装した2人組の男に番組が占拠される
犯人の要求は、2011年11月にベルファストで起こったことを放送で話せというもので……。
ジャウマ・コレット=セラがプロデュースを務めたとあって、ハラハラドキドキ。
ドランは善人だと信じていましたが、終わってみれば黒い(笑)。
後味は良くない。主演エディ・マーサンなのに。

《へ》
『ヘル・フライト 乗客消失』(原題:Mayday)
2019年のアメリカ作品。劇場未公開。
ロサンゼルスからロンドン行きの飛行機で乗客1名が忽然と姿を消す。
同機に偶然乗り合わせていた航空保安官アダムは原因を突き止めようと機内を捜索。
しかしその後もひとり、またひとりと次々に乗客が消えてゆく。
ついには機長まで消えてしまい、残された乗務員や乗客は恐怖に怯える。
捜索を続けるうち、消えた乗客のうちのひとりが携えていたブリーフケースに、
悪魔を召喚する魔術書が入っていたことがわかり……。
いちばん落ち着いていた女性客が悪魔の化身でしたというトンデモ映画(笑)。
アダム役はかつての人気俳優マイケル・パレ。こんな映画で何しとるねん。
『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)の頃が懐かしい。嗚呼、悲惨。

《ほ》
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(原題:Hot Summer Nights)
2017年のアメリカ作品。
舞台は1991年のアメリカ。
高校を卒業したばかりのダニエルは、父を失ったショックから立ち直れない。
そんな息子を心配した母親は、彼を海辺のリゾート地ケープコッドに住む叔母に預ける。
気分転換のためにこの地に来たはずが、誰とも馴染めずにいたダニエルは、
地元で札付きのワルとして有名なハンターと出会って意気投合。
大麻の売人をしていたハンターの仕事を手伝い始める。
その一方で、ハンターの妹で町一番の美人マッケイラに一目惚れし、
ハンターから妹に近づくなと釘を刺されていたにもかかわらずアタックして……。
いっぱしの売人になれば好きな女性と釣り合うとでも勘違いしているのか、
大麻で止めておけばいいものをコカインまで手がけようとする。
しかも儲けたいがために間をすっ飛ばそうとしたものだから大変なことに。
ひと夏の淡い恋の物語ですが、阿呆だなぁ。ハンターの最期が悲哀を誘う。
ティモシー・シャラメって不思議な俳優だと思います。
美少年なのにイケてないというのかダサい役が似合う。

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今年観た映画50音順〈な行〉

2020年12月29日 | 映画(な行)
《な》
『ナイト・ストーム』(原題:Grand Isle)
2019年のアメリカ作品。
ニコラス・ケイジ主演だというのに、日本では劇場未公開。
妻と病気の娘を抱え、休職中で金に困っているバディは、
破損した柵を修理してほしいという依頼を退役軍人のウォルターから受ける。
その日のうちに修理を完了させるのは無理だと思われたが、
ウォルターが提示する高額の報酬に釣られ、作業に取りかかるバディだったが……。
ジャケットには軍服を着たニコラス・ケイジが銃を構えるシーン。
当然「いつものニコラス」だと思っていたら、こりゃいったい何だ!?
ニコラス演じるウォルターには怪しげな美人妻ファンシーがいて、
若者を拉致しては地下室に監禁しているサイコ夫婦でしたという。(^o^;
監督はクリント・イーストウッドの愛弟子スティーヴン・カンパネッリとのことですが、
どういう弟子なんでしょか。そりゃこんなショボい映画、劇場で公開なんかでけん。

《に》
『ニューヨーク 最高の訳あり物件』(原題:Forget About Nick)
2017年のドイツ作品。
マンハッタンの超高級アパートメントに暮らすモデルのジェイドは40歳。
モデルを引退してデザイナーとしてデビューすべく会社を設立するが、
ずっと年上の夫ニックから突然離婚しようと言われてしまう。
どうやらニックはジェイドから若いモデルに乗り換えたらしい。
あきらめきれずにいたところへニックの前妻マリアが現れ、
このアパートメントの所有権の半分をニックから与えられたと主張。
同じ男と結婚して同じ男に捨てられたというのに、性格は真逆のジェイドとマリア。
ふたりは衝突を繰り返して……。
監督が『ハンナ・アーレント』(2012)のマルガレーテ・フォン・トロッタというのだから驚く。
こんなコメディも撮れるんですね。
ジェイドのことが好きになれないままでしたが、最後まで飽きません。
それにしても凄いアパートメント。こんな部屋に住んでみたい。
いくつになってもモテモテのオヤジというのもおるんやなぁ。

《ぬ》
なし。毎年困る「ぬ」。
誰か「ぬ」で始まるタイトルの映画を撮ってください。

《ね》
『猫のルーファスと魔法の王国』(原題:Adventures of Rufus: The Fantastic Pet)
2020年のフランス/アメリカ作品。
スマホに夢中な孫2人におじいちゃんが読み聞かせるお伽話という体(てい)。
魔法の国魔法使いアボットがやってきたのは、田舎町のお屋敷。
アボットは魔女リリスと死闘を繰り広げた末、どこかに消えてしまう。
屋敷に残されたリリスもアボットによって魔力を封じ込まれ、
致し方なく召使いとして屋敷に仕える。
実はリリス以外にも屋敷に身を潜めていたのが、アボットの相棒猫ルーファス。
ルーファスは数年間、信頼できる協力者の登場を待ちわびていたのだ。
屋敷の女主人の孫スコットとその友人エミリーがまさに信頼に足る協力者。
最初は人間の言葉を話す猫に怯えていたスコットたちだが、
ルーファスの頼みを聞き入れ、魔法の国を救うべく、アボットを探しはじめ……。
CGアニメと実写の融合作品ですが、ルーファスが驚くほど可愛くない(笑)。
物語自体も面白いとは到底言えず、我ながらよく最後まで耐えたものです。
エンディングで続編ありをはっきり匂わせているけれど、無理だと思う。(^^;

《の》
『野良猫とパパ活』
2020年の日本作品。
劇場公開も検討されたようですが、結局DVDスルー。
文明(奈良坂篤)は処女作でいきなり大作家の仲間入りをしたものの、
その後エッセイや紀行文を書くのみ、小説は書けないまま、
まもなく還暦を迎える年齢に。
ある晩、編集担当者の高橋(佐藤良洋)と立ち寄ったバーに、
酒や接客の知識などおよそないと思われる少女・愛純(乃木蛍)がいた。
彼女は単なるバイトだったが、ママとバーテンダーが駆け落ちして、
今月の給料を貰えず、金がなくて困っていると言う。
彼女を放っておけなくなった文明は、愛人契約を申し出るのだが……。
谷崎潤一郎の『痴人の愛』をモチーフとした官能エロスドラマとの謳い文句だけど、
退屈すぎてちょっと寝ました。
愛純役の蛍ちゃんがインスタの人気者だと後から知る。
まぁ、そんな子が脱いでるんだから話題にはなるか。
演技については言わずにおきます。(^^;
しかし、若い子をつなぎとめておこうと必死になるオッサンは怖いですねぇ。
冷蔵庫の中を愛純の好きな牛乳でいっぱいにするシーンはほぼホラーでした(笑)。

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