夜な夜なシネマ

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『チーム・ジンバブエのソムリエたち』

2023年01月02日 | 映画(た行)
『チーム・ジンバブエのソムリエたち』(原題:Blind Ambition)
監督:ワーウィック・ロス,ロブ・コー
 
今日からしばらくは「今年観た映画50音順」を書き始める前後、旧年中に観た作品について。
 
クリスマス・イブにシネマート心斎橋で3本ハシゴの1本目。
どうしても見逃したくなかったオーストラリア作品。
てか、これ、オーストラリアの製作だったことをいま知りました。
 
政情不安定なジンバブエ。困窮から暴動が起きることもしばしば。
実に多くの人が飢餓から脱出しようと職を求めて南アフリカに渡るそうです。
 
本作はそんなふうにジンバブエから南アに逃れた4人の男性が
どのように生まれ育って一流のソムリエになったかに密着したドキュメンタリー。
 
もともとの知り合い同士だったわけではありません。
生活の程度に差異はあったかもしれませんが、経済的に恵まれていた人はゼロ。
彼らは南アに渡った後にそれまで飲んだことすらなかったワインに魅了されます。
 
密入国などしてなんとか南アにたどり着いてもすんなりと職には就けません。
彼らのうちのひとりはレストランの裏の畑で働いていて、
ある日、レストランのスタッフが彼の誕生会を開いてくれることになり、
そこで生まれて初めて飲んだスパークリングワインの味にびっくり。
これは何だ、どこで作られているのか、どんなふうに作るのか。
 
資質のある人はぐんぐん伸びる。
ここに登場する4人は皆、知識と経験を積んで一流レストランのソムリエに。
 
毎年フランスのブルゴーニュで開催されるテイスティングコンテスト。
南ア代表チームのコーチは、選抜試験のメンバーの上位12人にこの4人が入ったことに注目。
コンテストは4人1組となって出場するものなのだから、
彼ら4人は南ア代表としてではなく、ジンバブエ代表としてチームを作れるではないか。
 
ワイン業界に携わる権威ある人たちは口々に言います。
ジンバブエ人がテイスティングコンテストに出る。
これは、エジプト人がスキーチームを作ってオリンピックに出るようなものだと。
でもみんなニコニコしていて、彼らの健闘を楽しみにしている様子です。
 
出場するに当たり、まず南アからフランスへ行く旅費がない。
ダメもとでクラウドファンディングで募ってみたら、
いの一番にあのワインの女王ジャンシス・ロビンソンが寄付してくれた。
世界中の人が次々と寄付してくれて、瞬く間に目標額達成。
 
南アまで妻は連れてきたものの、子どもはジンバブエに残してきた人も多い。
危険な国境付近で銃殺されたり、ワニに食われたりしてしまうこともあるからです。
ケープタウンに来たら来たでやはり危険。強盗に遭うことだってあります。
常に緊迫した毎日の中で命懸けでワインと向き合う彼ら。
 
なんだか嬉しくなりました。
彼らが初出場を果たした年、参加24カ国のうち、ブービーが彼ら。
最下位がイタリアだったのには驚きました。あかんやろ。
その次の回は14位まで順位を上げたジンバブエ。
日本よりも上位だったそうですよ。負けとったらあかんやん。(^^;

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