電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

NHKテレビで「蝉しぐれ」7回版の再放送を観る

2013年02月25日 06時03分30秒 | -藤沢周平
今まで、再放送を含めて何度観たことでしょうか。でも、オリジナルに近い七回版の再放送であれば、何としても観たい。藤沢周平原作、黒土三男脚本による金曜時代劇「蝉しぐれ」です。実は、先々週から放送が始まっており、うっかり初回「嵐」は見逃しておりました。先週の第二回「蟻のごとく」から見始めたのですが、やっぱり泣かされました。原作では、助左衛門との対面の後、逸平と会います。逸平に、何か話したかと問われて、何が起こったのか聞きたいと言ったのだが、と答えたとき、不意に、本当に言いたかった言葉が溢れてきます。

 言いたいのはそんなことではなかったと思ったとき、文四郎の胸に、不意に父に言いたかった言葉が溢れて来た。
 ここまで育ててくれて、ありがとうと言うべきだったのだ。母よりも父が好きだったと、言えばよかったのだ。あなたを尊敬していた、とどうして率直に言えなかったのだろう。そして、父に言われるまでもなく、母のことは心配いらないと自分から言うべきだったのだ。

という地の文のあとに、逸平との会話、

「泣きたかったら存分に泣け。おれはかまわんぞ。」
「もっとほかに言うことがあったんだ」
文四郎は涙が頬を伝い流れるのを感じたが、声は顫えていないと思った。
「だが、おやじに会っている間は思いつかなかったな」
「そういうものだ。人間は後悔するように出来ておる」
「おやじを尊敬していると言えばよかったんだ」
「そうか」
と逸平が言った。

が続きます。テレビドラマでは、原作にかなり忠実に会話を再現しており、脚本の質の高さを感じました。

そして今週の第三回、「ふくと文四郎」。家禄を減らされ、母とともに長屋暮らしとなっていた文四郎は、里村家老に突然呼び出されて、旧禄に戻し、郡奉行支配に入ることを告げられます。父の仇である里村家老の意図を訝しみながらも、謹慎が解かれたことを母とともに喜びます。朗報がふくに伝わることを期待し、普請組屋敷に小柳甚兵衛を訪ねますが、小柳家はもうそこにはなく、ふくに殿のお手が付いたことから、甚兵衛さんは80石に出世していることを告げられ、淡い初恋の終わりを知るのです。思い悩む文四郎に、道場主の石栗弥左衛門が、秘剣村雨を授けることを伝えます。ただし、それは次の奉納試合で、興津新之丞に勝ったら、という条件でした。

一方、長屋では矢田作之丞の未亡人、矢田淑江が、かつて婚約者であった野瀬郁之進と不倫の関係にありました。たまたま、野瀬との争いを押しとどめた関係で、布施鶴之助と知り会います。布施は、淑江を実の姉だと説明し、文四郎との交友が始まります。交友と言えば、小和田逸平から急用だと呼び出しがあり、逸平の家に急ぎますが、そこで江戸から帰国した与之助に再会します。与之助は、助教として論語を講義する立場であり、文四郎にふくの近況を知らせます。それは、決して幸福とは言えない、辛く痛ましいものでした。文四郎は、与之助とともに染川町で酔いつぶれ、心の痛みをそらそうとします。

次回は、どうやら少し後になるらしいです。3月3日は「琵琶湖マラソン」でお休みとのこと。同日は仕事で出ていますので、むしろ「ラッキー!」かも。10日の日曜も何かの都合で放送はなく、第4回は3月1710日になるようです。

【追記】
もう少し正確に言うと、

3月3日・24日・31日は放送がありません。

ということだそうです。(小和田逸平の母親役、五代路子さんのブログ「夢を紡いで」より

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