水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

忘れるユーモア短編集 (88)政治

2020年07月11日 00時00分00秒 | #小説

 我が国の政治家諸氏に苦言(くげん)を呈(てい)するつもりは毛頭ない禿(は)げ頭的な物言いであることを、まずご了解願いたい。^^  以前から気にはなっていたのだが、私ごときが…と思えたものだから、敢(あ)えて私見(しけん)を詳(つまび)らかにしなかったのだが、政治で奇妙に思えている現象がある。このことを、二人、いや三人の論客? ^^ の話を交えて、忘れる前に語っておこうと思う。別に語ってもらわなくてもいいっ! と思われる方もお有りだろうが、そこはそれ、適当に寛(くつろ)いで無視して下されば、それで結構である。^^
 とある場末(ばすえ)にある路地の屋台である。二人の男がコップ酒を飲みながらおでんを突(つつ)き、話をしている。かなり酔いも回っているようだ。
「ウイッ! 今の政治家さんは、何か忘れてんじゃねぇ~んですかっ?」
「と、あなた、そう言いますかっ? なんだ、言ってんのっ!? ははは…言ってたんだっ! ウイッ! だったら聞こうじゃあ~りませんかっ! てんだっ!!」 「はいはいっ! 今の野党なんてもんはですよっ! 党じゃねぇ~でしょうよっ! ありゃ、政策集団っ! そう思わねぇ~ですかっ?」
「それは言い過ぎっ! …でも、そう言われてみりゃ、そうかも…と思えなくもないですがねっ!」
「でしょっ!? まあ、野党に限ったこっちゃねぇ~んですけどっ! 今の政治、党が国民の受け皿ってことを忘れてんじゃねぇ~んですかっ!」
「と、いうと?」
「国民が下駄を議員さんに預(あず)けてんでしょ!?」
「議員さんは国民の下足番(げそくばん)かっ! ははは…そこまで言われちゃ立場、ありませんなっ! ウイッ! まあ、ドッペリと座っておられますがっ!」
「まあねっ! 質問のときゃ、お立ちです…」
「ウイッ! そんなこたぁ~どうでもいいんですよぉ~~だっ!」
「政権担当能力を具備(ぐび)し、なおかつ、国民の負託(ふたく)に応(こた)え得(う)る組織・・それが政党!! でっ! こんな政党があっての政治っ!!」
 そこへ屋台の親父が割って入った。
「旦那(だんな)っ、いいこと言いなさるっ! これ、サービスしときますっ!」
 屋台の親父は、よく煮えた牛蒡天(ごぼてん)と蒟蒻(コンニャク)を二人の皿へ乗せた。
「親父さんもそう思うだろっ!? 責任政党は、そう簡単にゃ分裂、消滅はしねぇ~~んですよっ!! ああっ! 腹立ってきたっ!!」
「そういや、アメリカさんやイギリスさんは、ずぅ~~っと、そのまんまですねっ?」
「親父さん、いい目の付けどころっ!」
「それが完成形の政治か…」
 三人は、自分に言い聞かせるように頷(うなず)いた。
 政治が熟(じゅく)して完成すれば、党はそう容易(たやす)く分裂しないようだ。政治家諸氏! この点を忘れることなく、国民のためにご奮闘あらんことを乞(こ)い願う次第です。あまり、弱い者いじめはしないでください。^^

 ※ 考え方には個人差があります。^^
  
                                     


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忘れるユーモア短編集 (87)風向(かざむ)き

2020年07月10日 00時00分00秒 | #小説

 何をするにも風向(かざむ)きを見たり知ったりすることは重要だ。煙(けむ)いという理由で煙(けむり)の風向きを見るだけが風向きを探る目的ではない・・ということになる。奥さんのご機嫌がいいから、今日はもう一本、熱燗(あつかん)が飲めるな…などという庶民的な風向き予測だってある。いやいや総理っ、今はW選挙のときじゃないですっ! …などという政府側近の風向き予測もあるだろう。ただ、総理はそのとき、ご機嫌斜めの風向きだったとしても、私は草履(ぞうり)ではないよっ! とは、まあ100%、言われることはないだろうが…。^^  とある会社の最高責任者会議である。 「君はそう言うがねっ! 来年もそうなるとは限らんだろうがっ!」 「常務のお言葉ですが、私の予測では、この風向きは来年も変わらないと存じますっ!」  今年から執行役員に昇格した取締役部長は、自信あり気(げ)に言い切った。 「ふ~~む。君がそこまで言うからには、何か根拠があるんだろうね?」  ビルの大窓ガラスを背にして楕円卓の中央にデェ~~ンと大きな顔をして座る社長の顔を窺(うかが)いながら、副社長が小声で言った。 「根拠でございますか? 根拠は、私が考えておりますとき、焼き芋のいい匂(にお)いが漂(ただ)ってきたものですから、いい風向きだ…と判断した次第でございます…」  そのとき、社長が重い口を初めて開いた。 「…焼き芋? いいんじゃないか、部長の方針で…」  最高責任者会議の風向きは、社長のひと声で常務方針から部長方針へと急変した。  世の中の風向きはすぐ変わるから、それを忘れず生きねばならない・・という過酷[シビア]な結論となる。^^ 
  
                                     


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忘れるユーモア短編集 (86)歌詞

2020年07月09日 00時00分00秒 | #小説

 人前で、♪どうのぉ~~こうのぉ~~[どうたらぁ~~こうたらぁ~~]♪と、得意げに歌っていたのはいいが、途中で♪… …♪ と歌詞を忘れることがある。披露宴会場に集まった多くの人前だったり、お得意を接待する料亭とかの場だと大変な事態となる。プロの歌手の方々なんかは職業柄(しょくぎょうがら)、その辺(あた)りの逃げは心得ておられるから、何事もなかったかのように、スゥ~~っと聴衆を煙(けむり)に巻かれる。聴衆は、いい声…くらいの気分でポカァ~ンと聴き惚(ほ)れている。恰(あたか)も、一枚の木(こ)の葉を頭に乗せた狐(きつね)さんや狸(たぬき)さんのようなもので、見事! と言う他はない。^^ そこへいくと私達はサッパリで、聴衆の面前で大っ恥(ぱじ)をかく訳だ。^^
 とある温泉の大広間である。いい具合に酔いが回ってきた旅行者達が順々に一段高いひな壇へ登り、カラオケで得意の喉( のど)を披露(ひろう)している。
「♪北へぇ~北へぇ~~へとぉ~~~ … …♪」
 すっかり歌詞が飛んでしまったひな壇の男は、それまでのド派手なフリをやめ、マイクを握ったまま棒立ちになってしまった。
「ウイッ!! …おいっ!! どうしたっ!! 南もあるぞぉ~~!!」
 泥酔(でいすい)した旅行客が野次(やじ)を飛ばす。
「… すみませんっ! 忘れましたぁ~~!」
 ひな壇の男はペコリッ! と頭を下げ、笑顔で聴衆に謝(あやま)った。大広間は笑いの渦(うず)となり、益々(ますます)会場は盛り上がっていった。
 歌詞を忘れる事態になったときは、素直に謝るのが得策となる。^^
  
                                     


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忘れるユーモア短編集 (85)曇り空

2020年07月08日 00時00分00秒 | #小説

 降るでもなく、それでいて晴れるでもない日がある。当然、灰色の雲が上空の大部分を覆(おお)い尽(つ)くす曇り空だ。これから家を出ようとする人達にとって、雨傘を忘れることが出来ない中途半端な天気である。特にサラリーマンの方々は、通勤途中で降られでもしたら困る。濡れ鼠(ねずみ)では仕事にならないし、第一、風邪(かぜ)をひく危険性だってあるからだ。
 今年から晴れて新入社員になった鎌川は、さてどうする? …と、上空を見上げながら迷いに迷っていた。家から駅までは十数分だから、まあ無理をすれば、降ってきたとしてもなんとかなることはなった。ただそれでも、ようやく買った一張羅(いっちょうら)の背広がビショ濡れになり、これでは話にならない。
「遅刻するわよっ!」
 母親が迷う鎌川の背中へ声を投げた。
「ああ…」
 鎌川は否応(いやおう)なく返事だけはした。が、気持はまだ大揺れに揺れていた。そしてついに、遅刻ギリギリとなり、決断の時がやってきた。
「{雨傘(あまがさ)を手に取り}…出陣じゃ!!」
 鎌川は昨日(きのう)観た国営・歴史劇の台詞(せりふ)の一節(ひとふし)を、誰に言うでもなく浪曲調にガナっていた。言わずと知れた天下分け目の戦いである。^^ 恐らくは一万五千の兵とともに松尾山に陣した武将のつもりだったのだろう。^^
 数時間後、曇り空から大粒の雨が落ち出し、やがて豪雨となっていった。鎌川の判断どおりになったのである。
「これでいい…」
 勤務する役所に到着した鎌川は、ズブ濡れた雨傘を畳(たた)みながら、勝った東軍の総大将のような台詞を口にした。
 この話は余談だが、まあ、降ろうと降るまいと、忘れることなく傘は持って出かけられた方が曇り空の日はいいだろう。^^ 
 
                                     


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忘れるユーモア短編集 (84)オン・エアー

2020年07月07日 00時00分00秒 | #小説

 オン・エアーとは私達がテレビやラジオで視聴する放送が電波として世の中に流されることだが、何を流してもいいというものでもない・・という業界の方々には少し耳が痛いシビアーなお話である。^^ このことを忘れると、世の中は益々(ますます)、悪い方向へと向うから注意を喚起(かんき)したい。^^ 現実に、サスペンス・ドラマもどきの通り魔殺人事件も起きている昨今(さっこん)だから、尚更(なおさら)で笑えない。^^→-- ということは、楽しかったり笑えるオン・エアー番組なら、--→^^ へと視聴者がなることを意味するのである。^^
 とある家庭である。テレビのリモコンを押した風呂上がりの夫がブツクサと小言(こごと)を言っている。
「最近、観たい番組が減ったなぁ~!」
「私に、そんなこと言われても…」
 キッチンで料理していた妻が、いい迷惑とばかり言い返した。
「事件報道ばかりだぜっ! 疲れて帰ってきて、こんなのばかり観せられた日にゃ、明日からの働く意欲がなくなっちまうよっ!」
「だったら、観なきゃいいんじゃないっ!!」
 頭にきた妻が反発した。
「…」
 それも、そうだな…と思えたのか、夫は押し黙ってリモコンをOFFにした。そのとき、現われなくてもいいのに現れた小学校の息子がリモコンをONにした。テレビ画面にアニメ番組が映し出され、急に賑(にぎ)やかなSE[SOUND EFECT=音響効果]音が鳴り響いた。
「ははは…明日も働ける番組があったよ。あった、あった! 今日の憂(う)さを忘れるこういう番組が、いいんだっ!」
 夫は急にえびす顔になり、テレビ画面に観入った。
「どういうこと? パパ?」
「ははは…君は分からなくていいんだっ!」
 家族の笑い声がダイニングに谺(こだま)した。
 気に入らないオン・エアーは、気に入るオン・エアーを観たり聴いたりすれば忘れることが出来る・・という、ただそれだけのお話である。^^ 

                                     


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忘れるユーモア短編集 (83)忘れもの

2020年07月06日 00時00分00秒 | #小説

 子供の頃、親に『忘れもの、ないわねっ!』などと言われたことがあると思う。この忘れものという魔物は厄介(やっかい)な存在で、とんでもないときに現れては知らないうちに消え去る・・という荒業(あらわざ)を熟(こな)すから困りものだ。最大限の力を発揮すれば、忘れものをしたことさえ忘れさせるから油断ができない。
 とある駅の遺失物取扱所である。
「あの…つかぬことをお訊(き)きしますが、こんな形の入れ歯の忘れもの、届いてないでしょうか?」
「あなたの、ですか?」
「いいえ~! 昨日(きのう)、一緒に乗った父親のものです」
「乗車されたときは、確かにあったんですね?」
「えっ? ああ、そう聞いとります…」
「生憎(あいにく)、今のところ届いとらんですな…」
 そのとき、父親がボリボリと頭を掻(か)きながら笑顔で現われなくてもいいのに現われた。
「はっはっはっ! いやいや、どうもどうも。ありましたわいっ!」
「あったんですかっ!? そら、よかった!」
「えっ! あったの? 父さん」
「あったあった、大ありだぞっ、倅(せがれ)よっ!」
「どこにっ?」
「メガネ・ケースの中じゃ」
「どうして、そんなとこに?」
「忘れるといかんと思おてな、メガネ・ケースに入れといたんじゃ。それを、うっかり忘れとった。はっはっはっ…」  駅員は、忘れものはあんたの頭だろっ! とは思ったが、そうとも言えず、愛想笑いしながら窓口から遠ざかった。  忘れものしたことを忘れると、笑うしかない訳だ。^^

                                     


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忘れるユーモア短編集 (82)リズム

2020年07月05日 00時00分00秒 | #小説

 時代の波に取り残される・・などと、よく言われる。分かりやすく言えば、その時代の社会が欲している潮流(ちょうりゅう)、もっと分かりやすく言えば、その時代の風潮(ふうちょう)、もっともっと分かりやすく、顎(あご)の筋肉が痛くなるほどよく嚙(か)み砕(くだ)いて言えば、その時代の流行、政治の流れ、世間の考え方etc.となるが、それらに自分の考えや行動を同化、同調できなくなるという意味になる。さらにさらに分かりやすく言うなら、社会のリズムに合わせられない・・ということだろう。世の流れが馬鹿だなぁ~~…と思えたとしても、馬鹿だなぁ~~と思わず、そうなんだなぁ~~と同化すればいい訳だ^^ これを忘れると生き辛(づら)くなる。世の中は辛(から)いのだ。嫌(いや)なら、ったくっ! …と、庵(いおり)で世を儚(はかな)めばいいだけの話である。^^ まあ、これは冗談だが、身体(からだ)にバイオリズムという定まったリズムがあるように、世の中にもその時代、その時代の一定のリズムが流れていることは疑いのない事実である。
 とある中華料理店である。客が食事を終え、レジでレシートに書かれた勘定(かんじょう)を払いながら店員となにやら話している。
「この店は他に比べてかなり安いんだけど、こんな額(がく)でやってけるのっ!?」
「ええ。それがうちの商売リズムなんでっ!」
「商売リズム? なんだい、そりゃ?」
「ははは…他所(よそ)は他所、うちはうち・・ってこってすよっ!」
「いや、そんなこたぁ~どうでもいいんだけどさっ! この店は美味(うま)いから、俺としては続けて欲しいんだよなぁ~~」
「有難うございますっ!」
「そうなるとさっ! 採算が取れてんのかなぁ~~って気になる訳よ!」
「ははは…まあ、うちのリズムですからっ! 潰(つぶ)れても儲(もう)かってもっ! ねっ!」
「ああ、なるほど…」
 客は妙なところで納得し、店を出ていった。
 このように、自分達のリズムを忘れることなく生きていくのが世の中に流されない秘訣(ひけつ)なのかも知れない。^^ 分かりやすく言えばアイデンティティ[個性]を失(な)くさない、これ以上ないほど分かりやすく言えば、^^ 人は人のリズム、自分は自分のリズムで・・ということになるだろう。^^
 
                                     


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忘れるユーモア短編集 (81)身体(からだ)と心(こころ)

2020年07月04日 00時00分00秒 | #小説

 疲れるのは、なにも身体(からだ)に限ったことではない。心(こころ)だって疲れてショボくなるのだ。^^ それを忘れると、人はダメになる弱い生き物なのである。霊長類の頂点に君臨(くんりん)し、偉(えら)そうに、どうたらこうたら[どうのこうの]と御託(ごたく)を垂(た)れてはいるが、そう大した生き物でもない訳だ。それを忘れることなく、みなさん! 頑張ってください。^^
 とあるフツゥ~の家庭である。残業を終えた夫が疲れて凝(こ)った肩を叩(たた)きながら玄関戸をガラガラ・・と開けた。
「ただいまっ!」
 だが、奥の間からア~ともウ~とも返答はない。
「もう、寝たのか…」
 萎(な)えた小声で夫は呟(つぶや)いた。そのときである。妻がボリボリと首筋を掻きながら現れなくてもいいのに現れた。
「フヮァ~~、お帰りなさい。遅かったのね」
「なんだ、起きてたのか…」
 夫はうたた寝をしていた見たくもない妻の顔を見て、いっそう心が萎えて疲れた。
「起きてたのか? は、ないでしょ!」
「夕飯は?」
「外で食べてくると思ったから作ってないわよ」
「茶漬けとお新香(しんこ)くらいあるだろ?」
「まあ…」
 不貞腐(ふてくさ)れた妻の態度に、夫はいっそう心が萎えて疲れた。頭に浮かぶのは、新婚当時の熱かった映像である。

『もうっ! 遅いんだからぁ~~! お食事にするっ? それとも、お風呂っ?』
 色っぽい妻の声と姿に夫の疲れはフッ飛んだ。

「私、もう寝るから、勝手に出して食べてねっ!」
「ああ…」
 鮸膠(にべ)もない妻の声に、夫の心の疲れは頂点に達し、食欲が遠退(とおの)いた。
 心の疲れは身体の疲れになって影響を与えるのである。このことを忘れることなく、中年以後のサラリ-マンの男性は、遅くなった帰宅時の玄関前では耳栓(みみせん)をしましょう!^^
 
                                     


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忘れるユーモア短編集 (80)いたちごっこ

2020年07月03日 00時00分00秒 | #小説

 子供の遊びがその命名のきっかけとなった、いたちごっこ・・という言葉がある。冷静さを忘れると埒(らち)のあかない事態となり、収拾不能になるから怖(こわ)ぁ~~い。よく分かる一例として、国の公債発行が挙(あ)げられる。^^ 償還(しょうかん)[返却]しては、翌年度の財源不足[歳入不足]にまた発行するという、いたちごっこを繰り返している訳だ。^^ 埒(らち)があかず、本当にどぉ~~しようもない国会議事堂にお勤めの諸氏と言わざるを得ない。[考え方には個人差があります。^^]
 とある家庭の朝の風景である。まだ暗いうちから母親が子供達のために、せっせと弁当を作っている。有り難い…と感謝しなければいけないのだろうが、子供達は少しもそれを認識せず、当たり前のように毎朝、その弁当を持って家を飛び出していく。
「お給料、上がるのよねっ!」
「んっ! ああ、まあなっ! いってきます…」
 夫は声を少し小さめにして足早に玄関を飛び出していった。この家庭でいつも繰り返される夫婦の会話の一つなのだが、訊(き)かれては暈(ぼか)され、訊かれては暈される・・という繰り返しが、夫婦の間でいたちごっこのように長年、続いているのだった。
 こういう、いたちごっこは忘れる何か・・がないとトラウマになるから気をつけたいものだ。サラリーマンのご主人達、一考をっ!^^ 
 
                                     


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忘れるユーモア短編集 (79)待つことはない

2020年07月02日 00時00分00秒 | #小説

 決まった時間に決まったことをする。これは大事なことだが、なにもその時間まで待つことはないのである。この積極性を忘れると物事は守勢一方になり、コトを果たし辛(づら)くなる。お相撲で行司さんが、「手をついて! 手をついてっ!!」と強めに言う場面があるが、「時間まで、時間までっ!」とは決して言わないだろう。^^ なにも時間まで待つことはない訳で、双方の気合いが合って立てば、その一番は十分に成立するのである。まあ、待てば海路の日よりあり・・とも言うが、それは違う意味であり、この場合は待った方がいいだろう。^^
 日曜朝の、とある公園である。デイトなのだろう。若い男が東側の噴水前で立ち止まっている。時折り腕を見ては時間を窺(うかが)うが、いっこう待ち人は来る気配がない。
「妙だなぁ~? 噴水前で10時に、と言ったんだが…。待つことはないか…」
 男はプライドを少し覗(のぞ)かせ、歩き始めた。
 同じ公園の西側の噴水前である。
「怪(おか)しいわね、10時って言ってたのに? 待つことはないんだけど…」
 女もプライドを少し覗かせ、腕を見ながら静かに歩き始めた。時間は10時をすでに20分ばかり回っていた。
「きっと何か急用ができたんだな…」
 男は携帯画面を弄(いじ)くりメールを入れ、噴水を離れようとした。
「きっと何か急用ができたんだわ…」
 時を同じくして、女も携帯画面を弄くりメールを入れ、噴水を離れようとした。
 そして二人は、バッタリと出くわした。どちらも、待つことはないことはないんだ…と、ややこしく思った。
 詳細まで詰めないと、待つことはないという気分は、ややこしい気分に立ち至るのである。^^ 
  
                                     


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