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GHQ焚書、福澤桃介『西洋文明の没落 東洋文明の勃興』が現代日本人に問いかけていること(後編)

2023年07月20日 | 政治・経済
「全人類が平等に、共働共楽共存共栄して行く新文明」の建設に向けて日本人が持つ重大な責任とは。

(世界植民地化の流れを止めた日露戦争)
このヨーロッパ人による世界植民地化の動きを止めたのが、日露戦争での日本の勝利でした。そのインパクトを、中国の国父・孫文がこう語っています。

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どうしてもアジアは、ヨーロッパに抵抗できず、ヨーロッパの圧迫からぬけだすことができず、永久にヨーロッパの奴隷にならなければならないと考えたのです。(中略)
ところが、日本人がロシア人に勝ったのです。ヨーロッパに対してアジア民族が勝利したのは最近数百年の間にこれがはじめてでした。この戦争の影響がすぐ全アジアにつたわりますとアジアの全民族は、大きな驚きと喜びを感じ、とても大きな希望を抱いたのであります。[孫文]
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「大きな驚きと喜び」とは、近代戦争でも非白人が白人を打倒できるのだ、という「驚き」と、それによって自分たちも白人の植民地支配を打ち破って、独立と自由を勝ちとることができるかも知れない、という希望でした。

「アジアの全民族」とは決して誇張ではありません。たとえば、インドの独立後の初代首相ネルーは、当時の興奮をこう語っています。

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日本の戦捷(せんしょう:戦勝)は私の熱狂を沸き立たせ、新しいニュースを見るため毎日、新聞を待ち焦がれた。(中略)五月の末に近い頃、私たちはロンドンに着いた。途中、ドーヴァーからの汽車の中で、対馬沖で日本の大勝利の記事を読み耽りながら、私はとても上機嫌であった。[ネルー]
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トルコでも、当時の熱狂が伝えられています。

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昭和四十四年に、山口康助氏(現・帝京大学教授)がトルコの古都ブルサに泊った時、ある古老が片言の日本語を混えて、「ジャポン! ニチロ、アラガート(日本の人たちよ! 日露戦争に勝ってくれて有難う)」と、呼びかけてきました。
続いて古老は、日本が日露戦争に勝った時、トルコ人は狂喜して、息子や孫に「トーゴー」「ノギ」の名前をつけ、イスタンブールの街には、「東郷通り」「乃木通り」ができた事など、語ったそうであります。[名越]
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(「来るべき新文明」への日本の責任)
わが国は、日露戦争の実績を持って、ヨーロッパ人支配の植民地主義を打ち破り、全人類が平等に力を合わせる「新文明」を切り開いていかなかればならない、と福澤は主張します。

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その来るべき新文明の根本原理は、・・・全人類のことごとくが人格的平等を享受し、共働共楽共存共栄して行くということに向っていかねばならぬのである。・・・

かくのごとき新文明を建設するために、日本は、従来の世界歴史並びに人類史の大転機を与え、真の人類史における第一頁を血をもって開巻した当然の責任者として、須(すべから)く有色人の先頭に立ち、徹底的に白人の反省を求め、画期的大運動を続けて行かねばならないのである。
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大東亜戦争の後、アジア、アフリカの国々が次々と独立し、この「新文明」にだいぶ近づきました。しかし、世界各国が「共働共楽共存共栄して行く」という理想にはまだまだ到っていません。

現在の課題として、中国がモンスター国家として伝統的な中華帝国主義に立ち返り、周辺諸国を脅かしています。台湾に対する威圧、ベトナム、フィリピンに対する南シナ海での、および、わが国の尖閣諸島海域での不法侵入を続けています。インドとも軍事衝突を繰り返しています。

チベット、ウイグル、モンゴルなどの他民族に対して、「中華民族」などという荒唐無稽な目隠しの下で、弾圧と搾取を続けています。ウクライナへの侵攻を続けるロシア、そして自国民を飢えさせながら核ミサイル開発を続ける北朝鮮も、中国がバックについていなければ、はるか以前に悪行を抑え込めたでしょう。

西洋の奴隷制と植民地主義の悪行を、21世紀に継承している国こそ、中国なのです。世界各民族が「共働共楽共存共栄」する「新文明」はまだまだ建設途上です。そして、そこでわが国は今まで「新文明」を目指してきた歴史を担って、戦い続けなければならないのです。

(日本は富強でなければならない)
福澤は実業人らしく、「新文明」建設における日本の責任を果たすためには、まずは富強でなければならない、と説きます。

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新文明を建設し世界人類の真の幸福を得せしむる最大責任は、全く我が日本の双肩にかかっている。されば、我が日本は、今や上下一致し、労資協調し、大いに働き、まずもって大いに富まねばならぬ。否、富むだけでは駄目だ。富むと同時に大いに強くならねばならぬのである。
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富を求めるのは、経済的繁栄のためではありません。
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今、軍事費を仮に年に一億増加するとして、ために国の経済に影響を及ぼすように成っても、それは拠(よんどころ)ないことである。
兵備の足らざると否とは、国の存立に関する大問題だ。国亡びて果たして山河ありや否や。況(いわ)んや、我が日本は、東洋文明を建設し、世界人類を真の幸福に導く大使命を帯びるにおいてをや。
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我々現代日本人が現在直面している課題は、桃介も100年前に直面し、こう喝破したものなのです。
(文責:「国際派日本人養成講座」編集長・伊勢雅臣)

---owari---
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