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日本政府が日本の自動車産業を潰すまでのプロセス

2023年11月14日 | 政治・経済
今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

私がモスクワに行った1990年、ロシア国民の夢は、
「日本製の家電で家を埋め尽くすこと」
でした。

私は当時、知り合いのロシア人に、「日本車は?」と尋ねました。
すると、皆口をそろえて、「それは、難しすぎて夢にもならん」と言いました。
(今モスクワは、日本車、ドイツ車だらけになりましたが。)

そう、1990年当時、世界には日本製品があふれていたのです。

ところが・・・。
いつ頃からでしょうか?
世界市場で、日本の家電はシェアを落とすようになっていきました。
はっきりは覚えていませんが、20年ぐらい前でしょうか。

日本を代表する家電メーカーP社の社員が、「韓国に負けそうだ」と泣き言を言っているという話を聞きました。
私は、「冗談だろう!?」と仰天したのをよく覚えています。
モスクワの家電量販店では、日本製が徐々に駆逐され、韓国、つづいて中国製が目立つようになっていきました。

▼日本製が中国製に駆逐されたプロセス
思い出してみてください。
1990年代、まだ中国製品は、「安かろう悪かろう」と思われていました。
中国製の服は激安ですが、「買ったその日にボタンがとれる」といった感じでした。
「中国製を着るのはちょっと恥ずかしい」という感覚もあったでしょう。

いつから「中国製全然OK」になったのでしょうか?
1990年代末にユニクロが大人気になったことがきっかけでしょう。
ユニクロのフリースは1998年200万枚、99年850万枚、2000年2600万枚売れたそうです。
これで、「メイド・イン・チャイナでもいいよね」となった。

要するに、日本の会社が中国で安く生産し、日本が逆輸入する。
日本企業が、「メイド・イン・チャイナ」の信用を上げたのです。

それから20年以上の月日が流れました。
アパレル業界はどうなっているのでしょうか?

「シーイン」という会社があります。

私にはよくわかりませんが、
「めちゃくちゃ安くてかわいい」と若者に人気なのだそうです。

シーインの特徴について、小島尚貴先生は、最新刊
◆『脱コスパ病 ~ さらば自損型輸入』
詳細は↓
の中で、
<「企画、デザイン、開発、縫製、検品、流通、広告、営業、販売、顧客フォローまで、一つも日本企業の関与なく完成させた」という点にあります。>
――
と書かれています。

少し流れを振り返ってみましょう。
まず、日本企業が日本で作る段階がありました。
ところが日本企業の一部が中国で製造し、「安くて質もまあまあ」の製品を作り、逆輸入した。

日本企業が、「メイド・イン・チャイナ」の信用を上げた。
次の段階として、「中国企業が中国で生産した製品を、日本に輸出する」。
日本企業は、一切関わっていない。

皆さん、どうでしょう?
シーインは、ユニクロに勝てるでしょうか?

小島先生はシーインの未来について、
<日本人が現代中国を見る時は、どんなことを見聞きしても、最初は油断して見下します。
前作で大きな反響を集めた熊本の「い草、畳表」の事例でも、国産農家と自治体は油断で大敗北を喫しました。

同じパターンで、後に白物家電、パソコン、スマホもやられました。>
――
と警告されています。

▼最後の砦「自動車産業」も破滅の道を進むのか?
日本はかつて「家電王国」でしたが、韓国、中国にやられました。
それでも自動車は、なんとか国際的地位を保っています。

既述のように、ロシアでも、金があれば日本車かドイツ車を買います。
しかし、日本の自動車産業は、安泰なのでしょうか?

前述小島先生は、こんなことを書いておられます。
<中国の上汽通用五菱汽車が生産する小型商用EVを佐川急便に7200台納品するのは、東京に本社を置くEVベンチャー企業ASFです。>
――

ASFの日本人社長は言います。
<「コストほど顧客に刺さるサービスはない。15~16社ほど、さまざまな業界大手から連絡が来ている」>
――

「コストほど顧客に刺さるサービスはない」そうです。
実際、大手15~16社が佐川急便のように何千台も購入すれば、それがきっかけで「中国車でもいいよね」となっていくかもしれません。

ASFの事業内容を見ると、
<電気自動車の企画、開発、製造及び販売バッテリーリース事業
上記に附帯又は関連する一切の業務>
(ASPのHPより)
となっています。

要するにASFがコントロールし、「中国で安く生産する」ということなのでしょう。
このパターン、アパレル業界でいえば、「ユニクロと同じやり方」と言えます。
ASFが大成功すれば、「自動車もメイド・イン・チャイナで大丈夫だよね」となるでしょう。

次に来るのは、アパレルでいうシーインですね。
つまり、中国企業が安く生産し、日本で売る。
その時、日本国民の中国車に対する信用は、すでに醸成されている。
そして、「国がお金を出して中国製電気自動車の普及を後押ししている」としたら、

皆さん、どう思いますか?
<日本政府は同社(@北野註ASF)のEVに対し、購入と普及を促進するために
「補助金」を適用し、その補助金込みの価格は150万円程度という低価格になる見通しだそうです。>
――

皆さん、これどうですか?
私たち国民が納めた税金が、中国製電気自動車と日本自動車メーカーつぶしに使われる。

小島先生は、こうも書いておられます。
<米国のバイデン政権は2023年4月に、
「米国で最終組立を行っていないEVには米国政府の補助金を適用しない」と発表>
――

「グローバリストの手下」と親プーチン派からバカにされているバイデンの方が、日本政府より自国企業に優しいみたいです。

日本政府も、エコカー補助金は、完全国産車だけにしてもらいたいです。

ところで、今回引用させていただいた、
◆『脱コスパ病 ~ さらば自損型輸入』
詳細は↓
めちゃくちゃ面白かったです。

皆さん、「もっとも長期にわたって日本製品ボイコットを続けている国」、どこだかわかりますか?
中国?
韓国?

小島先生によると、なんと【 日本 】なのだそうです。
卒倒しそうな話ですが、この本を読まれれば、その意味と日本衰退の原因、復活の方法がわかります。

是非ご一読ください。

---owari---
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