SEALDsは既成政党や労働組合に属さない若者主体の新しい市民運動としてもてはやされたが、そこに私のいう「新しい日本人」は見当たらなかった。
SEALDsは平成28年7月の参議院選挙で野党4党と連携して安保法廃止を訴えたが、結果は安倍政権の勝利だった。それを受けて8月に彼らは解散した。もっとも、有力メンバーは平成27年10月、参議院選挙後に解散すると表明していたが、彼らはこの間どれほどの“学習”をしただろうか。
彼らの運動がマスメディアの応援を受けながら国民のあいだに広がりを見せなかったのは、運動の形態はともかく、肝心の主張が米ソ冷戦時代から続く「古い左翼」そのものだったからである。それは、<若者らの新しい運動が掛け布団。長年続く運動が敷布団>という『朝日』の記事によく表れている。だからメディアは応援したともいえるが、「戦後体制」から脱け出て日本の独立性を高めようという「新しい日本人」の共感を呼ぶことはなかった。
私に言わせれば「掛け布団」も「敷布団」も、厳しい国際社会の現実から目をそらし、日本を国家たらしめないとするGHQ時代から続く憲法解釈にこだわり、国民を守る現実的手立てを論じることに「反知性主義」などとレッテルを貼って、“知的錯覚の遊戯”に興じていただけである。
遊戯だからこそ、SEALDsのデモには「青春の夢よ、もう一度」とばかりに冷戦期以来の左翼運動の主張を懐かしむ高齢者が参加し、それがメディアによって「安倍政権の暴走」を止めようとする若者と高齢者の共闘といった印象で伝えられたことで、ある種の演劇空間が醸し出されたのである。
だが、若者の多くは彼らに賛同しなかった。参議院選挙の共同通信の出口調査によれば、18、19歳の比例代表投票先のトップは自民党の40%で、全世代平均の38.2%より多かった。
世代別で比較すると、自民党に投票した10代は、20代の43.2%、30代の40.9%に次ぐ3番目の多さで、中高年よりも自民党を支持している結果となった。ちなみに民進党への10代の投票は19.2%で全世代の20.4%より低く、投票割合は70代以上、60代、50代の順で多く、10代は5番目だった。
若い世代の投票行動が注目を集めたなかで、10代の多くは安倍政権を評価したといえる。
---owari---
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