中華人民共和国が建国されて70年となった1日、北京の天安門広場で祝賀行事が行われ、習近平国家主席をはじめ、最高指導部のメンバーらがそろって出席しました。また、江沢民元国家主席、胡錦涛前国家主席ら、引退した指導者の姿も見られました。
👤 祝賀行事で演説した習主席は、「70年来、全国民は心を一つにして苦労を乗り越え奮闘してきた。いま中国は世界の東方にそびえ立ち、いかなる勢力も、われわれの偉大な祖国の地位を揺るがすことはできず、中国人民と中華民族の歩みを阻むことはできない」と訴えました。
また、抗議活動が続く香港について、「一国二制度の方針を堅持し、長期的な繁栄と安定を保つ」と述べたほか、「祖国の完全な統一のために奮闘する」と述べ、台湾統一を目指す考えも改めて強調しました。
🛫🚀 このあと行われた過去最大規模の軍事パレードでは戦車やミサイル、戦闘機などが次々に披露され、アメリカ全土を射程に収めるとされる新型のICBM=大陸間弾道ミサイル「東風41」や、
既存のミサイル防衛網では迎撃できない可能性が高いとされる新型の極超音速兵器「東風17」などが初めて公開されました。
国営の新華社通信は、披露された40%が初公開の兵器だと伝えています。
習近平指導部としては、アメリカとの貿易摩擦や香港問題など国内外に難しい問題を抱えるなか、強大な軍事力を誇示するとともに中国の発展は共産党の指導のもとでなしえたと強調することで、求心力を高めるねらいがあるとみられます。
中国軍が複数の無人機を公開
1日の軍事パレードで中国軍は、複数の無人機を公開しました。
いずれも詳しい性能などは明らかになっていませんが、偵察機や弾道ミサイルを搭載できステルス性能を持つとされる戦闘機のほか、無人の潜水艦も披露されました。
中国は、ことし7月に公表した国防白書で「国際的な軍事競争の構図は今、変化の中にあり、AI化、ステルス化、無人化の流れは明らかだ」として無人機の開発に力を入れる必要性を訴えていました。
専門家「アメリカをしのぐ戦力」
1日の軍事パレードについて、元海上自衛官で中国の軍事情勢に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「国内に向けて軍の強さを示すもので、初めて公開された兵器は4割近くに上り、中国を誰も攻撃できないという姿勢を示したものだ」と指摘しました。
小原氏は新たに公開された多くの兵器は、アメリカを強く意識したものだとしたうえで、アメリカ全土を射程に収めるとされる新型のICBM=大陸間弾道ミサイル、「東風41」について「アメリカとの核戦争に至らないための中国の安全保障の根幹をなす兵器だ。中国共産党がいかにアメリカへの核抑止が重要だと考えているかを示している」と分析しました。
また、新型の極超音速兵器の「東風17」や、多くの無人機について「アメリカの開発がまだ十分に進んでおらず既存の防衛網では防御しきれない新型兵器を数多く公開することで、中国がアメリカをしのぐ戦力を持っていると示すねらいがあった」と述べました。
そのうえで軍事パレードの中国国内に向けたねらいについて「中国共産党の能力を示し自分たちの権威を支持するよう求めるメッセージだったと思う」と述べるとともに、対外的なねらいについては「経済力に加え、軍事面においてもアメリカに対抗しうる高い技術力があることを示すことで、今後、中国を支持する国を増やそうとしている」と指摘しています。
「軍事パレードは非常に壮観」
祝賀行事を会場で見学した北京市の75歳の男性は「軍事パレードは非常に壮観でした。中国の国防建設の大きな成果を見ることができ軍事面での安心感がより高まりました」と話していました。
また、会場で見学していた中国の程永華前駐日大使は「中国全土が一致団結して努力していく決意があらわれていた。経済面などで課題もあるが明るい未来を目指し皆で努力すれば成果を勝ち取れると思う」と話していました。
「スケールの大きさを感じた」
軍事パレードや祝賀行事が行われた北京の中心部では、大勢の警察官らが配置され、厳重な警備が敷かれました。
パレードが行われた天安門広場に通じる大通り「長安街」は一時、東西およそ15キロにわたって人や車の通行が禁止されたほか、周辺にある多くの飲食店や商店も営業を休止していました。
一方で、規制されたエリアの外ではパレードの様子を一目見ようと、中国の国旗を持ったり顔にペイントしたりした人たちでごったがえしました。
内陸部の河南省から来た家族連れは「きのうの夜8時に車で家を出ました。10年に1度のことですし、ぜひ見たいと思っています」と話していました。
また、市内の公園では集まった人たちがスマートフォンで国営テレビの中継映像を食い入るように見つめ、戦闘機などが上空を通過すると、一斉にスマートフォンを向けて撮影していました。
撮影していた女性は「スケールの大きさを感じました。現場で見ることができればもっとすばらしかったと思います」と話していました。