「南シナ海で拠点拡大を狙う中国に対し、米イージス駆逐艦が派遣され、東アジアで緊張が高まっている。
東シナ海のガス田も安全保障上の問題になってきた。尖閣国有化以来、委員会視察は3年行われていなかったが、日本の領土・領海を守るべく、われわれも行動すべきだと決意した」
新藤氏はこう語った。自民党理事3人で10月中旬、自衛隊機に乗り、尖閣とガス田を上空視察した。
中谷元(げん)防衛相は7月10日の衆院平和安全特別委員会で、日中中間線付近にある、中国のガス田開発の海洋プラットホームが増設されており、「レーダーを配備する可能性がある」と答弁した。
レーダー網が日本列島に向けてせり出せば、南西諸島などの防衛体制は丸裸になるのだ。
新藤氏は「ガス田16基のうち8基から炎が立ち上り、周辺海域では運搬船などが、せわしげに行き来していた。
周辺では、何隻もの中国漁船が操業し、活発な活動が展開されていた。私はこれまで、上空視察を2度行っているが、今回の視察で、中国が急速に東シナ海に勢力を拡大していることを実感した」と語った。
中国は南シナ海で人工島を建設して「自国の領海だ」と強弁したように、東シナ海では海洋プラットホームを多数建設して、周辺海域や尖閣を手中に収めようとしているようだ。
新藤氏は「中国の動きはとても素早く、巧妙だ。民主党政権時代の2010年9月、尖閣沖中国漁船衝突事件の際、中国はそのことを言い訳に日中ガス田の共同開発協議を中断し、ガス田建設を強行した。
当時の菅直人政権は大混乱して、何ら対策を取れなかった」と明かす。
決して、油断してはならない相手といえる。
新藤氏は、南シナ海の緊張状況を見ながら、「南シナ海の今日を、東シナ海の明日にしてはならない。そのためにわれわれは万全を尽くします」と語っていた。 (ジャーナリスト・安積明子)